犬にスキムミルクを与えても大丈夫?牛乳に比べ低カロリー!?その栄養と与え方

犬 スキムミルク
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犬 スキムミルク

みなさんは「スキムミルク」というものをご存知だろうか?

スキムミルクとは、牛乳から脂肪分を除いたものを乾燥させて粉末にしたものである。

値段も比較的安価であり、牛乳以上ほど味と臭いにクセがないため、牛乳が苦手な人でも飲みやすいのが特徴だ。

そのうえ、牛乳であった時よりも濃縮されているため、脂肪分以外の栄養価において同等かそれ以上と言われている。

そんなスキムミルク。元々が牛乳であるため、犬に与えられるかも…と思われる方もいるだろう。牛乳の場合は少量であれば犬に与えることができるようだが、スキムミルクはどうなのか?早速リサーチしてみよう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

スキムミルクとはどんなもの?

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                        画像出典:森永乳業

ホームベーカリーを使って、自宅でパンを焼いている人は割と知っているかもしれないが、馴染みのない人にとっては一体何に使うの?という人も多いだろう。

 

少し詳しく説明すると、私たちがスキムミルクとして扱っているものは、生乳や牛乳の乳脂肪分を除去したものから水分を除去し、粉末にしたもの。

ちなみに、除去した乳脂肪分はバターやクリームなどのお馴染みの食品に加工される。

 

そんなスキムミルクは、脱脂粉乳(だっしふんにゅう)や脱粉(だっぷん)とも呼ばれ、保存性がよく、栄養価が高いことから、戦後しばらく学校給食に用いられていたこともあった。

ただ当時は、戦後間もない食料事情を知ったアメリカからの支援物資、いわゆるララ物資として大量に入ってきたとされているが、一方で牛乳からバターを作った後の廃棄物として余っていたから、という説もあるようだ。

 

そんな話を聞くと少しショックになってしまうが、現在のスキムミルクは大手乳業メーカーから販売されているため、品質も格段に向上しているので安心して購入することができる。

 

ちなみに、商品名として「スキムミルク」が多用されているが、英語における「skim milk」「skimmed milk」は無脂肪乳のものである。まぎらわしいが乾燥品を意味していないので注意が必要だ。

 

犬にスキムミルクを与えても大丈夫?

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よく耳にするのは「犬に牛乳は良くない」と言われているが、これは「ラクターゼ」という消化酵素が犬は少ないため、お腹を下しやすいことにある。

子犬のうちは母乳に入っている「乳糖」を処理するために一定量の酵素があるのだが、犬の成長とともにその数は減少していくと言われている。

 

牛乳は小腸でラクターゼによって分解され吸収される仕組みなのだが、小腸内でラクターゼが働かないと大腸にまで行ってしまう。大腸内の腸内細菌たちにより発酵が行われ、結果、消化不良や下痢になってしまうというわけだ。

 

とはいえ、犬に牛乳を少量与えた程度であれば、それほど下痢を気にする必要はないだろう。

 

ただ、牛乳を与えてアレルギーが出たことがある犬に対しては、スキムミルクを与えるのは避けたほうが無難だ。また、牛乳を飲んだ時には問題なくても、ある日突然アレルギーになってしまうケースもないとは言い切れない。

牛乳アレルギーを持っていないから大丈夫、と思ってスキムミルクを与えても、「便がゆるい」「皮膚をかゆがる」など、気になる症状が出たら与えるのを中止し、かかりつけのドクターに相談するようにしよう。

 

スキムミルクの栄養

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スキムミルクの良さは、脂肪分以外の成分、つまり牛乳の長所とも言えるタンパク質・カルシウムなどの成分がそのまま引き継がれていることにある。

低カロリーで牛乳に劣らない栄養を持つとされるスキムミルク。一体どんな成分が含まれているのか、早速チェックしてみよう。

 

 

タンパク質

タンパク質は犬の身体をつくるうえで1番多く必要な栄養素である。

動物の身体のおよそ20%がタンパク質などのアミノ酸からできている。体内バランス、皮膚、毛なみ、免疫組織など、犬の健康を維持するうえで大切な成分なのだ。

 

そのうえ、動物性タンパク質は植物性タンパク質に比べ効率よく吸収されるのが特徴。ドックフードのトッピングや手作り食になどにも、ぜひ活用して摂取したい。

 

 

カルシウム

粉末になったからと言っても、スキムミルクのカルシウム含有量は、牛乳であった頃とほぼ変わらないといった点も嬉しいポイントだ。

カルシウムは骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り派の方は不足しないよう意識して摂取したい成分でもある

 

 

いろいろなスキムミルク

基本的なスキムミルクの成分は、主にタンパク質やカルシウムといった成分がメインだが、鉄やビタミンD、オリゴ糖、食物繊維、ビフィズス菌などを加えた「栄養強化タイプ」なるスキムミルクもあるようだ。

他にも、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人のために、あらかじめ乳糖の一部を分解した「乳糖分解タイプ」もある。

スキムミルクは牛乳とは違い保存性に優れている。愛犬の食事に何か加えたい時のために、常備しておくのも便利ではないだろうか。

 

 

 

 

スキムミルクのカロリー

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気になるスキムミルクのカロリーだが、100g当たり約358kcalほど。

一瞬、高カロリー!?と思ってしまうが、100mlの牛乳が10gのスキムミルクに相当するため、それほど高カロリーにはならない。

実は、スキムミルク10gで換算した場合は35.7kcalと意外にも低カロリーなのだ。

 

では次に、これを一般的な牛乳と比較してみるとどうなるのか見てみよう。

※いずれも100gあたりのカロリー

  • 牛乳・・・67kcal
  • スキムミルク・・・35.7kcal

 

こうして見てみると、やはり乳脂肪分を除いている分だけあってスキムミルクの方が低カロリーなようだ。

 

スキムミルクの与え方

犬 スキムミルク

飲料として犬に与える場合

スキムミルクを水で溶かして与える場合は、加える水の量を調整する必要がある。

そのため、スキムミルク10g+水90g=牛乳100mlと考えて水加減を調整しよう。また、温めたものを与える場合は、いきなり熱いお湯を加えるとダマになりやすいので、ぬるま湯で溶かすと良い。

初めて与える際は、まずは少量からスタートして愛犬の様子を見よう。少量与えて大丈夫なようであれば徐々に量を増やしてやるといいだろう。

 

 

与え方をアレンジしてみるのもグッド!

水で溶かしたスキムミルクを、食事のトッピングの1つとしてアレンジしてみるのもグッド。

食欲不振の時など、市販のドックフードを牛乳感覚でふやかして与えてみる、手作り食をミルクスープのようにしてみる、などアレンジして与えるのも良い。

牛乳に比べ低カロリーなので、今まで牛乳を使っていたレシピをスキムミルクで置き換えてみるのもオススメだ。

 

 

さいごに

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スキムミルクを売っているのを見たことがない…という方は、コーヒーの粉やクリープ売り場を探してみよう。

スーパーに行けば、1~2種類程度は見かけることができる。ただ、コンビニやドラッグストアでは取り扱いがない場合が多い。もちろん、ネットで購入することもできるが、送料が追加されることを考えるとスーパーでの購入がオススメだ。

 

ぜひ今回の情報を参考に、愛犬の食事や飲料にスキムミルクを試してみてはいかがだろうか。

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