【獣医師監修】犬は杏子(あんず)を食べても大丈夫?種子や未成熟な果実には毒がある!?

犬 あんず 杏子 杏 食べる 大丈夫 毒性 与える
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ドライフルーツやジャムでお馴染みの「杏子(あんず)」。

旬の時期が一瞬で過ぎてしまうため、なかなか生の状態で食べる機会が少ないレアな果実だ。

というのも、杏子の旬は6月下旬~7月中旬の短い期間。熟していないと収穫できず、熟す速度が早く傷みやすいといった理由から、なかなか生の状態では出回らないのが現状なのだ。

そんなレアな杏子。もちろん犬が食べても大丈夫なのだが、種には毒性があるのはご存知だろうか?

とういことで今回は、杏子の栄養や与え方、種子の毒性について解説していこう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

あんずの栄養と効能

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食べごろを迎えた杏子は、甘酸っぱくてジューシーな味わいが特徴だ。

その9割が水分でできているため、初夏の水分補給にも一役買ってくれるだろう。

 

有機酸

杏子には、クエン酸やリンゴ酸といった有機酸を多く含んでいる。

これらの成分は、胃腸の働きを良くし、殺菌作用などの効果があるほか、乳酸を減らして疲労回復にも効果が期待できる。

 

 

GABA(ギャバ)

アミノ酸の1種であるギャバ。

今やチョコレートでも有名だが、あんずの果肉にも含まれている。

脳の血行を良くする作用が知られているので、興奮をおさえたり、ボケ予防の効果にも期待されている。

 

 

βカロテン

あんずのβカロテンは、果物の中でもトップクラスの含有量を誇っているのが特徴だ。

 

βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防老化予防に効果的と言われている。

しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素であるのも嬉しいポイントだ。

 

 

ビタミンE

ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できる栄養素である。

また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化すると言われており、動脈硬化の予防に期待ができる。

 

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。

 

あんずの種部分の毒性とは?

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古くは「唐桃(からもも)」と呼ばれ、咳の薬として種を採るために栽培されていたあんず。

しかし、杏子には「アミグダリン」という青酸配糖体の一種が含まれている。これ自体に毒性はないのだが、加水分解するとシアン化水素(青酸、猛毒)を発生する。

アミグダリンは主に、梅、ビワ、杏子、モモなどのバラ科植物の未成熟な果実や種子、葉などに含まれている。

 

みなさんも「青梅を生で食べてはいけない」という話を聞いたことはないだろうか?それは、青梅が未熟な果実であるからなのだ。

 

実際、農林水産省のホームぺージでも、ビワの種で健康を損なう可能性があると注意を呼びかけているほど。

問題になっているのは「ビワの種を原料とした食品」だが、有害物質が見つかり回収されている事案がある。

アミグダリンが含まれている果実を与える際は「熟した果肉部分=実」を与えるのであればOKだが、「種」は与えないようにしよう。

 

また、お散歩コースに梅、ビワ、杏子、モモなどの木がある場合も気をつけよう。未成熟な果実、種、葉など、愛犬が知らずに食べないよう注意したい。

 

あんずの与え方をマスターしよう

生の杏子を与える場合

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一瞬で過ぎ去ってしまう杏子の旬。

しかし、生で入手できるチャンスがあれば、迷わず皮と種を取り除いて甘酸っぱくてジューシーな味を堪能させよう。

良品を見抜くコツとしては、皮にハリと艶があり、締まった実であるのが良い。また、色が青っぽく硬いものは酸っぱい証。見た目の色が「橙色」で甘酸っぱい芳香がしているものは食べ頃のサインというのも覚えておこう。

とにかく熟すのが早いので、タイミングを逃すことなく愛犬と味わっていただきたい。

 

 

干し杏子を与える場合

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干し杏子とは、通常のドライフルーツのほか、梅干しと同じ製法で作られるものもある。

また、ドライフルーツと一口で言っても、天日に干したり、近年ではフリーズドライなどの技術も利用されているが、油であげたもの、砂糖で脱水させたものもある。

もちろん、与えても問題ないのだが、砂糖を控えてる場合は裏面のパッケージを確認してから購入するようにしよう。

 

 

ジャムや缶詰などの加工品は与えない

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主に、ジャムや缶詰に加工されたものがよく出回っており、生の果実そのものを食べる機会がなくとも手軽に購入できる加工品。

しかし、ジャムや缶詰に加工されたものは、砂糖や甘いシロップ漬けにされている分、カロリーや糖質はグンと高くなってしまう。

 

手軽さゆえに便利かもしれないが、与えれば愛犬がメタボになってしまう可能性は高い。理想の体型と健康を維持するためにも、加工品は犬には与えないようにしよう。

 

 

さいごに

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長野県千曲市には日本一の規模を誇る『あんずの里』があり、毎年、杏子の花が咲く時期になると千曲市にある展望台からは、一目十万本と呼ばれるピンクの花風景を見下ろすことができるという。

開花時期は3月末~4月上旬。桜に先駆けて花をつける杏子は、最盛期には木の枝にびっしりと花を咲かせ各地から50万人もの花見客が訪れるほどの盛況ぶり。

 

杏子の開花時期に産地を訪れる機会があれば、ぜひ愛犬と見渡してみたいものだ。

 

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