芽胞菌が原因で犬が下痢になった!抗生剤や治療、人にうつるって本当?

芽胞菌 犬
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いつものようにお散歩に行き、いつものようにお決まりの場所でうんちして『今日もいつも通り元気だな~』なんて思っていたら。

・・・あれ?

うんちが緩い。

朝ごはんが合わなかったかな?

ちょっと様子を見てみよう。

その後も下痢を繰り返し、だんだんと血が混じっていたりどろっとした粘膜質のうんちをする様に。

 

その症状、もしかしたら芽胞菌が原因かもしれません。

芽胞菌なんてなんだか難しそうな病名ですが、犬がかかりやすい病気のひとつなんですよ。

 

犬が下痢になった原因は芽胞菌?

 

芽胞菌・・・読み方難しいですよね。

『がほうきん』と読みます。

犬が下痢を起こすこと自体はそれほど珍しくないので、犬を飼い始めた初心者さんでなければ多少の下痢にそれほどドキっとはしないでしょう。

『下痢か。ごはんが合わなかったかな?』とか『昨日遊びすぎてちょっと疲れちゃったのかな?』っとさらっと様子見する方がほとんどだと思います。

ですが今回紹介する芽胞菌はちょっとタチが悪いですよ。

そのうえ比較的発症する可能性も高いので、まだ芽胞菌と診断されていない方もぜひ知識として覚えておきましょう。

 

そもそも犬の芽胞菌とは?クロストリジウムって?

犬が下痢をする場合、腸が炎症を起こしていることが多いのですが、腸炎の原因になる菌として有名なのが芽胞菌。

芽胞とは細菌極めて耐久性の高い細胞構造に変異することを言います。

クロストリジウム属と呼ばれる芽胞化する細菌に『ウエルシュ菌』や『カンピロバクター菌』があるのですが、これらが芽胞を形成することで炎症を起こします。

 

うーん、、なんだか難しいな。

 

わかりやすく言い換えると、要は犬の腸の中には人間と同じようにたくさんの菌がうじゃうじゃ存在します。

ウェルシュ菌は健康な犬の腸にもいます。

腸の中には善玉菌や悪玉菌などいい菌もいれば悪い菌もいて、種類は違えど人間と同じシステム。

悪い菌がいるから抵抗力も付くし、悪い菌が年がら年中悪さしているわけではありませんよね。

基本的には腸の中は悪い菌が増えすぎない様な環境になっていますが、犬の免疫力が低下したりストレスがかかると突然『今だー!増殖するぞー!!』と変身するのです。

その変身こそが『芽胞』。

自分の体を特殊なバリアで覆って、熱や乾燥などの天敵から菌が死なないように武装するのです。

実際ウェルシュ菌は酸素があると増殖できずに死んでしまいますが、芽胞に変身した後は酸素の中で生きながらえることができます。

暴徒化した芽胞菌は犬の腸を攻撃し炎症させることで『芽胞性腸炎』を引き起こし、腸本来の機能を低下させ下痢に繋がる、という仕組みです。

 

犬の芽胞菌の特徴は血便

このウェルシュ菌は人間の食べ物で増殖することもあります。

大抵の菌は加熱など調理過程で死滅することが多いですが、芽胞菌になると高熱を加えても生存でき、人間がこれを大量に食べると食中毒になります。

同じ食事を食べても食中毒になる人とならない人っていますよね。

それはその時のその人の免疫力や体調などのコンディションなのです。

犬も腸内で芽胞菌がどれくらい増殖しているかによって下痢の程度は変わってきますが、普通の下痢との違いとして、芽胞菌が原因の場合は比較的高い確率で血便が見られます。

腸壁がうんちと一緒に排出されることで、ジャムのようにどろっとした粘膜質のうんちになるのです。

 

芽胞性腸炎 主な症状

  • ジャム状の下痢
  • 嘔吐
  • 落ち着かずウロウロする
  • お腹を痛そうにしている
  • 発熱
  • 脱水症状
  • 食欲不振

犬によっては下痢がひどくても食欲は落ちない子もいます。

下痢をした時にいつもと色が違ったり、どろっとしたうんちをしたら、芽胞性腸炎でなくても病気の可能性が高いので早めに動物病院を受診しましょう。

 

芽胞菌の治療や抗生剤、人にうつるって本当?

 

犬が芽胞菌が原因で下痢をしてしまったら、どんな治療が行われるのでしょうか。

芽胞菌の治療が行われた後の対処方法は?

家で飼い主さんはどのように接してあげればいいの?

そもそも細菌感染ということは犬同士や人に感染するリスクも気になるところですよね。

自宅で2頭以上動物を飼っている場合や小さい子供がいる場合、感染してしまうことはあるのでしょうか?

