【専門家監修】犬がアジソン病にかかるとどうなる?症状や病院での治療方法・治療費は?

犬 アジソン病
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愛犬の様子がなんだかいつもと違い心配になって動物病院に連れて行ってみたら、かかりつけ医になにやら聞きなれない病名【アジソン病】だと告げられた。

うちのコに限って・・・と思っていても実際にそんなことになったら居ても立ってもいられないくらいパニックになってしまいますよね。

『アジソン病って死亡する可能性はあるの? 寿命は?』

『入院や治療にはどれくらいお金がかかるの?』

『今日から食事はどうすればいいの?』

落ち着いてください。

まずは犬のアジソン病について正しい知識を身に付けましょう。

【専門家監修】添野暁子

専門家 監修
【動物関係の保有資格】2歳から犬と育ち、現在は4代目の愛犬と暮らすWebライター。愛玩動物飼養管理士1級の資格を持ち、犬について日々研究している。

 

アジソン病にかかると犬はどうなる?

アジソン病という病気をご存知でしょうか。

なかなか聞き慣れない病名ですが、正式な病名は【副腎皮質機能低下症】

人間も犬もかかる病気で、犬ほどではないですが稀に猫も発症します。

副腎皮質と呼ばれる腎臓の上に位置する内分泌器官から分泌されるステロイドホルモンが不足することで引き起こされる病気です。

ステロイドホルモンはストレスに対処するホルモンで、まさにアジソン病とストレスとは深い関係性があります。

副腎皮質そのものが免疫を介して破壊されてしまったり、腫瘍や薬剤などが原因で破壊されて起こるケースと、副腎皮質に指令を与える役割の視床下部や下垂体に異常があって起こるケースがあります。

この他にも長い期間、もしくは短期間でも大量の合成副腎皮質ホルモン(= ステロイド剤)治療を突然やめた場合などに起こるケースもよく見受けられます。

 

早期発見が大事!

アジソン病にかかってしまうと薬の投与などで完治することはなく、一生涯病気と向き合っていくことになります。

先ほどもお伝えしましたが特にこの病気の場合は若いうちに発病することが多いので、残りの人生を考えても長い期間闘病生活をするケースがほとんどです。

そうならない為にもいち早く愛犬の異常に気付いて早期発見してあげることがとても重要になってきます。

アジソン病の場合、約90%くらいの副腎皮質が破壊されてしまうことによって症状が現れます。

90%ってほとんどですよね。

しかし厄介なのはコレといった症状がほとんどないのです。

調べようと思えば動物病院で【ACTH】という検査が受けられますが、日常で気付いてあげられる特徴として

  • いつもより食欲がない
  • いつもより水をたくさん飲む
  • 食べたものを吐いてしまう
  • うんちがゆるい、下痢
  • いつもより元気がない
  • 体重が減った
  • 震えている

などが挙げられますが、これらの症状は単に食べ過ぎであったりちょっとした不調の時にも見られる兆候で、アジソン病かどうか判断するのはなかなか難しいのが事実です。

ただ、少しでも疑わしい兆候があれば楽観視せずにかかりつけ医に相談することで早期発見にも繋がりますので、日ごろから飼い主さんが注意深く目をかけてあげましょう。

 

犬がアジソン病にかかる原因

アジソン病は遺伝的な要因もあれば免疫力の低下やストレスなどからも発症します。

最近では犬もペットというよりも家族の一員というスタンスになりつつあり、愛犬と一緒に旅行に出掛ける光景もよく見かけるようになりました。

避暑地や観光地に行って、たくさん遊んでおいしい食事をして、温泉で一日の疲れをのんびり癒して・・・旅行って楽しいですよね。

ひと昔前では旅行に行く時はペットはペットホテルや知り合いに預けるというスタンスが一般的でしたが、最近ではペットも一緒に宿泊できる施設もどんどん増えていて、愛犬連れの旅行はむしろステイタスにさえなってきていますよね。

しかしそんな楽しいはずの旅行も、愛犬にとっては想像できないほどのストレスになっていることだってあるのです。

犬は人間とは違い知らない場所をぶらついたり、知らない場所に泊まることを基本的に好みません。

自分の匂いがついた我が家が一番安心できるものです。

インスタ映えなんてしなくても犬の栄養バランスが考えられた普通のごはんを食べて、飼い主さんとのコミュニケーションがとれていればそれだけで充分しあわせなのです。

旅行以外でもトリミングなどいつもと違う環境にストレスを感じてしまうこともしばしば。

愛犬の為と思ってしていた行動が実際には愛犬にストレスをかけているだけで飼い主さんのエゴだったなんてことは極力避けたいですね。

 

アジソン病は4歳くらいまでの若いうちに発症することが多く、オスよりもメスの方がかかりやすい傾向にあります。

かかりやすいと言われている犬種

  • ビーグル
  • コリー
  • スタンダード プードル
  • グレート デーン
  • ロットワイラー
  • ウェスト ハイランド ホワイト テリア

 

犬がアジソン病にかかった時の症状や病院での治療方法って?

