犬が尿毒症になった!原因と症状、治療法を紹介

犬 尿毒症
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犬の腎臓は背中の真ん中より少し下あたり、背骨両側に2つあります。

オシッコがここで作られて膀胱に溜められるのですが、こんな働きをしています。

  • 身体で不要になった老廃物や尿素などの毒素をオシッコとして排出させる
  • 血液中のイオン(ナトリウム、カリウムほか)濃度を保ってバランスを調整する
  • ろ過したオシッコの元から水分を再吸収して血圧を調節する

腎像のこれらの働きが弱まると、尿素が犬の身体の中に溜まり尿毒症を起こすとされています。

この臓器は気がつかないうちに少しずつ弱って行き、進行してしまうとその働きは元に戻りません。

犬の尿毒症はそのまま放置しておけば命にかかわる疾患ですので、早い発見と処置が必要なの。

ここでは尿毒症が起きる前に見られる症状や対策などについて紹介します。

 

犬の尿毒症とは?

身体に取り込まれたタンパク質は肝臓で分解されて有害なアンモニアとなり、さらにそれを元に無害な尿素が作られます。

これはタンパク質のアミノ酸に含まれている窒素のうち余分なものを排泄するシステムで、この尿素はオシッコに溶けた状態で排泄されます。

腎臓の働きが弱ってオシッコを作れなくなると、この尿素が身体の中に溜まってしまうだけでなく、ほかの窒素代謝物なども溜まるようになり、それらが単独や合わさって尿毒症を引き起こすとされています。

  • 尿素
  • 尿酸
  • クレアチニン
  • ポリアミン類
  • 副甲状腺ホルモン
  • β2ミクログロブリン
  • ミオグロブリン

窒素代謝物は摂取したタンパク質を分解することで作り出されますが、上記のどの代謝物がどのような毒性を持つのかについてはわかっていません。

 

尿毒症が引き起こされる原因とは?

下記の事が起こると誘因となって発症することがあります。

  • 細菌やウィルスによる腎炎などの炎症
  • 事故などによる外傷
  • 薬物やワンちゃんに良くないとされているものを食べたことによる中毒
  • 心不全、心筋症、ショックなどによって起こる腎血流量の低下
  • 自己免疫疾患などが発端で起こる腎炎
  • 尿路の閉塞がおこる(尿路結石、腫瘍ほか)

 

急性腎不全とは?

上記の原因によって一時的な障害が発生するなどして、数時間ないしは数日ほどの短期間に働けなくなる状態を指します。

このような急性の場合に、一時的に尿毒症を起こすことがありますが、原因が取り除かれると治まります。

また、そのことによって腎機能も戻ることがあります。

障害が発症する部位から3種類に分けることができます。

 

腎前性急性腎不全

心臓の疾患や脱水症状などが起こり、腎臓に流れ込む血液の量が減ってしまうことで起こります。

 

腎性急性腎不全

腎炎などの異常が発生して機能が落ちてしまうことで起こります。

 

腎後性急性腎不全

先にある膀胱や尿道などの尿路系で結石や腫瘍ができて塞がってしまうことで、オシッコを出すことができなくなると、働くことができなくなります。

事故などによって尿路の損傷があり、オシッコを出すことができなくなった場合も同じように働けなくなります。

 

慢性腎不全(CKD)とは?

急性腎不全の状態が続くなどのほか、高血圧の状態が長いこと続いているなどで腎血流量が増えて負荷がかかる状態が続くことなどで、腎臓のネフロンにあってろ過の役割を果たしている糸球体が少しずつ壊されていきます。

とはいえ、数十万個あるネフロンが半分ほど壊れたとしても、ワンちゃんの身体に症状が現れることはほとんどありません。

しかし、残って頑張っているネフロンにはじわじわと負担がのしかかっていて、少ずつ力尽きて壊れて行くのです。

一度壊れてしまったネフロンは二度と再生することがありませんので、放置しておくと完全に機能しなくなり、オシッコを作れなくなるため毒素が全身に回ります。

 

なりやすい犬種ってあるの?

7歳以上の高齢のワンちゃんが多いとされています。

また種類は関係ないとの説もありますが、国際獣医腎臓病研究グループの報告によると、下記のワンちゃんたちではリスクが高いとされています。

  • ブルテリア
  • イングリッシュ・コッカー・スパニエル
  • キャバリア
  • ウェストハイランド・ホワイトテリア
  • ボクサー
  • シャーペイ

 

症状にはどのようなものがあるの?

