犬の股関節形成不全はなぜ起こる?遺伝が原因?症状は?

股関節形成不全 犬
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小さい時はわからなかったのに、大きくなって歩くようになったら何か歩き方がおかしい。

これは骨盤の骨が上手く成長できず、後足の関節が変形して正常な歩行ができなくなる疾患です。

犬の股関節形成不全は遺伝によって起こることが多い疾患とされていましたが、最近ではそれだけでなく育てる環境にも関連があることがわかっています。

軽いものであれば成長すると一時症状が消えることがありますが、股関節形成不全は成犬になって再発することがあるのです。

ここではその原因や症状、治療方法や日ごろのケアなどについて紹介します。

 

原因にはどんなものがあるの?

遺伝と環境の2つの原因があるとされています。

 

遺伝によるもの

関節の凹みの部分が浅くなっているワンちゃんに起きやすいとされています。

生後4か月から1歳の間に確認されますが、3歳くらいになって現れることもあります。

大型のワンちゃんに多く、骨の成長速度と筋肉の成長のバランスが崩れて筋肉の成長が追いついていけなくなることで症状が現れます。

また、遺伝性の疾患であることから、両親がそうである仔犬の80%~90%が発症する可能性が高いとされています。

 

育成の環境によるもの

育てる環境においても原因があって、肥満させてしまうとかかりやすくなるほか、発症した場合にさらに悪化してしまうことがあります。

成長期の仔犬を飼うと早く成長させたいと思う気持ちはわかります。

特に大型のワンちゃんならば、栄養価の高いご飯をたくさん与えた方が良いだろうと思ってしまうものですよね。

ワンちゃんはご飯をたくさんもらえたら、喜んで全部食べてしまいます。

すると体重がグングン増えて、ふつうの成長以上に成長、つまり肥満してしまうのです。

その結果として成長しきっていないにもかかわらず負担がかかって形成不全となるので、ご飯の与え過ぎには注意が必要です。

 

どんな症状がでるの?

痛みを訴えるほかに、次のような症状が現れます。

  • オスワリをすると横座りになってしまう
  • 腰を振るように歩く
  • 四肢を突っ張るような歩き方をする
  • ウサギ跳びをするように後ろ足を一緒に動かして走る
  • 立ち上がるのに長くかかる
  • 高い所への昇り降りや、走ることを嫌がる
  • 立っている時に後ろ足が設置する位置の幅が狭い

この中で腰を振るように歩くことはモンローウォークと呼ばれていて、この疾患に特徴的とされています。

また、ウサギのように走ることはウサギ跳び様走行と呼ばれていて、こちらも特徴的な症状とされています。

成長期と成犬での再発とは違いがあって、成長期では関節の緩みがその周囲にも炎症をおこして痛みを生じます。

この成長期の痛みはだんだん和らいで、目に見える症状が減っていくため、一見治ったかのように見えますが、成長してから再発することがあります。

この成犬になってからの再発については関節の緩みはないものの、構造そのものの形成異常が見られます。

 

どんな種類のワンちゃんがかかりやすいの?

かかりやすいとされているのは主に以下の大型のワンちゃんたちです。

  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ジャーマン・シェパード
  • ハスキー
  • アラスカン・マラミュート
  • ブルドッグ
  • コリー
  • ボクサー
  • ドーベルマン
  • セントバーナード
  • ポインター
  • スタンダード・プードル
  • オールドイングリッシュ・シープドッグ
  • ロットワイラー

 

治療方法にはどんなものがあるの?

ワンちゃんの年齢、病状、関節の状態などによってことなりますが、大きく分けて2つの療法があります。

 

内科的治療

保存的治療とも呼ばれています。

  • 鎮痛剤投与
  • レーザー療法(疼痛管理)
  • 運動療法
  • 肥満をさせないための体重制限
  • リハビリ(マッサージ、ストレッチ、水中歩行ほか)

これらが行われることで症状が緩和されてふつうに生活できるようになります。

安静にしながらも適度な運動をして筋力をつけて関節が安定するようにします。

軽い症状ならばこれらによって効果が期待できますが、もし効いていないと診断されたら外科的治療が選択されます。

 

外科的治療

形成不全を治すための手術には主なものとして次の3つの術式があります。

  • 大腿骨頭切除術(広く一般的に行われている術式です)
  • 三点骨盤骨切り術(若いワンちゃんに施術されます)
  • 関節全置換術(人工関節に置き換えますが、費用がかなりの高額となります)

これらはワンちゃんの症状、関節の状態などによって、この中から適した術式が選ばれます。

 

手術の費用はいくらかかるの?

施設毎の設定や術式などで大きな差がありますが、平均的な金額は総額で40万円前後とされています。

あくまで一例ですが、左右両足に施術した際に費用がかかる項目は以下の通りです。

  • 診察料
  • 検査料
  • 全身麻酔料
  • 手術料
  • 入院費(5~6日間)
  • 薬剤費

 

犬の人工関節とは?

