犬が胆泥症になった!原因は?食事療法を紹介

胆泥症 犬
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かかりつけの獣医さんでの定期健診で偶然見つかることが多いとされています。

犬の胆泥症はこれといった症状がないことが多く、健康そのもののワンちゃんに突然見つかり、戸惑う飼い主さんがたくさんいるそうです。

また、症状がないことが多いために、獣医さんたちの間では治すことについての是非で議論が交わされているそうです。

とはいえ、放置しておいて悪化してしまうと、重篤な状態になることもあるので、愛犬の胆泥症は早く見つけてあげることが大切です。

ここでは胆泥症の誘因や症状、薬などのほか予防的な食事療法やレシピを紹介します。

 

胆泥症とは?

胆のうは肝臓のすぐ近くにあって胆管で繋がっていて、肝臓で作られた胆汁を溜め込んでいる黒い風船のような小さい袋です。

胆汁は小腸での脂肪の消化を助ける消化液としての働きがあり、胆のうから総胆管を通って十二指腸に送り込まれます。

その成分は胆汁酸と呼ばれているステロイド化合物で、古くなり壊れた赤血球や体内で不要になったコレステロールなどから作られています。

これには脂肪を消化しやすいように乳化させる働きがあります。

この胆汁酸などが何らかの誘因によってドロのようになって溜まってしまうのですが、なぜこのようになってしまうかはっきりとはわかっていません。

ただ、その傾向としては下記のようなことが関わっているのではないかとされています。

  • 遺伝的要因
  • 高脂血症
  • クッシング症候群
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 甲状腺機能亢進症
  • 甲状腺機能低下症
  • 膵炎

このうち遺伝的要因としては、高脂血症をおこしやすいと言われているこれらのワンちゃんたちが挙げられていて、特に中高年のワンちゃんに発症しやすいとされています。

  • ミニチュア・シュナウザー
  • コッカー・スパニエル
  • シェットランド・シープドッグ
  • トイ・プードル
  • ヨークシャー・テリア
  • チワワ
  • パピヨン
  • シー・ズー

この中でも特にシェットランド・シープドッグは発症しやすいとされています。

 

なぜ起こるのか?

胆のう内にあるうちはサラサラな液体状の胆汁が、なぜ泥状に変わってしまうのかについては、まだはっきりわかっていません。

発症したワンちゃんを調べると高脂血症や上に挙げたものが在る傾向が高いことくらいしかわかっていないのです。

先に挙げた疾病のほかに、併発しやすいとされるのはこれらです。

  • 胆石
  • 胆のう粘液嚢腫
  • 胆のう炎
  • 肝機能異常
  • 肥満

胆石は人間ではよく見られますが、ワンちゃんでは少ないとされています。

胆のう粘液嚢腫ではムチンというゼリー状のものが溜まってしまい、破裂してしまうことがあるため、摘出されることがしばしばあります。

また、胆のうは肝臓と密接な関係があり、肝機能の数値の異常から胆泥症が見つかることがあります。

肥満については高脂血症と関連が深く、体重を落とすことが予防に繋がります。

 

どんな症状が現れるの?

まだ初期で軽症の場合ではほとんど無症状のため気づくことができないケースが多いとされています。

そのため、獣医さんによる健康診断や肝機能数値の異常で偶然発見されることが多いのです。

ただ、以下の炎症が併発しているようなケースでは症状が現れることがあります。

  • 胆のう炎
  • 肝炎
  • 膵炎
  • 腸炎

これらが併発されていると次のような消化器症状が見られることがあります。

  • 元気の消失
  • 食欲の低下
  • 下痢
  • 嘔吐
  • お腹の痛み

胆汁がドロドロになりますが、だからといって危険ということでもありません。

健康診断の際にはドロドロだったのにしばらくして調べたら元に戻っていた、などということをよく耳にします。

とは言っても、放置しておいてもし悪化してしまうと、さらに重篤な状態に陥ってしまいます。

もし胆のうや胆管が破裂するようなことになると、腹膜炎を起こして命にかかわることになります。

早めに見つけて早めに必要な治療を受けさせることが大切です。

 

治療にはどのようなものがあるの?

積極的に治療するかどうかは冒頭にも書いたように、獣医学会などでも議論となっていて、必ずしも積極的にしなくとも良いという声もあります。

しかし、少しでもワンちゃんの健康に不安を感じるのであれば、早期に治しておく方が良いでしょう。

治すに手段は大きく分けて3つあります。

  • 薬剤の投与
  • 胆のう摘出
  • 食事療法

胆泥症との診断を受けたものの、これといった症状が見られていないから、食事療法でそのまま様子を見るのも一つの考えです。

すでにドロドロな状態で薬剤を投与するか、あるいはそのものを摘出してしまうのかは、飼い主さんとかかりつけの獣医さんとでしっかり話し合って、ワンちゃんファーストで決めてくださいね。

 

治すにはどのような方法があるの?

