犬の想像妊娠の原因と症状とは?避妊手術で解決?

犬 想像妊娠
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妊娠をしていないのに、まるでお腹に赤ちゃんがいるような、あるいは出産して子供を世話するかのような行動や身体の変化を見せることがあります。

犬が発情期を迎えている時に想像妊娠をすることがあり、偽妊娠とも呼ばれています。

これは疾患ではないので犬の身体への影響は少ないのですが、お腹が張ってご飯を食べなくなることや、乳腺が発達して乳腺炎になってしまうことがあります。

また、犬が想像妊娠すると子供を守るように警戒心が強くなり、言うことを聞かなくなることもあります。

ここではこのようなことがなぜ起こり、どのような症状があるかなどを紹介します。

 

どのような原因で起こるの?

女の子のワンコでは1歳ごろから発情が始まりますが、その際には女性ホルモンが放出されます。

その女性ホルモンには妊娠した際に働く作用を持つものがあり、していなかったとしても分泌されます。

特に終わりごろの黄体期にはプロゲステロンが分泌されていて、これの分泌量が下がるとプロラクチンというホルモンが分泌されます。

このプロラクチンの乳汁産生などを助ける作用によって、あたかも妊娠しているかのように、身体の症状や母性が見られるようになるのです。

発情で起こるホルモンバランスの変化が誘因ですが、それ自体は正常であるために疾患ではなく、生殖器官にも異常がなく繁殖能力は正常です。

発情後1ヶ月から2ヶ月ほどでこのような状態になると言われています。

なお、この想像妊娠は一度起きることで、その後は何度も起こしやすくなるとされています。

種類では下記のワンコたちが起こしやすいとされています。

  • アフガン・ハウンド
  • ビーグル
  • ボクサー
  • ダックスフンド

これらでは避妊をしていない女の子の6割ほどがかかるとされています。

 

どのような症状が現れるの?

実際に妊娠した時と同じような行動や体の変化を見せるようになります。

  1. 落ち着きがなくなる
  2. ぬいぐるみやオモチャを子供のように扱う
  3. 子供を育てる環境を作るための巣作りをする
  4. ぬいぐるみを取り上げようとすると攻撃的になる
  5. 人や動物が近づいただけで威嚇する
  6. 乳房や乳頭を舐めるようになる
  7. 乳腺が腫れて熱をもつ
  8. 乳汁が出る
  9. 体重が増える
  10. 腹筋が収縮して張りが出る
  11. 元気がなくなる
  12. 食欲がなくなる
  13. 食欲が増す
  14. オシッコが増える
  15. 下痢をする
  16. 嘔吐する

これらの症状は母性が生じて起こることや、妊娠した際と同じ身体の生理学的なこととそのほかに分けることができます。

  • 母性による行動変化(1~6)
  • 妊娠と同じ生理学的変化(7~13)

そのほかの多尿、下痢、嘔吐などはあまり多くは現れないとされています。

 

放置しておいても大丈夫なの?

生理が終われば自然と治まるものなので、そのまま放置しておいても問題はありません。

ただ、世話をしているぬいぐるみなどを取り上げようとすると歯を剝きだして威嚇するようならば、スキを見てぬいぐるみを取り除いておくと良いでしょう。

また、乳腺が腫れて乳汁が出ていると、乳首を舐め過ぎて乳腺炎を起こしてしまうことがあります。

それを防ぐには、エリザベスカラーを装着することや服を着せること舐められないようにしてあげてくださいね。

しかし、乳腺の熱感や痛みが酷くて苦しんでいる様子が見られる、あるいは神経質になり過ぎてご飯を全く食べなくなることがあると心配ですよね。

さらに、攻撃性が強くなり過ぎて飼い主さんに噛み付くようになってしまうと、家庭生活に支障を来します。

このような場合には、プロラクチンの分泌を低下させるカベルゴリンという薬による治療が行われることがあります。

ただし消化器症状やめまいなどの副作用が強いため、処方中は気をつけなければなりません。

 

防ぐことはできるの?

女の子のワンコに起こる生理的な現象なので、防ぐことは難しいでしょう。

あえて防ぐというのであれば、避妊が唯一の方法です。

卵巣や子宮を摘出することで生理がなくなると伴に、女性ホルモンによる影響もなくなります。

発情時の性器からの出血などもなくなりますので、ワンコにとっても飼い主さんにとってもメリットは大きいと言えるでしょう。

ただ、卵巣や子宮を摘出するには開腹しなければならないので、全身麻酔をかけることになり、そのリスクがあります。

また、発情の休止期に施術しなければなりませんので、獣医さんとよく相談の上で実施するかどうかを決めてください。

 

避妊のメリットにはどんなことがあるの?

