日本の米のルーツの1つともいわれる「黒米(くろまい、くろごめ)」。
中国では2000年以上の深い歴史があり、歴代の皇帝たちも栄養価が高いことから宮廷料理の常食として珍重されてきた。
中国の古い文献には、黒米には独特の栄養価値と薬用効果があるとされ、漢方薬や産婦の栄養食品としても用いられるなど、その栄養価の高さは昔の中国でも認められている。
現在でも中国の医学では滋養強壮によいとされ、「長寿米」として薬膳料理に使われているほどだ。
もちろん、黒米は「米」であるため、犬に与えても大丈夫な食材ではあるが、具体的な栄養や普段食べている白米との違いなど意外と知らない人も多いのではないだろうか?
そこで今回は、黒米の知られざる魅力について紹介したい。
アントシアニンがたっぷり!黒米の魅力
かつて、世界三大美女の1人としてうたわれた楊貴妃も美容効果を期待して食べていたとされる黒米。
それもそのはず、黒米は白米にはないポリフェノールであるアントシアニンを多く含んでいるのだ。黒米特有の色であるアントシアニンは、高い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きがあるといわれている。
また、白米と他の栄養素を比べてみてもその差は歴然。
ビタミンB1にいたっては白米の約5倍、ビタミンB2は約4倍、ナイアシンは約9倍、カルシウムは約2倍、食物繊維は約6倍と、白米よりも圧倒的な含有量を誇っている。
これほど高い栄養価を持ち合わせている黒米。健康や美容を意識していた当時の皇帝たちに敬愛されていた理由はここにあるといえるだろう。
黒米に含まれる栄養と効能
黒米の魅力が分かったところで、次はどんな効能が期待できるのかチェックしていこう。
アントシアニン
黒米はアントシアニンと呼ばれるポリフェノールの一種を多く含んでいるため、黒から赤紫の色がついている。
このアントシアニンはブルーベリーでもお馴染みの成分で、疲れ目や視力回復に効果があるとされているが、犬にも同様の効果があるのかどうかの確証はまだないようだ。
しかし、アントシアニンは抗酸化作用、抗炎症作用、毛細血管を保護、血液をサラサラにする作用もあるので、犬の健康にもプラスになる可能性は高いといえるだろう。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。
別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。
ビタミンB2
糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。
別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要な栄養素だ。
ナイアシン
ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
糖質・脂質・タンパク質の代謝には欠かせない。循環系、消化器系・神経系などの働きをサポートしてくれる。
黒米の与え方
まず、黒米は白米に混ぜて炊くのが一般的だ。
生米を与える人はいないと思うが、必ず炊いた「黒米」を犬に与えるようにしよう。ここでは、黒米の与え方や注意点などをお伝えしていく。
黒米は硬いので柔らかくする必要がある
みなさんは「米」といったら、炊き上げた白米のふわふわ感をイメージされると思うが、実は黒米は「硬い」という大きな特徴がある。
このため、お好みや、パッケージに記載されている分量で炊いていただいても構わないのだが、犬に与える分は人が食べるよりも柔らかめに炊くか、おかゆ状にしてあげる必要がある。
犬は穀物を消化することは苦手な分、消化に優しく柔らかめにしてから与えるようにしよう。
食物繊維の摂りすぎには注意しよう
黒米には白米の約6倍もの食物繊維が含まれている。
適量であれば便通を良くして軟便や便秘を改善してくれる食物繊維だが、ほかの食材で食物繊維を多く含むものと併用する場合には摂取量には気をつけなくてはならない。
摂り過ぎは逆に便が硬くなり、ウンチが出にくくなってしまうので摂りすぎには注意を。
特に、白米と同じ感覚で与えると摂取量も知らずに増えるので注意したい。
さいごに
黒米というと、ボソボソした食感のイメージがあるかもしれないが、意外にもプチっとした食感がアクセントになって食べやすい。
しかも、白米に少し混ぜて炊くだけで、栄養価も高くなるという手軽さも嬉しいポイントだ。
いつも与えている食事の栄養を強化する意味で、時には黒米を少しプラスする…、そんな黒米の使い方もいいのではないだろうか。
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