【獣医師監修】犬に「カニ」を与えても大丈夫?甲殻類はアレルギーになりやすい!?

犬にカニ
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犬にカニ

これから冬に向けて、カニ好きにとってはたまらない季節がやってきます!

水産物の中でも屈指の人気を誇るカニ。冬に鍋や茹でて食べようと考える人も多いのではないでしょうか♪

 

そんな冬をイメージさせるカニですが、6月22日がカニの誕生日なんだとか…。
カニの日の由来は2つあって、1つは「かに」を50音順にすると「か」が6番目、「に」が22番目にくるからという理由と、6月22日は「かに座」の最初の日にあたるんだそうです。

1990年に大阪発祥の「かに道楽」が作った記念日。なんとも面白い発想ですね♪

と、話がそれてしまいましたが(;´・ω・) 今回の本題は「犬にカニを食べさせても大丈夫か?」についてのお話です。それでは早速見ていきましょう!

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

犬にカニを与えても大丈夫?

犬にカニ

結論を言えば、茹でたり、焼いたりした身の部分であれば犬にも与えることは可能です。

 

逆に、カニをお刺身のような「生」の状態で犬に与える場合はどうなのでしょう??

実は、カニを生で与えた場合、ビタミンB1欠乏症になってしまう可能性があります。

犬にとって、ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素です。記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する役割もあります。

 

しかし、カニにはビタミンB1を分解してしまう「チアミナーゼ(アノイリナーゼ)」という酵素が含まれています

この酵素チアミナーゼの一種であるアノイリナーゼは加熱(茹でる・焼く)すると分解される性質をもっています。そのため、与える際は生ではなく、加熱したものを与えるのが良いでしょう。

 

ちなみにビタミンB1が不足すると、

  • 脚気の発症(動悸、息切れをしやすくなり、元気がない、などの症状)
  • 疲れやすくなる
  • 食欲不振からの体重減少
  • 視力や発育の障害

などの症状が現れます。

 

なお、成長期の子犬の多くはビタミンB1を必要とし、その要求量は成犬の2倍とも言われています。消化機能が完全に発育していない時期には与えない方が無難です。

 

カニを与える際に知っておきたい事

犬にカニ

「特定原材料」という言葉を皆さんはご存じでしょうか?

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのですが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があります。

その中でも特にアレルギーを引き起こす可能性が高い食品を「アレルゲン7品目(特定原材料7品目)」として、国が表示する義務を法律で定めています。

 

その中にはカニも含まれており、私たち人間でも「アレルギーがあって食べられない」という人も少なくありません。そして犬も同様、個体にもよりますがカニにアレルギーを持つ場合もありますので注意が必要です。

 

アレルギー症状が出ると、かゆみ、下痢・嘔吐、元気がなくなるなどの症状が現れます。

しかし、アレルギーは原因の特定が分かりづらいもの。

カニを食べたからといって、すぐに症状が現れるケースもあれば、2回目、3回目と与えて症状が現れるケースもありますので、アレルギーの症状が疑われる場合は動物病院で検査するのも大切です。

 

犬に与えてはいけない部分とは?

犬にカニ

カニと言えば、身はもちろんのこと味噌も美味しく食べられますし、殻以外はみんな食べられるという認識の方も多いのではないかと思います。

 

ですが、カニの殻をパカッっと開けると「食べれるかどうか疑問?な部分」ってありますよね?(;´・ω・)

それでも飼い主さんが与えれば犬は喜んですぐに丸のみしてしまうもの…。

 

うっかり犬に与えてしまうと、消化不良や下痢・嘔吐の原因、最悪の場合は食中毒のリスクもあります。飼い主さんも食べてしまわないように「与えてはいけない部分」を、一度おさらいしておきましょう!

 

与えてはいけない部分① 「エラ・胃・腸・心臓」

カニの甲羅をパカリと外すと、ビラビラした三角の部分。それが「エラ」です。

なぜ、カニのエラは食べられないのか?それは海水を濾過している器官だからです。海水には当然ながら雑菌も多く存在しており、エラは雑菌や汚れを付着しやすい部分になっています。

しかも、カニの中で1番早く腐るのはエラだとも言われていることから、エラが他の部位に比べて汚れていることがわかります。

 

他にも、胃や腸・心臓といった部分もありますが、茹でたとしても万が一雑菌や寄生虫が死滅していなかったら体に悪影響が出る可能性があります。

 

そしてなにより美味しくない!(;´Д`)

リスクが大きいので、犬には絶対に与えないように注意しましょう!

 

 

与えてはいけない部分② 「甲羅・殻・スジ(腱)」

犬の噛む力を考えた場合、体重が大きな大型犬なら「かみ砕く」ことも可能でしょうが、なによりまず消化に悪いです。しかも、割れた甲羅や殻で口の中や消化器官を傷つける可能性もあります。

よく、カニの殻を使って出汁を取る方も多いかと思います、犬が目を離した途端に盗み食いしないように注意することも大切です。

 

また、カニの脚を食べる時に腱(白い半透明のスジ)がありますが、犬が食べると胃腸内で消化不良を起こし嘔吐してしまう可能性があります。

基本的には犬が食べやすく消化に良い状態で与えましょう。

 

 

まとめ

犬にカニ

いかがでしたでしょうか?今回のまとめとしては、

  • 加熱処理したカニは犬に与えても問題ないが、食べやすくして与えるのが理想的!
  • 犬にカニを「生」で与えると、ビタミンB1欠乏症になってしまう可能性がある事を知っておく。
  • カニのエラや胃、腸、心臓、甲羅などは犬には与えない。

 

冬になるとスーパーに大量に並ぶ「カニ」。細かく分類すると世界には5000種類以上のカニが存在し、日本の海域に限定しても、その数約1000種類は生息しているというのだから驚きです。

 

これから冬に向けて、カニを食べる機会も増えてくるかと思います。飼い主さんが食べていれば犬も当然気になり欲しいと寄ってくることも多いのではないでしょうか。

 

しかし、犬にカニを与える場合は注意点が多いので、積極的に与えるべきではないのかもしれません。加熱したものをおすそ分けする程度が良いのかもしれませんね♪

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