生理がなくなり想像妊娠を防ぐことのほかに、避妊するメリットには以下のようなことがあります。

  • 生理がなくなるので、それによるストレスを感じなくなる
  • 生理がなくなるので、マナーパンツを履かなくとも周りを汚したりせず過ごすことができる
  • フェロモンが出なくなるので、散歩やドッグランなどで男の子とのトラブルを防げる
  • 望まない交配や繁殖を避けることができる
  • 乳腺腫瘍が起こる確率を下げることができる
  • 子宮に膿が溜まる子宮蓄膿症を防ぐことができる
  • 卵巣で起こりやすい卵胞嚢腫を防ぐことができる

女の子のワンコ特有の疾患を防ぐことができるメリットは、ワンコにとっても飼い主さんにとっても大きいでしょう。

これらの疾患について少し詳しく紹介します。

 

乳腺腫瘍

避妊をしていない中高年のワンコに発症しやすいとされています。

乳腺にしこりができて、胸や脇、下腹部、内股など一度に複数の部位にできることがあります。

悪性の場合は出血することもあって、リンパ節や肺、肝臓などに転移してしまうこともあります。

 

子宮蓄膿症

子宮の粘膜に常在菌のである大腸菌などの細菌が入り込んで感染を起こすことが原因です。

発情に関係が深く、通常は常在菌に対しての免疫が発動して感染が起こることはありませんが、発情後期に子宮の粘膜が厚く変化すると感染しやすくなるとされています。

この疾患も避妊をしていない中高年のワンコでの発症が多いとされています。

 

卵胞嚢腫

ワンコの卵巣関係の疾患で一番多いとされています。

卵巣にある卵胞がたくさんできて発育することで卵巣が肥大してしまいます。

この疾患も加齢によって発症しやすくなるとされています。

これらのほかにも卵巣や子宮に発生する疾患は多く、悪性腫瘍など早く処置をしなければ命にかかわるものがたくさんあります。

いずれにしてもお腹を開かなければならないものばかりですので、早めに避妊をしておけば一度で済むことが大きなメリットと言えるのではないでしょうか?

とは言えデメリットもあって、全身麻酔のリスクや、ホルモンバランスが崩れるため肥満しやすくなるなどが挙げられます。

 

避妊はどのように施術されるの?

実際にどのように行われるのか、その流れを紹介します。

 

前日までにすること

飼い主さんへの問診が行われ、レントゲン、血液など各種の検査で麻酔をかけることが出来るか確認をします。

 

当日の流れ

麻酔をかけた際に嘔吐すると窒息することがあるため、ご飯を与えないで空腹の状態にしておきます。

  1. かかる時間は30分~1時間ほどです。
  2. 注射、ガスなどで全身麻酔をかける
  3. お腹の毛を剃って消毒する
  4. 腹部を切開して卵巣と子宮を取り出す
  5. しっかり血管を縛り出血を防ぐ
  6. お腹を縫合する

 

術後

開腹した後は身体への負担や、麻酔からの目覚めの確認などをするために1泊入院する施設がほとんどです。

翌日までに呼吸の状態や食欲があるか、オシッコが出るかなどを確認できたら退院することができます。

その後は1週間ないし2週間で抜糸するまで、術創を舐めたりしないようにエリザベスカラーを装着したり、術後服を着せるなどします。

なお、最近では腹腔鏡を使って切除する施設が増えていて、お腹に複数の穴を開けるだけで開かずに施術することができます。

切除の時間が短いほか、ワンコに大きな傷跡が残らず体力を温存できて、日帰りで帰宅することができますので施術している施設を探してみてはいかがでしょうか?

 

避妊手術はいくつくらいから?費用はいくらかかるの?

あまり早すぎると臓器が小さく、身体が手術に耐えられるほど成長していません。

また、高齢になるとリスクが大きくなるため、最初の生理がある少し前として生後6カ月ぐらいが適しているとされています。

施設によって設定が違うことや、入院日数、身体の大きさなどでかなりの幅がありますが、全て含めて30,000~80,000円ほどと考えておけば良いでしょう。

また、腹腔鏡による摘出の場合は10万円ほどとされていて、開腹での摘出と大きな差はないようです。

 

犬の想像妊娠の原因と症状とは?避妊手術で解決?まとめ

女のこの愛犬が発情期に想像妊娠になってぬいぐるみをかわいがる姿を見ていて、微笑ましく感じている飼い主さんは多いことでしょう。

犬の想像妊娠は発情期の後期に発生するものですが、犬にとって発情は心地良いものではなく、痛みやストレスを伴う場合もあるのです。

また、犬が想像妊娠することによって人を傷つけることがあります。

さらには乳腺炎などの疾患にかかってしまうこともあるので、できれば起こさない方が良いものなのかもしれません。

薬剤によって治療する方法はありますが、副作用が多いとの問題があります。

治療よりは予防と考えるならば、若いうちに避妊手術をすることが最良かもしれませんね。

避妊については賛否両論ありますが、高齢になってからの生殖器系の疾患を防ぐことができて、そのメリットは大きく、施術の検討をおすすめします。

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