 

犬が芽胞菌にかかった時の治療法

愛犬がちょっと下痢気味の場合、腸内のバランスが崩れているのかなとヨーグルトを食べさせたりビオフェルミン錠剤を与えている方も多いと思います。

しかし、芽胞菌の場合は抵抗力が弱っていることが原因で芽胞菌が活発になってしまっているので、市販の整腸剤などではまず治りません。

 

動物病院を受診した場合、大抵の場合は犬のうんちを顕微鏡で観察して悪玉菌の増殖具合を確認します。

原因が芽胞性腸炎や下痢だけであれば手術をしたり緊急入院したりすることは滅多にありません。

抗生物質が処方され指示された期間内服する流れがほとんどですが、場合によっては補液を行ったり整腸剤が投与されることも。

早ければ1日で、通常でも3日~5日程度で改善することが多いですが、それでも下痢などの症状が改善しない場合には他の原因がないか更に検査します。

犬はごはんを代えただけでもストレスを感じたり腸がびっくりして下痢をすることがあるので、内服中はいつも食べ慣れているごはんを与え、おやつなども極力控えましょう。

 

犬が芽胞菌にかかった時の抗生剤

ちなみに・・・

芽胞性腸炎の際、よく処方される『フラジール』の粉末や『メトロニダゾール』は数ある薬の中でもとっても苦くて有名なんです。

ごはんに混ぜたり、ジャガイモやサツマイモに埋め込んでみても敏感な犬だと飲んでくれないかもしれません。

ですが、犬が薬を飲まないからといって飲ませないのは絶対にNG!

どうしてもうまく飲ませられない場合は投薬補助のおやつなども販売されているので、それらをじょうずに利用してみましょう。

食材に埋め込んだり投薬補助のおやつで騙す場合のポイントとして、薬を持った手で薬を包むものに触れないこと。

触れてしまうと敏感に薬の匂いを感じとって警戒してしまうこともありますので、薬嫌いな子にはぜひ食材は利き手で、薬は逆の手で触るようにしてみてくださいね。

 

犬の芽胞菌 犬→犬・犬→人にうつる?

芽胞菌は生命力が強く、加熱が中途半端な食材や生肉、人間の前日のごはん、犬を散歩させる際に通る道の乾燥した土などいろいろなところに存在します。

抵抗力がある時には少しくらい食べてしまっても大丈夫ですが、免疫力が低下していたりストレスを感じている時に摂取してしまうと急激に菌が増殖して腸炎や下痢を引き起こします。

当然、芽胞菌を持った犬のうんちにも菌が紛れているので、他のわんちゃんが舐めたり食べてしまうことで感染します。

犬から人に感染することはありませんが、芽胞菌が増殖している場合他の菌も増殖している場合も。

この場合、うんちの処理などをする際に菌が手に付いていて、うっかり体内に取り込んでしまいい感染してしまうリスクもあるので『芽胞菌だから大丈夫』と思わず、衛生管理や消毒は徹底しましょう。

 

芽胞性腸炎にかかりやすい犬種

ウェルシュ菌は日常の至るところに存在し、芽胞菌は犬のストレスや免疫力の低下が原因で増殖します。

その為、この犬種がかかりやすいということはありません。

成犬も発症しますが、仔犬のうちは抵抗力が弱いので比較的感染するリスクが高め。

その他強い薬を内服していたり、妊娠中、他の病気で抵抗力が弱っている犬は特に注意が必要です。

実際に動物病院を受診した犬で多い原因は人間の食べ物をこっそり食べてしまっていたり、お散歩中に土や他の犬のうんちをくんくんしたり舐めてしまうケースだそうです。

 

芽胞菌が原因で犬が下痢をしたら まとめ

 

芽胞菌による下痢や腸炎は犬の病気の中では致死率も低く、そこまで深刻にならなくても大丈夫な病気です。

しかし、人間の食中毒を思い出してみて下さい。

ずっとお腹が痛かったり、ずっと下痢をしていたりするのってツラいですよね。

ましてや犬はなんで今自分がこんな状態になっているのか理解できないのでなおさらです。

『ニガいけど、この薬を飲めば良くなるからね』とか『あと3日くらいで元気になるよ』なんて言葉が通じればどんなに安心できることか・・・

残念なことに人間の言葉を100%理解してもらうことはできませんが、病気にならないように予防することはできますよね。

ウェルシュ菌は人間には症状としてあらわれなくても、調理済みのごはんの中で増殖していることもあるので、人間のごはんを食べさせないようにするのも立派な病気予防です。

お散歩の途中で土や他の犬のうんちや落ちている物をやたら口にしてしまう子には食べない様に躾けることだって大切ですね。

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