口の聞けない犬にとっては特に早期発見がなかなか難しいアジソン病ですが、実際にかかってしまったらどのような症状が現れるのでしょうか。

アジソン病は発病した時点で一生涯関わっていかなければならない病気です。

ここから先は病院での治療方法や治療にかかるお金についてなど詳しく解説していきます。

 

アジソン病にかかった時の犬の症状

アジソン病には【慢性】的なものと【急性】的なものがあります。

慢性時の症状に関しては先ほど早期発見の必要性について説明したものと同じですが、症状がずっと続くというわけではなく、ストレスと関連して良くなったり悪くなったり波があるのが特徴です。

急性の場合は急激に元気がなくなり、ふらふらして倒れたりショック状態を引き起こします。

これらは体内を循環している血液の量が減ってしまったり、低血圧になってしまうことなどが原因で、この様な状態に陥ってしまった場合には一刻を争う緊急的な処置が必要となります。

 

病院ではどんな治療をするの?治療費ってどれくらい?

状態が安定している場合の治療方法は副腎皮質ホルモンの足りない分を補ってあげる治療が中心で【ミネラルコルチコイド】や【フルドロコルチゾン】という薬の内服で様子を見ます。

ミネラルコルチコイドやフルドロコルチゾンだけでは不十分な場合は【グルココルチコイド】と呼ばれるステロイド剤も併せて内服し、定期的に経過観察をするというのが一般的です。

これらの薬をきちんと内服し、ストレスをあまり感じない様に生活することで症状は安定し、基本的には特に寿命が縮まるということもないですが、薬の投与をやめてしまうと症状は悪化してしまいます。

アジソン病でよく処方されるお薬は『フロリネフ』『プレドニゾロン』『コートリル』『ノイロビタン』などで、1錠300~700円。

『DOCP』という注射タイプの治療薬もあります。

これを毎日、一生内服させるとなるとかなりの高額となってしまいますが、ほとんどの場合、1日2錠(朝・晩)内服させる形で症状が悪化した場合には抗生物質が処方されます。

 

アジソンクリーゼ

主にストレスが原因で突然ぐったりとしたりショック症状を起こすこともあり、この状態は【急性アジソンクリーゼ】と呼ばれ命を落としかねない重篤な症状なので、もしもアジソンクリーゼに陥ってしまった場合には即入院をして緊急処置を行います。

一刻を争う事態なので、愛犬がアジソン病と診断された場合は、かかりつけの動物病院がアジソンクリーゼの際にきちんと処置できる設備が整っているかどうか必ず確認しておきましょう。

愛犬にもしものことがあった場合、慌てて手遅れになってしまうようなことが無いよう緊急時の設備が整っていないのであれば近隣の処置できる大きな病院を紹介してもらうなどの備えが重要になってきますね。

 

アジソン病とじょうずに向き合っていく為に

誰だってできることならずっと健康で過ごしたいものですよね。

それは自分自身だけでなく愛犬も同じですが、もしも病気になってしまったらその時はきちんと病気と向き合わなければなりません。

ペットとして迎え入れたからには飼い主さんには愛犬を最期まで見届けなくてはならない責任があります。

アジソン病は日々の生活の中で前兆を察知することは難しいと言われてますが、それでも何かしらのサインはあります。

病気になってから後悔しても後の祭りなので、まだ発症していないのであれば小さな変化を見逃さず、定期的に健康診断を受けましょう。

アジソン病を発症してしまった場合は症状が落ち着いていれば薬の内服で済みますが、ストレスの有無により症状が大きく変わることが特徴です。

ストレスを完全になくすということはまず不可能ですが、極力ストレスを感じさせない生活をさせてあげることが大切です。

決して飼い主さんのエゴにならないよう愛犬にとって何が快適で、どうすればよりストレスを感じないのかを常に意識しながら生活して行きましょう。

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