【獣医師監修】犬はレンコンを食べても大丈夫?健康にプラスになるって本当!?

レンコン
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レンコン

穴が開いていることから「将来の見通しがきく」縁起食材とされてきたレンコン。

人によってはなかなか自分では調理しないという人も多いかもしれない。

だが、さっぱりとしたクセのない味わいから、サッと茹でてサラダによし、炒めて、煮物にして、フライにしても楽むことができる。また、比較的日持ちするので、冷蔵庫に常備しておいても何かと便利な食材だ。

そんなレンコンの旬は秋から冬。扱う機会が少ないかもしれないが、実は食物繊維をはじめ、ビタミンやミネラルを豊富に含んだ根菜なのだ。

とはいえ、犬にとってはどうなのだろうか?

犬にレンコンを与えるイメージはあまり想像できないが、食べてもOKなら調理の際に犬用ごはんのレパートリーにも加えてみたい。

ということで今回は、犬にレンコンを与えても問題ないか紹介していく。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

犬にとってもレンコンは栄養豊富な野菜なのだ!

レンコン

レンコンが人間にとって元気の源とされる理由は、健康維持に役立つ栄養素がたっぷりと含まれていることにある。

まず、免疫力を高めてくれるビタミンCが、100gあたり48mgと豊富に含まれている。

これは根菜類の中ではトップクラスの含有量を誇っており、葉物野菜であるキャベツ(41mg)、小松菜(39mg)、ほうれん草(35mg)と比べても遜色はない。

 

また、ビタミンCは本来熱に弱い成分なのだが、レンコンにはでんぷんが多く含まれており、加熱してもビタミンCが損なわれにくいという特徴がある。

 

レンコンはほかにも、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1をはじめ、B2、B6、ビオチン(B7)といったビタミンB群、カリウム、カルシウム、鉄分などのミネラル分も幅広く含む。

ビタミンB群は基本的には炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝に必要な成分である。つまり、人や犬にとっても生きるためのエネルギーを作るには欠かせない栄養素でもあるのだ。

 

それと、これらの成分は犬にとっても害はないため、愛犬がレンコンを食べても問題はない。

一見、味があっさりしているので、あまり栄養がなさそうなイメージだが、実は栄養の宝庫だったのだ!

 

レンコンに含まれる犬に役立つ栄養と効能

レンコンの栄養

ビタミンC

犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。

年齢と共にその能力は低下するので、長期的に摂取したい栄養素の一つである。

ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、犬の身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのだ。

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要と言われている。

 

ビタミンB6

「ピリドキシン」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一つ。

ビタミンB6はタンパク質をアミノ酸に作り変える働きがあり、効率よく体内へ取り込むには欠かすことのできないビタミンと言われている。

また、ビタミンB6を活性化するには、ビタミンB2の摂取も必要になってくる。レンコンのようにビタミンB2も持ち合わせた食材は、まさに効率のいい食材と言えるだろう。

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

タンニン

ポリフェノールの一種とされる成分。

レンコンの切り口が変色するのは、このポリフェノールの1種であるタンニンによるものなのだ。

また、タンニンには消炎、止血作用があり、人の場合はレンコンのおろし汁を使って鼻血や咳、ぜんそくの発作止めなど民間療法にも使われる。

 

食物繊維
 

レンコンに含まれる食物繊維の割合は、100gあたり不溶性1.8g、水溶性0.2gと、不溶性食物繊維を多く含んでいる。そのため、便質の改善や便通を促す働きに期待ができる。

 

 

 

犬にとってレンコンは…?ちょっと意外なデータを見てみよう

レンコン

サイズにもよるがレンコン中サイズの一節分が約180g程度。

その一節をだいたい半分の量で考えると、100gあたりのカロリーは66Kcalで糖質量は13.5g。

これは野菜の中ではカロリーや糖質量も高め。では、同じ根菜類と比較してみるとどうなのだろう。

 カロリー糖質食物繊維
レンコン66Kcal13.5g2.0g
ごぼう65Kcal9.7g5.7g
大根18Kcal2.7g1.4g
じゃがいも76Kcal16.3g1.3g
里芋58Kcal10.8g2.3g

(※いずれも皮付き100gあたりの数値)

レンコン、ご家庭でも使う頻度の多い根野菜類とで比較してみた。

こうして見ると、根野菜の中でもカロリーや糖質は高め。どちらかといえば芋類に近い。

となると、レンコンはじゃがいも同様、でんぷん質でカロリーが高いので「ごはん全体のカロリーバランスを考える必要がある」ということになるだろう。

 

通常のフードのほかにレンコンを単純にプラスしてしまうと、カロリーオーバーになりそうなので注意したい。

 

レンコンの選び方から賢い与え方まで

レンコンの賢い選び方

レンコン

レンコンは日持ちしやすい食材だが、スーパーなどで丸ごと一節買う場合はパッと見て傷んでいるか判別することは難しい。

そのため、選ぶポイントとしては表面にツヤを感じ、ずっしりと重みを感じるものが水分をしっかり保っていて美味いとされる。表面が乾燥しカサカサしていたり、軽くなっているものは避けるようにしよう。

 

途中で切ってあるものを買う時も、切り口がみずみずしく、穴の中も白いものがよしとされる。切り口が変色しているものは日が経っている証拠だ。

 

また、不自然に真っ白なレンコンは、Chlorineという薬剤で漂白されている可能性があるというので、あわせて覚えておきたい。

 

生ではなく火を通してから与えよう!

レンコンレンコンは生でも食べれるが、採れ始める時期(8~9月)がもっとも生食に適しているようだ。

どういうことかと言うと、レンコンは7~8月にかけて花を咲かせ、8~9月は成長段階の時期。そして、10月~3月にかけて旬を迎えて収穫される野菜。

つまり、収穫される頃にはレンコンは成長しなくなり「えぐみ」が増してしまう。そのため、生ではなかなか食べられないのだ。

 

愛犬にはできるだけ火を通してから与えよう。また、消化に良いよう、細かく刻む、薄くスライスするなども手を抜かずに行いたい。

 

レンコンの皮は剥く?

レンコンふつうだと、まず皮をむいてアクを取って調理すると思うのだが、レンコンに豊富に含まれるタンニンは、実は皮の部分に多く含まれている。そのためできれば皮ごと使いたいところ。

 

しかし、池の中で育ったレンコンの泥汚れが気になる方もいるだろう。

 

その場合は酢水につけておくとキレイになるのでお試しを。また、穴の中の泥は箸にティッシュを薄く巻いて拭き取ると、キレイにすることができる。

レンコンはよく洗えば皮付きのまま食べられるので、皮ごと使うのがオススメだ!

 

さいごに

蓮の花、レンコン

レンコンの原産地は諸説あるが、食用としての栽培の始まりはインドが有力。

仏教との関りも深く、インドでは紀元前から「蓮の花」は多産や生命力を作り出す象徴とされてきた。

 

中国や日本の仏教でいう極楽浄土とは、蓮池のこととされていた。今でも寺院の境内に蓮池が残っているのは、こうした理由があったのだ。

 

日本でも2千年前の蓮の実が掘り出され、発芽に成功させた話もある。まさにレンコンの生命力の力強さを感じずにはいられない。

 

栄養面でも申し分ないレンコン。カロリーオーバーには気をつけながらも、犬用ごはんのレパートリーに是非とも加えてみたい食材だ!

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