欧米では以前からワンちゃんの人工関節へ置換する治療が確立されていました。

最近になって日本でも実施する施設が増えていて、この疾患の治療法の一つとして注目されています。

この人工股関節全置換術(THR)はトレーニングを受けて熟練した獣医さんでなければ難しいとされていて、これを受けることができる施設はまだほんのひと握りです。

しかし、成功すればワンちゃんは日常的な痛みから解放されて、普通の日常生活を送ることができるようになるのです。

とは言え、100%成功するとは限らず何らかの合併症が1割の確率で起きるほか、費用が普通の手術よりもかなりの高額となることがデメリットでもあります。

 

日常のケアで注意することって?

痛みのケアが大切で、獣医さんからもらった鎮痛薬を投与しても痛みが引かないような時には、次のようなことに注意してあげてくださいね。

 

ワンちゃんの身体を冷やさない

冬場の寒さはワンちゃんの痛みを増強してしまいます。

ワンちゃん用の防寒用の衣服を着せて、靴下、靴などを履かせてあげて暖かくすることと、保温サポーターで関節を冷やさないようにしてあげてくださいね。

また、夏場でもエアコンが効き過ぎているような場所に連れて行く時は、服や靴を用意しておくと良いでしょう。

 

お尻から後ろ足をマッサージする

周囲の筋肉を優しくなでるように、円をえがくようにしてマッサージしてあげてください。

ただし、ワンちゃんが痛がるなどして嫌がるようであれば止めておきましょう。

 

部屋の床に滑り止めの処置をする

ワンちゃんが足を滑らせないように、フローリングの床にカーペットなどを敷いてあげると良いですね。

また、爪を常に短く切っておくことと肉球の間に生えている毛を短くしておくことも忘れずにしてあげてください。

 

激しい運動をさせないようにする

一緒に遊んでいるうちについ夢中になってジャンプさせたりすることのないようにしてください。

また、ドッグランなどもほかのワンちゃんにつられて走り過ぎて、関節の状態が悪化してしまうかもしれませんので、目を離さずに注意して見ていてあげてくださいね。

 

股関節のマッサージってどうやったらいいの?

あまり難しいことを考えずに優しくなでてあげるだけでも十分なのですが、効果的なマッサージのやり方を知っておきたい方のために紹介します。

次の手順でマッサージを試してみてください。

  1. 後ろ足がリラックスできるように横に寝かす(お気に入りのクッションなどを頭の下に敷く)
  2. お尻から後ろ足の部分を毛並みに沿うように、ゆっくりと手のひらを這わせる
  3. 手に少しだけ力を入れて、お尻から足先に向かって撫でていく

これを左右身体の位置を変えて、両方の後ろ足に繰り返しやってあげてください。

手は円をかくように動かして行くのがコツです。

痛みが強い時は嫌がるかもしれませんが、その際は止めて様子を見るようにしましょう。

 

予防に良いサプリメントや食材とは?

ワンちゃんの痛みを軽減するには、炎症を抑える成分や関節組織の損傷修復を助ける成分を摂取することが良いと言われていて、次のような成分が推奨されています。

 

炎症を低減させる

  • ドコサヘキサエン酸(DHA)
  • エイコサペンタエン酸(EPA)

これらはオメガ3脂肪酸と呼ばれていて、関節の炎症を低減する効果があるとされています。

これらを含むサプリメントやオヤツは多種多数が販売されていますので、かかりつけの獣医さんと相談しながら検討すると良いでしょう。

また、DHAもEPAも魚油に多く含まれていて、特に「青魚」と呼ばれる下記の魚種に多く含まれています。

  • アジ
  • イワシ
  • カツオ
  • サケ
  • サバ
  • サワラ
  • サンマ
  • ブリ
  • マグロ

手作りご飯を与えているなら、これらの魚を食べさせてあげると良いでしょう。

 

関節の修復を助ける   

グルコサミンやコンドロイチンはどちらも関節の軟骨を構成する成分として知られていて、関節に良いとされています。

これらを含むサプリメントやオヤツもたくさんの種類が売られています。

また、多く含む食品のうちワンちゃんに与えても大丈夫なものはこれらです。

  • 牛、豚、鶏の軟骨
  • オクラ
  • 山芋

なお、軟骨類は生で与えずに必ず火を通してくださいね。

 

犬の股関節形成不全はなぜ起こる?遺伝が原因?症状は?まとめ

犬の股関節形成不全は遺伝的な要因が大きいために、好発犬種を飼うことになったら気をつけましょう。

1歳を迎えるまではある程度定期的にレントゲンなどで獣医さんにチェックしてもらうことをおすすめします。

また大型犬の場合は早く成長するため、ついついご飯をたくさん与えてしまいがちですが、与え過ぎは肥満を招き股関節への負担が増えてしまいます。

ご飯の量はもとより栄養バランスなどについても、かかりつけの獣医さんとよく相談しながら育ててあげてください。

また、犬の股関節形成不全は成犬になっても発症することがあります。

手術を受けることになると高額な治療費がかかることになりますので、早めにペット保険に加入すると安心できると思いますので検討することをおすすめします。

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