【獣医師監修】犬はルレクチェを食べても大丈夫?幻の洋梨とも呼ばれる秘密

犬 ルレクチェ
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犬 ルレクチェ

芳醇な香りと独特の甘さが人気を集めている洋梨。

洋梨といえばラ・フランスという品種が生産量も多く有名だが、幻の洋梨とも呼ばれる高級品種「ルレクチェ」をご存知だろうか。

洋梨のなかでも、見た目も上品で香りが良く、まったりとしたとろけるような肉質であるため、密かな人気を集めている。

栽培が難しく、流通量も少ないため、なかなか入手することは難しいが、食べる機会があったら愛犬にもお裾分けしたいところではある。もちろん、梨、洋梨ともに犬に与えても問題ないのだが、幻の洋梨といわれるルレクチェにはどんな栄養が含まれているのだろうか。

今回は、そんなルレクチェの栄養や効能、与え方などについてご紹介したい。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

そもそもルレクチェとはどんな洋梨なの?

犬 ルレクチェ

「ルレクチェって何ですか?」という方のために、まずはルレクチェはどんな果実なのか簡単に説明していこう。

 

ルレクチェの歴史

ルレクチェの歴史は、明治36年頃にフランスから新潟県に来たのが、栽培の始まりだと言われている。

日本でいち早く栽培がスタートしたことを記念して、新潟市では「ルレクチェ発祥の地」の碑が建てられるなど、地域の特産品としても注目されている。

 

ルレクチェの特徴

生産量が多いラ・フランスと比べると、次のような違いがある。

  • 香り・・・ルレクチェは熟すにつれて甘く芳醇な香りを発するようになる。食べる時はもちろん、食べる前の香りも楽しめる。
  • 見た目・・・熟して食べ頃をむかえると、表面の色が緑色から黄色へと変わる。ラ・フランスの場合は色がほとんど変わらないが、ルレクチェは食べ頃が分かりやすい。
  • 食感・・・ザラつきのない柔らかなメルティング質な果肉が特徴。糖度は15度~18度と高く、果糖やブドウ糖を多く含む。酸味は少なく、ジューシーでとろけるような舌ざわりである。
  • 追熟・・・通常、洋梨は果実がまだ固いうちに収穫し追熟をしてから食べる。ラ・フランスなどは1~2週間程度に対し、ルレクチェは40~45日程度と追熟時間が長いのが特徴。

 

幻の洋梨と呼ばれる理由

ルレクチェは病気に弱く、非常に傷みやすい果実。他の洋梨に比べて栽培するのが難しく、原産地のフランスですら、現在はほとんど栽培されてはいないほどだ。

しかも、他の梨に比べて長い追熟時間を必要とするため、その間保管する広い場所が必要にもなってくる。

近年、生産能力の向上により収穫量は伸びてはきたものの、まだまだ流通量は少ないのが現実である。

明治時代に栽培がスタートしたものの、昔から収穫量は少なく、知る人ぞ知る洋梨だったというわけだ。

 

 

ルレクチェの栄養と効能

犬 ルレクチェ

さて、ルレクチェがどんな果実か分かったところで、次はどんな栄養が含まれているのかチェックしていこう。

 

アスパラギン酸

アスパラギン酸はアミノ酸の一種。体内のタンパク質の合成をサポートする働きや、代謝を活発にし疲労回復を助ける効果が期待できる。

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

マグネシウム

血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。

もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。

犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取を心がけたい。

 

食物繊維

食物繊維には、便質を改善し便通を促す「不溶性食物繊維」と、腸内の不要なものを排出してくれる「水溶性食物繊維」の2種類がある。

ルレクチェにはこれら2種類の食物繊維を含んでおり、犬にとっても腸内環境を整えてくれる大切な成分なのだ。

 

犬に与える際の注意点

犬 ルレクチェ

未成熟な状態では与えない

ルレクチェに限らず、未成熟な洋梨には体内で分解される際に、毒性のあるシアン化水素に変化してしまう「アミグダリン」と呼ばれる成分が微量にも含まれている。

このアミグダリンは、追熟によって果実内の酵素により分解されて消失していくため、犬に与える際は成熟させたものを与えるようにしよう。

ルレクチェは熟して食べ頃になると、見た目が明るい黄色になる。安全に与えるためにも、食べ頃のサインを確認してからにしたい。

 

与え過ぎには注意しよう

一般的な「和梨」と「洋梨」とで、カロリーや糖質を比べてみると洋梨のほうが少し高め。

一方の糖度は、代表的な和梨「幸水」で12度~12.5度に対し、ルレクチェの糖度は15度~18度と高い。

あげすぎれば肥満などの不健康のもとにもなってしまうので、与え過ぎには注意しよう。

 

 

食物アレルギーがないか様子を見守る

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。

初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

 

さいごに

犬 ルレクチェ

近年では、「幻の洋梨」以外にも、「西洋梨の貴婦人」「妖艶の果実」などとも呼ばれ、注目度も徐々に高まりつつあるルレクチェ。

洋梨や果物が好きな人にとってみれば、一度は食べてみたい果実だろう。

和梨や他の洋梨と比べて、市場で販売されるのは11~12月までの約2ヵ月間と短いが、気になる方はぜひチェックして、愛犬と一緒にルレクチェを堪能してもらいたい。

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