急性、慢性どちらの腎不全でも発症する可能性があり、軽症の場合にはこれらが見られます。

  • 水をたくさん飲み、オシッコをたくさん出す多飲多尿が見られる  
  • 元気がなくなり、呼びかけへの反応が鈍くなる
  • 食欲が落ちて、大好きなご飯やオヤツを残したりする
  • 体重が急激に減少しだす
  • 口臭が強くなり、アンモニア臭がするようになる
  • 胃腸障害が起こって嘔吐をする、あるいは下痢をするようになる

これらが一度に起こるわけではありませんので、診断は難しいかもしれません。

ただ、この中ではアンモニアの匂いがする口臭は特徴的です。

口からアンモニアの臭いがしているのを感じたら、獣医さんの診察を受けましょう。

そして、さらに進行して重度になると下記の症状が現れるようになります。

  • 口腔内の舌や粘膜の壊死が起こるほか潰瘍ができる
  • けいれんが起こる
  • 呼吸困難におちいる
  • 意識が障害されて混濁するようになる
  • 昏睡状態におちいる

舌壊死では先端部運などから少しずつ壊死していくとされていて、先っぽだけ色が変わり、さらに臭いが強くなるようです。

けいれんや意識混濁などの神経障害が起こるのは、毒素が脳にも回ってダメージを与えるためで、これらの状態におちいってしまったら、とにかく動物病院に運び込むしかありません。

また、軽症であっても尿毒症が発症したとなると、腎不全がかなり進行して大きなダメージが生じていると考えられます。

 

犬が尿毒症になったら治療法とは?

治療は身体に溜まってしまっている毒素や老廃物を尿と一緒に取り除くことが目的になります。

以下のように体液量や電解質バランスの調整や痛みなどへの対症療法です。

  • 輸液による水分と電解質の補給を行う
  • 尿量が少ないようなら利尿剤を投与する
  • 毒素を吸着するための活性炭などの吸着剤を投与する
  • 胃炎の改善には胃薬(H2ブロッカーほか)を投与する
  • 嘔吐があれば制吐剤を投与する
  • 下痢をしていたら下痢止めや整腸剤を投与する
  • けいれんがある場合には、抗けいれん薬を投与する
  • 口内炎などへの局所麻酔薬を投与する
  • 貧血が見られる場合には、エリスロポエチンなどの造血剤を投与するか、輸血も考える

急性で腎機能が回復する見込みがあるケースや、慢性でもまだネフロンが少しでも機能しているケースであれば、これで回復する見込みはあります。

しかし、すでにほとんど機能していない状態では、人工透析が必要となります。

このことからもふだんから腎臓の機能をチェックしておき、異常を早く発見することが大事なのです。

 

犬の人工透析とは?

腎臓がほぼ機能していないケースでは、透析で老廃物や毒素を取り除かなければなりません。

しかし、人間と違って長時間おとなしくしていることができないワンちゃんへの人工透析はたいへん難しく、設備が必要であることから一般的ではありません。

また、これは一度行えば良いというものではなく、その度に全身麻酔をかけるのは不安があります。

また、その費用も高額なため、尿毒症になったワンちゃんでは、旅立つのを看取るか安楽死しか選択肢がありませんでした。

そこに最近、CAPDと呼ばれる「連続携行式腹膜透析」をワンちゃんに適用する獣医さんが増えてきました。

このCAPDとは透析液を腹腔内に入れて、腹膜を通して毒素や老廃物を吸着させてから液を体外に取り出す方法で、ワンちゃんを入院させずにお家で毎日実施できるのです。

1日に数回、バッグを交換するだけでよく、通院も軽減でき、生存期間の延長が期待できます。

残念ながら、まだ一部の獣医さんの取り組みですが、この先研究が進んで気軽に使えるようになれば良いですね。

 

尿毒症を予防するには?

何といっても腎臓の調子を常に見張り、異変を早期に発見し、早期に治療することが大切です。

そのためには、かかりつけ獣医さんによる定期的な健康診断を受けるようにしましょう。

また、初期では食事による療法も重要です。

以下のことに注意してご飯を用意してあげましょう。

  • 尿素の元になるタンパク質を摂り過ぎないように制限する
  • リンも取り過ぎないように調整しながら与える
  • ナトリウムも取り過ぎに気をつける
  • 必須脂肪酸である「オメガ3脂肪酸」を摂取させる
  • 水分補給をしっかり行う
  • 食欲が落ちたワンちゃんには温めてあげたり、お湯でふやかしてやわらかくして食べやすくする

オメガ3脂肪酸はネフロンの毛細血管に起こる炎症を抑える効果があるとされています。

ご飯で取ることが難しければ、サプリメントなどで補うのも良いでしょう。

ほかに果物ではスイカが良いとされています。

 

犬が尿毒症になった!原因と症状、治療法を紹介・まとめ

身体の毒素や老廃物を尿から排出することができなくなって起こる犬の尿毒症は、腎臓の働きと密接な関係があるとされています。

何らかの原因によって急性腎不全が起こって発症するものは、腎不全を治療することで治まることがありますが、慢性腎不全の犬に発症する尿毒症は対症療法しか治療方法がないため、命が奪われてしまうこともあるのです。

慢性腎不全による尿毒症では、人間なら人工透析によって治療することができますが、犬での透析は研究が進められているとはいえ、まだ一般的ではありません。

尿毒症を予防するために、定期的な健康診断で腎臓の異常を早く見つけて、早く治療をして、愛犬を守ってあげてくださいね。

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