原因となっているものや併発しているものによって異なりますが、一般的な治療方法を紹介します。

 

薬物による内科的治療

下記の薬剤が処方されます。

  • ウルソ(ウルソデオキシコール酸):利胆剤として胆汁の流れを良くするほか、肝機能改善作用もあります
  • スパカール(トレピブトン):胆のうの出口の筋肉を弛緩させて、胆汁の排泄を促進します
  • エリスロマイシン:胆のうを収縮させて胆汁の排出を促します

これらに加えて、タウリンやスルファアデノシルメチオニン(SAMe)などの肝庇護在剤を補助的に使うこともあります。

また、最近による炎症が起こっている場合には抗生物質が処方されます。

 

胆のう摘出などの外科的治療

薬物療法を行っても改善が見られず進行している場合には摘出します。

切除してから総胆管のカテーテル洗浄を実施します。

また、近年ではお腹を開かずに胆のうを摘出する、腹腔鏡下胆のう摘出術を施術する施設が増えています。

これはお腹の4~5カ所ほどに5~10㎜ほどの穴を開け、そこからトロッカーと呼ばれる器具を差し込んで、腹腔鏡を見ながら摘出を行います。

お腹の中を除きながら、止血をしつつ電気メスで切除しますが、開腹では見えない部分まで見る事ができるなどの利点のほかに、ワンちゃんの体力を温存できる大きな利点があります。

術後の入院日数を大幅に削減できるなどのメリットもあって、今後胆のう摘出のメイン術式となるだろうとされています。

 

摘出してしまっても大丈夫なの?

それ自体は溜めておくための臓器であるため、摘出してしまっても胆汁は肝臓で生産され続けます。

また、肝臓において、摘出後はそれまで以上に胆汁を生産するとされているので、摘出したことでの悪影響はありません。

問題があるとしたら、それまでは食物が胃腸に入ったタイミングで胆汁を十二指腸に放出していた働きが、どのようにカバーされるかということです。

しかし、摘出した後に消化吸収機能が低下したとの報告はないようです。

 

胆泥症の検査とは?

超音波検査がメインとなります。

身体に当てる超音波プローブの動きや角度、ワンちゃんの姿勢を変えることによって状況を正確に把握することが可能です。

ただし、ワンちゃんに胆のう炎などを起きていると、超音波プローブを押し当てると痛みを感じていやがることがあるかしれません。

超音波検査では胆泥の確認だけでなく、周辺の臓器のチェックをすることもできます。

  • 肝臓
  • 胆管
  • 十二指腸
  • 小腸
  • 副腎

これらの臓器の評価を同時に行うことができるのです。

 

予防にもなる食事療法とは?

この疾患の治療において一番大切な療法と言っても過言ではないでしょう。

基本は低脂肪かつ良質の脂肪と適度のタンパク質の摂取で、さらに消化が良いご飯の提供です。

 

低脂肪かつ良質な脂肪を摂る

脂質代謝へのトラブルが多いと考えられるため低脂肪の食事が基本です。

市販のフードであれば、脂肪含有率10%以下のフードを与えてください。

良質の脂肪としては酸化した脂肪を避けることが大切です。

理想の脂肪分としてはこれらが挙げられます。

  • オメガ3脂肪酸
  • 中鎖脂肪酸

これらを含むフードや食材を活用してくださいね。

 

適量のタンパク質を摂る

肝臓にトラブルが起こることが多いため、負担となるタンパク質の摂取を控えることも大切です。

アミノさんのバランスを考えながら、肝臓の負担を軽減していきましょう

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

これらの分枝アミノ酸を多めに与えることができるような食事を考えてあげてください。

 

高消化性のものを与える

脂肪の消化をサポートする胆汁が出にくくなりますので、それが少なくても消化系が働くことができるように消化しやすく吸収、代謝がスムーズな高消化性のフードや食材を与えるようにしましょう。

 

胆・肝に良い手作りご飯レシピ

オメガ3脂肪酸を含む亜麻仁油や低脂肪の鶏胸肉にカボチャなどの緑黄野菜などを使って、ケアに適した手作りご飯です。

緑黄野菜やきのこ類はワンちゃんが好きなものを選んであげると、喜んで食べてくれるでしょう。

 

材料

  • 鶏胸肉:80g
  • 亜麻仁油:小さじ1杯
  • 緑黄野菜:40g
  • きのこ類:30g

 

作り方

  1. 緑黄野菜類やきのこ類を小さく刻んで柔らかくなるまで茹でる
  2. 鶏胸肉は皮を剥いて一口大に切りわけて茹でる(油を抜く)
  3. 野菜ときのこ、鶏胸肉が冷めたら、亜麻仁油も加えて混ぜ合わせる

 

犬が胆泥症になった!原因は?食事療法を紹介・まとめ

犬の胆泥症は症状が軽く、自然治癒の可能性がある疾患です。

しかし、だからと言って放置おいて悪化する可能性は決して低くありません。

愛犬の健康診断などで見つかるケースが多いですが、超音波検査を実施しないと見落とすかもしれません。

犬の胆泥症を早期発見、早期対応するために健康診断の定期受診はもちろん、胆のう周辺の超音波検査も定期的に受けることをおすすめします。

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