犬に精神安定剤を与えるのはどんな時?効果や種類を紹介

犬 精神安定剤
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精神安定剤は、抗不安薬とも呼ばれて、不安を和らげる作用があって文字通り精神を安定させる薬のことです。

その代表的なものとしてはベンゾジアゼピン系の薬やセロトニン作動性薬やなどがあり、不安を解消して気持ちを落ち着かせてくれます。

これらの精神安定剤は犬の精神疾患にも処方されるのですが、このような薬を愛犬に飲ませても良いのかどうか不安に感じる飼い主さんは多いことでしょう。

ここでは犬に精神安定剤を与えた方が良いケースなどを紹介して、その効果やどのような種類があるのかについて解説します。

 

犬の精神疾患とは?

かつてはワンちゃんには人間のような精神疾患は存在しないとされていました。

しかし近年では言葉を話すことができないワンちゃんの心理を、その行動から探る投物行動学の研究が進められています。

そして、獣医学において「行動診療科」という新しいジャンルが確立しつつあって、ワンちゃんの診療内科として問題行動などを診察してもらえるようになりました。

ワンちゃんが起こす問題行動や異常行動、あるいは嘔吐や下痢などの身体症状は不安やストレスなどから来るものであることがわかり、精神疾患として認識されるようになったのです。

そして、ワンちゃんの精神疾患は大きく分けて3つに分類されるようになりました。

  • 強迫性障害(常同行動)
  • 分離不安症
  • うつ病

ここからはこれらの精神疾患についてそれぞれ紹介していきます。

 

強迫性障害とは?

常同行動とも呼ばれる不安障害の一つで、何らかのストレスが溜まることで自分がどうしたら良いのかがわからなくなり、そのストレスの本とは全く関係のない下記のような行動を繰り返します。

長時間ストレスに晒されることで発症するとの報告があります。

  • 自分のシッポを追いかけてグルグルひたすら回り続ける「尾追い」をする
  • 足先や身体の一部を被毛が抜けてしまうほど舐め続ける
  • ひたすらに穴を掘り続ける
  • 散歩などで外を歩くと、いつも後ろを気にして振り返りながら歩く
  • 光を追いかけるようになる
  • 何もないのに何かを追いかけるような仕草をする

これらの行動が始まると、飼い主さんの言うことを全く聞かなくなってしまいます。

ストレスの原因は、ケージなどに長い時間閉じ込められたり、いつも叱られていたりすることで無力感を感じ欲求不満になることとされています。

 

分離不安症とは?

いつも家の中で一緒にいて留守番になれていないワンちゃんにおこりやすいとされています。

ポツンと一人きりになることで強い不安状態となって、さまざまな問題行動を起こすようになってしまいます。

家族が外出しようと仕度をしていると、留守番させられることを敏感に察知して後をついて歩くようなワンちゃんは、下記のようになることが多いとされているので気をつけてくださいね。

  • ウロウロと落ち着きがなくなり、家族の後をついて歩くようになる
  • やたらに吠えるようになり、止まらなくなる
  • トイレなどのしつけができているのに、あちこちにオシッコやウンチをする
  • 家の中の家具など、目につくものを何でも壊してしまう
  • ご飯を与えてもたべなくなる
  • 急に嘔吐をする
  • 急に下痢をする
  • ブルブルと震えだして止まらなくなる
  • 足や身体を舐め続ける
  • 足や身体の被毛を噛んで抜いてしまう

問題行動は軽いものから、外出するのを止めさせようと攻撃的になる重症のものまでさまざまです。

 

うつ病とは?

賢いワンちゃんは人間と同じようにストレスを感じて、飼い主さんの行動で心が傷ついたりする生き物です。

人間なら何かおかしいと感じたら、自ら心療内科などに行って相談することができますが、ワンちゃんは悩みを語ることができません。

先に挙げた不安から来る2つの精神疾患の症状が見られる状態が継続していると、やがて「うつ病」になるとされています。

  • 家族が帰宅すると喜びながら出迎えしてくれていたのが、出てこなくなった
  • 好きだった散歩に行くのを嫌がるようになった
  • 好きだった遊びに誘っても興味を示さず知らん顔をするようになった
  • 部屋の隅っこでじっとしているようになって元気がない
  • 音などに反応を示さず、いつも眠っている
  • 食欲がなくなり体重が減少している
  • 過食になってやたらとご飯をねだるようになり、太った
  • いつもトイレできちんとしていたのに、粗相をするようになった
  • 手足や身体を舐めたり噛んだりする行為が酷くなった

強迫性障害、常同行動、分離不安が続いていてこれらが現れるようになったら、うつ病にかかっている疑いがあります。

 

犬に処方される精神安定剤とは?

これらの精神疾患にかかってしまったワンちゃんを治すのに一番大切なことは、その原因となったストレスを感じている事柄を解決してあげることです。

しかし、その解決には時間がかかってしまうようなこともあるでしょう。

また、ワンちゃんが起こす問題行動によって家具などが壊され、家族などに嚙みついてケガをさせているなど早急に手を打たなければならないケースもあると思います。

そのようなケースでは獣医さんから精神安定剤などを処方してもらいましょう。

ただし、これらの薬剤はワンちゃんの症状を一時的に抑えることができますが、根本的な解決にはなりません。

ずっと与え続けてよいものではないことは覚えておいてくださいね。

ワンちゃんに処方される精神安定剤には主にこれらの種類があります。

  • 抗不安薬
  • 抗うつ薬

また、最近では分離不安症の治療薬としてクロミプラミンという薬が使われていますが、ワンちゃんの飼い主への依存度を減らす行動療法の補助として承認されています。

 

抗不安薬とはどんな薬?

