【獣医師監修】犬にココナッツを与えても大丈夫?ココナッツオイルやナタデココの特徴、与え方について

犬 ココナッツ ナタデココ ココナッツオイル 与える 大丈夫 
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犬 ココナッツ ナタデココ ココナッツオイル 与える 大丈夫 

青い空、透き通った海、南の島を連想させる果実のひとつ「ココナッツ」。

ココナッツは、東南アジアを始めとした世界中の熱帯地方で食されている果実だ。

ヤシ科の植物「ココヤシ」になるこの果実は、ココナッツオイルやココナッツミルク、ナタデココなどの食品だけには収まらず、ココナッツファイバーと呼ばれる天然繊維、食器や工芸品、あるいは燃料としてなど、実に幅広く使われている。

最近では含まれている栄養がもたらす体への効能も注目されており、ココナッツアイテムも実に様々な種類があるようだ。

今回お届けするのは、その中でもココナッツオイル、ナタデココなどの身近な食品。食す機会があれば、愛犬にもお裾分けしたい飼い主さんも多いことだろう。果たして犬に与えても良いのか、悪いのか?早速調査してみよう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

ココナッツオイル

ココナッツオイルとは?

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ココナッツオイルとは、ココヤシの実から採取されるオイルのことで、別名「ヤシ油」とも呼ばれる。

ココナッツの種子内部の胚乳を乾燥させて油分を抽出→精製して商品化される。気温20℃で固形になり、25℃以上で透明な液状に変化するという特徴も持っている。

性質が乳脂肪に近いこともあり、ホイップクリームやアイスクリームなどにも使われるが、一方で食器用洗剤にも利用されるなど汎用性の高いオイルでもある。

 

 

犬に与えるメリットは?

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ココナッツオイルには「中鎖脂肪酸」が豊富に含まれている。

中鎖脂肪酸といえば、ダイエット効果としてもお馴染みの成分だ。この成分は肝臓で直接分解されるため、エネルギーの変換の早さにおいて優れていると言われている。

体内での燃焼効果も高く、脂肪として蓄積されにくいといった効果が期待できる事から、ダイエット食品などでも注目が集まっている。

 

また、中鎖脂肪酸を摂取する際に「ケトン体」という物質が生成されるのだが、このケトン体には活性酸素を除去する働きがあると言われている。

活性酸素の働きが活発になるほど老化や血液の循環に影響が出る原因にもなってしまう。ケトン体によって活性酸素を除去できれば、老化や認知症の予防にもつながるとされている。

さらには、強力な抗酸化作用を持つビタミンEも豊富に含まれているので、アンチエイジング効果が期待できるというのも嬉しいポイントだ。

 

これがココナッツオイルを与えるメリットである。特にダイエット効果は人間だけではなく犬にも効果が期待出来ると言われているので、肥満気味の犬にとっては朗報ではないだろうか。

 

 

ココナッツオイルを与える時の注意点

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犬に与える上で知っておかなくてはならないのが、ココナッツオイル自体が高カロリーなオイルであるということ。

ココナッツオイル100g当たりのカロリーは921kcal。これを大さじ一杯(12g)で換算しても約111kcalもある。

いくらダイエット効果があるとしても、与え過ぎは逆効果となってしまうので注意したい。

 

ほのかに香るココナッツの甘い香りは犬が飛びつくこと間違いなしだが、高カロリーでもあるため補助的な扱い方が望ましい。与える量は、ほんの少量ココナッツオイルを垂らす程度がいいだろう。

 

 

信頼できるオイルを選ぼう

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ココナッツオイルには、生搾り無添加の「バージンオイル」というものが存在する。

これは極端な話、余計なものを足さずに純粋でフレッシュな状態のオイルを抽出している。その分コストもかかるため値段は高めになるが、愛犬のために選ぶならバージンオイルをチョイスしたい。

 

ただし、ココナッツオイルを選ぶ際には少し注意を。

例えば、オリーブオイルでも「エクストラバージン」と名乗る商品の中にもニセモノがあるように、ココナッツオイルにも「バージンオイル」という謳い文句が必ずしも良品とは限らない。

購入する際は「オーガニック認証マーク」などがついている信頼できる商品を選ぶようにしよう。

 

 

 

ナタデココ

ナタデココとは?

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みなさんは、ナタデココの原料がココナッツであるというのはご存知だろうか?

実はナタデココは発酵食品。ココナッツの実の内側にある「ココナッツ水」という液体の中に、水・砂糖・ナタ菌(酢酸菌の一種)を加えて発酵させる。

発酵させることで表面が凝固していき徐々に膜ができてくる。その膜が15mmほどの厚さになったときに取り出したもの、それこそがナタデココなのだ。

これを食べやすくサイの目にカットして、酸を抜いてシロップ漬けにしたものが日本では多く出回っている。

 

ちなみに、名前の由来はスペイン語からきており、「ナタ」→液状に浮く皮膜、「デ」→英語のof、「ココ」→ココナッツ、となる。つまりナタデココは、ココナッツの上澄み皮膜というわけだ。

 

 

ナタデココの成分は?犬にも与えられる?

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オイルでは、健康に作用する栄養が含まれているので、ナタデココもそうなのか…と思いたいところだが、実はナタデココの主成分の99%は「水」。残り1%が不溶性食物繊維で出来ている。

一方、カロリーは100g当たり75kcalとオイルに比べて低い数値である。…が、含まれている成分を見る限りでは、お世辞にもナタデココには栄養があるとは言い難い。

1~2個食べてしまった程度なら問題ないだろうが、積極的に与える必要もないだろう。

 

 

さいごに

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ココナッツオイルとナタデココについて紹介した。

両者ともココナッツを原料としているが、製法によっては特徴が大きく異なるようだ。

ちなみに、ナタデココを作る上で必要不可欠なナタ菌だが、フィリピン政府が輸出を制限しているのと、刻み昆布でお馴染みの「フジッコ」社が特許を取っているため、私たちが入手することはできない。

 

ナタデココはうまい。今のところ犬用ナタデココなるものは見かけないが、いつの日か犬も食べれるナタデココが登場することを願うばかりだ。

 

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