【獣医師監修】犬はケールを食べても大丈夫?与える前に知っておきたい3つのポイント

犬 ケール 
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犬 ケール

高い栄養価から、野菜の王様と称される「ケール」。

ケールといえば、青汁で一躍有名な存在になったが、青汁=ケールはもう古い。

今や定番のスムージーをはじめ、サラダやソテーなど、さまざまな料理で味わえる人気野菜だ。

しかも最近では、苦みが控えめの品種も一般化されてきているので、以前よりも格段に食べやすくなっている。

 

そんなケール。犬に与えても問題ないのだが、与える前に少しだけ知っておきたいポイントがある。

ここでは、ケールの栄養や効能、与え方のポイントなどについて紹介する。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

ケールとはどんな野菜?

犬 ケール

ケールは青汁の原料となっている野菜だ。見た感じキャベツと似たような形をしているが、実はケールもキャベツも同じ仲間。

独特の苦みや臭いから同じ仲間とは到底思えないが、ほかに家庭でもよく食べられる大根やブロッコリーなども、ケールと同じ原種から品種改良して作られた野菜なのだ。

 

ケールの特徴といえば、暑さには弱いものの、温暖な気候であれば1年中栽培して収穫できるメリットがある。

しかし、キャベツの仲間ゆえ、霜が降りる冬場は甘みが増すが、その分、葉が厚くなって生食には向かないといったデメリットもある。

最近では、健康ブームによる青汁やスムージーなどの流行から、ケールの国産需要も高まってきている。主な種類としては以下の通り。

 

コラード系ケール

葉っぱがブロッコリーのような楕円形をしているのが特徴。比較的柔らかいのだが、軸部分は固い。

 

カーリー・ケール

見た目は、葉に切れ込みがあり、パセリのように細かくカールしているのが特徴。苦みやクセもなく、柔らかいので、サラダによく用いられることが多い。

 

カーボロネロ(黒キャベツ)

こちらは、イタリア・トスカーナ地方が原産。葉の色は濃い緑色をしており、細長くちりめん状になっている。繊維や風味が強いため、煮込み料理に向いている。

 

ゴズィラーナ

カーボロネロの仲間だが、クセも少なめなのが特徴。茹でたり、炒めたり、加熱することによって甘みを引き出すと美味い。

 

ケールは原種に近い野菜であるため、その分栄養価も高いが、種類によって特徴が若干異なってくる。

愛犬に与えるのは、苦味やクセのないカーリー・ケイルや、比較的柔らかいコラード系ケールなどを選びたい。

 

 

ケールの栄養と効能

犬 ケールケールの種類が分かったところで、次は栄養価についてチェックしていこう。

 

βカロテン

βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防老化予防に効果的と言われている。

しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換し、目の粘膜に必要なロドプシンと呼ばれるタンパク質の生成を促す。

これにより、目の粘膜や皮膚を正常に保ってくれる効果も期待できる。

 

ルテイン

天然のサングラスとも呼ばれ、目から紫外線のダメージを守る働きがある「ルテイン」。

ルテインには、黄斑変性症や白内障などの目の病気を予防・改善する効果が期待されている。ケールはβカロテンとも合わさり、目の健康を維持するのに適している野菜と言えるだろう。

犬や人も含めた動物は、ルテインを体内で生成することはできないので、不足しないよう摂取したい。

 

ビタミンC

ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素のひとつ。

年齢と共にその能力は低下するので、長期的に摂取したい栄養素である。

 

ビタミンE

ケールにはビタミンEも豊富に含まれている。

ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果に期待できる栄養素だ。

また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化すると言われており、動脈硬化の予防にも期待ができる。

 

メラトニン

私たち人間にとってメラトニンは、夜間に多く分泌され眠気を促す効果があるが、犬に対しては「発毛」の働きがあると期待されている成分。

犬の脱毛の治療法として動物薬に使用されている。

 

カルシウム

ケールにはカルシウムが豊富に含まれており、その量はなんと牛乳の約2倍も含む。

カルシウムは骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り派の方は不足しないよう意識して摂取したい成分

 

 

与える前に知っておきたい3つのポイント

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甲状腺に疾患のある犬は念のため注意

甲状腺は、甲状腺ホルモンという代謝を促すのに大切な物質を作って血液中に流してくれる重要な器官。

ケールのようなアブラナ科の野菜には「ゴイトロゲン」という成分が含まれており、甲状腺ホルモンをつくるのに必要な「ヨウ素」の吸収を妨げてしまう。

 

健康な犬であれば特に神経質になる必要もないが、もともと甲状腺に疾患のある犬には与えないようにしよう。

 

また、アブラナ科の野菜は他にも、ブロッコリー、キャベツ、小松菜など、どれも食卓に登場する機会が多い野菜に多く含まれている。ケールと一緒に扱うと摂取量も増えてしまうので気をつけたい。

 

嫌がる場合は無理に与えない

高い栄養価を誇るため、愛犬にもケールを食べさせたい方も多いだろう。

しかし、苦味の少ないケールが多くなってきているとはいえ、その特有の苦みが全くないわけではない。

苦みに抵抗があって食べない場合は、無理に食べさせないようにしよう。

 

 

食物アレルギーがないか様子を見守ろう

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。

初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

 

さいごに

犬 ケール 

ケールには「野菜の王様」と称されるだけの栄養が含まれていることが分かった。

これだけのハイスペックな野菜は愛犬の食事にも活用したいところ。と、言いたいところだが、甲状腺に問題があったり、アレルギーがあったりする場合は避ける必要がある。

βカロテンをはじめ、ビタミンC、E、K、B群、カルシウム、マグネシウムなどをバランスよく含んでいるが、愛犬の体質に合った摂取を心がけたい。

 

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