犬の皮膚にたかる寄生虫とは?芋虫のようなダニや、ノミなど

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虫が活動を始める夏は心配な季節ですね。

散歩での草むらの中などでは、さまざまな虫が快適な棲みかを探しています。

被毛の多い犬の皮膚は、芋虫のような毛包虫や寄生虫の快適な棲みかです。

その毛に隠れてどんどん繁殖してしまうのです。

そして、愛犬の皮膚のノミやダニなどの寄生虫や毛穴に住む芋虫のような毛包虫が皮膚炎を起こします。

これらの中には人に寄生するものもあるので、予防と早めの退治が大切です。

ここではそれらの種類や除去について紹介します。

 

犬の皮膚にたかる寄生虫の種類は?

ワンチャンにたかる主な虫には以下の種類があります。

  • ノミ
  • マダニ
  • 疥癬(ヒゼンダニ)
  • 耳疥癬(ミミヒゼンダニ)
  • 毛包虫(ニキビダニ)

これらは激しい痒みを伴いながら皮膚炎を引き起こすことがあるほか、命を奪われることがあるほどの恐い病原虫や病原菌を媒介することがあります。

また、人間にたかるケースがあるので、飼い主さんや家族も気をつけるようにしてくださいね。

 

犬に寄生虫がつく経路は?皮膚には芋虫のようなダニがいる

これらはそれぞれ異なった経路でワンちゃんに感染します。

 

ノミ

成虫は半年から1年くらいの生存期間ですが、そのほとんどは草むらなどで過ごしています。

近くにワンちゃんが来た際に、吐き出した炭酸ガスや歩く時のわずかな振動を感知して、身体に飛び移るのです。

また、ノミは成虫を取り除いても皮膚に卵を産み付けていることがあります。

それが残っていて孵ったりするほか、家の中に落ちてほこりなどに混ざって生きていることがあり、再び感染することがあります。

 

マダニ

ノミと同じように草むらなどで地上や葉っぱの上でワンちゃんが通りかかるのを待ち構えています。

やはり炭酸ガスや振動などを感知してワンちゃんの身体に飛びついて、皮膚の薄いところから血を吸います。

 

疥癬(ヒゼンダニ)と耳疥癬(ミミヒゼンダニ)

どちらもすでにたかられている生き物に接触することでうつります。

ドッグランなどでワンちゃん同士がちょっと触れ合っただけでうつってしまうほどです。

また、室外飼育のワンちゃんで犬小屋の周りに野良猫などを見かけたら、近寄らせないようにしましょう。

 

毛包虫(ニキビダニ)

このとても小さな芋虫のような形をしたダニは、ワンちゃん同士の接触でうつることはありません。

ふだんから毛穴に常在していておとなしくしているのですが、ワンちゃんの免疫力が低下すると毛穴の中で増殖するようになります。

すると痒みを起こして、掻いたり舐めたりすることで炎症を起こすことがあります。

なお、これらの中ではノミとマダニは人にもうつって吸血するので注意しましょうね。

人間がノミにくわれるとアレルギーを起こしたりして、ひどい水ぶくれができることあります。

またマダニは以前からワンちゃんにはバベシア病を、人間にはツツガムシ病や日本紅斑熱などを媒介することが知られています。

いずれも重篤化することがあり、最悪の場合では命を落とす疾患です。

そして最近では、SFTSウィルスを媒介するとして問題になっています。

このウィルスが引き起こす重症熱性血小板減少症候群で人間の死亡例が報告されているので、ワンちゃんを自然の中で遊ばせた後は、身体をくまなくチェックして確認してください。

また疥癬も人間にうつるので気をつけましょう。

 

犬の皮膚の寄生虫を除去するには

ノミとマダニはワンちゃんの身体をしっかり探すと見つかるので、取り除くことができます。

しかし、どちらも勢いで取り除こうとして潰してしまってはいけません。

 

ノミを手で取り除いてはいけない理由

ノミは潰すとそれがメスであった場合に体内にある大量の卵が飛び散ってしまうのです。

卵が飛び散ってしまうとワンちゃんの身体に振りかけてしまい、後で大変なことになります。

そして、その卵がワンちゃんだけでなく人間の口に入ってしまうと、卵に付いているサナダムシの仲間などの寄生虫が伝染することがあります。

 

マダニを手で取り除いてはいけない理由

マダニはワンちゃんの皮膚に噛みつくと、その奥深くまでその牙を突き立ててがっちり固定しています。

人間がそれを見つけてピンセットなどを使って無理矢理に引っ張ってしまうと、マダニがちぎれて頭部分が皮膚の中残ってしまいます。

そうなるとその部分が化膿してしまうことがあるのです。

この様にノミとマダニについては決して自分で取らないようにして、獣医さんに診察をしてもらった上で、その指示に従って駆虫薬などで処置してもらいましょう。

 

疥癬(ヒゼンダニ)と耳疥癬(ミミヒゼンダニ)

ヒゼンダニはワンちゃんの身体の体表にトンネルを掘り進めながら産卵をして増えていきます。

また、ミミヒゼンダニは耳道内に入り込んでいて外から取り除くことができません。

どちらも獣医さんの処置が必要となり、場合によっては外科的な処置が必要になることがあります。

 

毛包虫(ニキビダニ)

肉眼では確認できない芋虫のようなニキビダニが繁殖するのは、宿主であるワンちゃんに何らかの持病があって免疫が落ちているからです。

そのために持病の治療を優先しながらニキビダニを駆除することになるので、早く獣医さんの診断を受けるようにしてください。

 

犬の寄生虫の駆虫薬とは?