一般に精神安定剤という呼ばれる薬は、これらのことを指しています。

ほかの呼び方ではマイナートランキライザーとも呼ばれていて、ワンちゃんの不安や緊張を抑えリラックスさせてくれます。

これらは大きく2つに分けることができます。

 

ベンゾジアゼピン受容体作動性薬

即効性があり、成分によって効果が持続する時間が違っているので不眠のタイプに合うものが選ばれます。

また催眠作用が強いもの、抗不安作用がつよいもの、筋肉を弛緩させるなどそれぞれ特徴があって、人間に処方する場合には使い分けられています。

ワンちゃんに処方される主な薬剤はこれらです。

  • アルプラゾラム
  • ジアゼパム
  • ロラゼパム
  • オキサゼパム
  • クロラゼペート

気をつけなければならない副作用としては依存性やふらつきなどがあり、むやみに与え続けるとリバウンドが出て、不安がより強くなり眠れなくなるなどのケースがあります。

 

セロトニン作動性薬

心を安定させる神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンを増やす作用があります。

人間では抗うつ薬として使われていますが、ほかの薬との相互作用が少ないのが特徴で、ほかにも薬を飲んでいるワンちゃんに処方する獣医さんは多いです。

主に以下の薬がワンちゃんに処方されています。

  • ミルタザピン
  • タンドスピロン・クエン酸塩

 

犬に処方される抗うつ剤とは?

犬に処方される抗うつ剤とは?

抗うつ在にはさまざまな種類がありますが、ワンちゃんの不安解消に使われるのは三環系抗うつ剤とセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。

これらの薬には以下の作用があります。

  • 放出されたセロトニンやノルアドレナリンが取り込まれるのを防いで濃度を維持する
  • 筋肉を数縮させるアセチルコリンを阻害する
  • 抗ヒスタミン作用がある

ワンちゃんの不安に処方されているのは主にこれらの薬です。

 

三環系抗うつ薬

  • ロミプラミン
  • アミトリプチリン
  • イミプラミン

 

セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

  • フルオキセチン
  • パキシル
  • デプロメール

 

これらの副作用は、三環系抗うつ薬には眠気や食欲の低下などのほか、オシッコが出にくくなることもあります。

SSRIにはやはり眠気が多く、そのほかに吐き気、下痢、便秘などの消化器症状が出ることがあります。

 

犬に精神安定剤を与える際に注意することとは?

ここまで紹介した薬の中にはインターネット通販などで簡単に購入できるものもありますが、やみくもに飲ませないようにしてください。

効果がある薬には必ず副作用がありますので、素人判断はワンちゃんにとって危険です。

以下のことをしっかり守って治してあげるようにしてくださいね。

  • 必ず獣医さんの診察を受けて処方してもらう
  • 獣医さんが指示した用法や用量を必ず守る
  • 副作用と思われるものが見られたら、どんなにささいなことでも獣医さんに報せる

そして、薬はあくまで一時的な対処であることを忘れずに、効いているからとそれだけに頼らないようにしましょう。

 

犬を落ち着かせるサプリメントとは?

ワンちゃんの不安を解消してあげたいけど、症状が軽いし精神安定剤は少し不安だと考えている飼い主さんは、サプリメントを試してみてはいかがでしょうか?

分離不安や老犬の夜鳴きなどに良いとされているものが販売されています。

精神安定剤のような副作用の心配がありませんし、ご飯などに混ぜて与えられるので手軽です。

薬を嫌がってよけてしまうワンちゃんでも美味しいサプリメントなら喜んで食べてもらえるでしょう。

ただし、獣医さんから薬をもらっている時は、勝手に与えないようにしてくださいね。

与える際には事前に必ず獣医さんに相談して、薬との相互作用などがないかを確認しておきましょう。

 

犬に精神安定剤を与えるのはどんな時?効果や種類を紹介・まとめ

愛犬が精神疾患になってしまった時、飼い主さんもまた精神的に悩むことになります。

元気がなくなるのを見ているのもかわいそうで辛いですが、攻撃的になって問題行動を起こすようになると大変です。

家の中をメチャクチャにするだけならまだしも、飼い主さんや家族に歯をむいて噛みつくようになったらどうしようもなくなりますよね。

そんな時は愛犬に精神安定剤を与えて落ち着かせるようにしましょう。

まずは不安を解消してゆったりした気持ちにさせてあげておいて、ストレスの根本になっていることを解消してあげてください。

ただし、覚えておきたいのは犬に精神安定剤は与えるのは一時的な対症療法であることです。

長期間漫然と飲ませ続けると副作用など、良くない事象が必ず起こります。

愛犬の不安を解消するのに大切なのは、正しいコミュニケーションであることを忘れないようにしてくださいね。

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