ノミとマダニには次のタイプの薬が処方されます。

  • スポット:ワンちゃんの首元に滴下して身体に拡げます
  • チュアブル:オヤツ感覚で食べさせることができます

飼い主さんたちの間では、オヤツのように食べてもらえるチュアブルタイプの人気が高いそうです。

最近ではビーフジャーキーのような味が付けられたものもあってワンちゃんが喜ぶようです。

それぞれいろいろな成分の薬剤がありますが、かかりつけの獣医さんに処方してもらったものを指示どおりに使うようにしましょう。

上の2つのタイプのメリットデメリットを挙げておきますので、獣医さんと相談する参考にしてください。

 

スポットのメリット

  • 薬剤をワンちゃんの首元に垂らすだけなので簡単
  • 口から薬を飲むことを拒絶するワンちゃんに投与ができる

 

スポットのデメリット

  • 投与した後は、乾くまでワンちゃんに触ることができない
  • 薬を塗られる感触を嫌がるワンチャンにはストレスとなる
  • ほかの疾患が起こっている時などでは投与することができない
  • 身体の全てに行き渡らせることが難しく、足先や顔には届かないことが多い

 

チュアブルのメリット

  • オヤツのように美味しく作られているものが多いので、ワンちゃんが喜ぶ
  • ほかの疾病があっても投与することができる
  • 全身に薬剤が移行するので効果を期待できる
  • 外用薬よりも速効性がある

 

チュアブルのデメリット

  • アレルギーがあると飲ませることができない場合がある
  • ワンちゃんの好みが合わないと食べてもらえないことがある

 

疥癬と毛包虫の治療薬とは

疥癬をおこすヒゼンダニは皮膚にトンネルを掘って潜り込むため、薬による治療がメインです。

また毛穴に住むニキビダニも同じ殺ダニ剤の内服薬によって取り除けます。

それらの治療には下記の殺ダニ剤が投与されます。

  • セラメクチン
  • ドラメクチン
  • イベルメクチン

ちなみに、この中のイベルメクチンは人間の新型コロナウィルスに効果があるとして、最近注目されている薬剤です。

 

犬の皮膚のハエウジ症、ウマバエなどの除去に駆虫薬

ワンちゃんに傷がありそれが化膿していたりすると、そこにハエが卵を産んでしまうことがあります。

室外飼育のワンちゃんではそのリスクが高いとされていて、次の種類のハエが引き起こすとされています。

  • ウマバエ
  • ウシバエ
  • ウマバエ
  • ウサギヒフバエ
  • ギンバエ
  • イエバエ
  • ニクバエ
  • ヒトヒフバエ

これらのハエはワンちゃんの身体の傷を見つけて、膿んでしまっているところに卵を産み付けます。

イエバエやギンバエなどは室内にも入り込むことがありますので、室内飼育のワンちゃんも決して油断できません。

産み付けられた卵が孵化するとウジとなって、奥深くに入り込み強い痛みや不快感やアレルギーなどを引き起こします。

そのため、ワンちゃんが不眠になるほか、辛そうに鳴きつづけるなどの行動が現れます。

 

ハエウジ症の治療

卵を産み付けられてウジが湧いている患部の被毛を広く刈ってウジが見えるようにした上で、ピンセットなどで1匹ずつ取り除く気が長い作業となります。

また、ウジが身体の奥深くに潜入している状況や、そこら中で湧いてしまっているような時には、切開して取り除くほか、イベルメクチンなどの駆虫薬で取り除きます。

なお、ウマバエの幼虫はマンゴーワームと呼ばれていますが、北アメリカやアジアに多く、日本では生息していないとされています。

 

寝たきり老犬のハエウジ症と安楽死

高齢のワンちゃんを家で看取るケースでは、寝たきりの褥瘡などに傷にウジわくことが多いとされています。

飼い主さんがいくら気をつけていても、ちょっとしたスキにハエが卵を産み付けてしまうのです。

起き上がることのできない寝たきりのワンちゃんにウジがわくと、その違和感や痛みで夜鳴きが止まらないこともあります。

ワンちゃんの苦しみ、飼い主さんの負担、それらを思うと、病院に預けることや安楽死もひとつの選択肢とする考えもありなのかもしれませんね。

 

犬の皮膚にたかる寄生虫とは?芋虫のようなダニや、ノミなど・まとめ

犬にたかる寄生虫は家の外はもちろん、中にもいることを知っておきましょう。

飼い主さんがちょっとでも油断していると、いつのまにか大事な愛犬に取りついてしまいます。

犬の皮膚にたかる寄生虫には芋虫のようなダニから、ノミ、果てはハエのウジまでさまざまです。

それを防ぐのに一番大切なことは愛犬の皮膚を常に清潔にしておくことが大切です。

また、スキンシップを取ることやマッサージを兼ねて、愛犬の身体を毎日チェックしておくことも忘れないようにしてくださいね。

犬にたかるノミ、ダニや芋虫のような寄生虫は、飼い主さんの愛情で防ぐことができるのです。

そして、もし不幸にして寄生されてしまったら、直ぐに動物病院に連れていって処置をしてもらいましょう。

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