【専門家監修】お米を犬にあげていいの?犬が白米を食べた時の効果や量・ダメな与え方も紹介

犬 お米
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最近の日本人は昔に比べてお米を食べなくなったといわれていますが、それでも日本人の主食は炊き立ての白いご飯です。

ひと昔前なら日本の家庭で飼われていた犬や猫の食事は、残りご飯にみそ汁をかけた「ネコまんま」でした。

それが日本のペット飼育の文化でしたから、今でも愛犬の食事に白米ご飯を食べさせている飼い主さんは多いことでしょう。

でも、そもそも先祖のオオカミが肉食動物であった犬に、穀類を与えても大丈夫なのでしょうか?

大丈夫だとしても、食べさせたらどんな良い効果があって、どれくらい与えるのが適量なのでしょうか?

そんな疑問にお応えしながら、飼い主さんがお米を愛犬に与える際に注意すべき事なども含めて紹介します。

【専門家監修】大谷幸代

専門家 監修
【動物関係の保有資格】専門学校講師、愛玩動物飼養管理士・トリマー・アロマセラピスト・ホリスティックケアカウンセラー・ペット食育士・ペット災害危機管理士・マウスケアメンター等

 

お米を犬に与えても大丈夫?

結論から申し上げますと、犬にお米を食べさせても大丈夫です。

お米に含まれるデンプンやタンパク質にビタミン類、ミネラル類は、犬にとっても体調維持に有効な栄養素です。

ただし、きちんと炊くなどして加熱処理されてやわらかく調理されていることが大切です。

美味しそうに食べるからといって、生米をそのまま与えるとお腹をこわすことがあるので止めてくださいね。

また、人に比べると腸の長さが短い犬は、食物繊維などを一度にたくさん摂取するとそのまま消化されずに排泄されてしまうだけでなく、かえってお腹の調子を悪くしてしまいます。

やわらかく炊かれたお米を犬に食べさせ過ぎないように注意すれば問題はないでしょう。

気をつけなければならないのは、白米(もち米)の加工食品であるお餅です。

できるだけこまかく切るか、あるいは食べさせない方が良いでしょう。

大きな切り餅などをそのまま与えると、犬がはそしゃくせずに丸のみしてしまい、のどに詰まらせて窒息してしまうかもしれません。

同じように米粉で作るお団子なども注意してくださいね。

 

犬がお米を食べてはいけない・ダメな理由も紹介

最近、ペットショップなどで「グレインフリー」と書かれたドッグフードをよく見かけます。

グレインとは穀物のことで、「犬には穀物が必要ないどころか、むしろ体調を崩す」との考えから2010年ごろからアメリカで流行りだして日本に入ってきたフードです。

その製品開発のコンセプトは、犬の消化管は肉類の消化は得意でも、お米などの穀物を消化するのは苦手なため、穀類を全く使わないドッグフードを与えることで、お腹をこわして体調を崩すことを防ぐことにあるとされています。

たしかに犬は人と違って、デンプンをブドウ糖に替える酵素であるアミラーゼが唾液中に少ないことが知られています。

そして犬はアミラーゼの分泌が少ない上に、人のように食べ物をそしゃくせず丸のみしてしまうために、お米を食べるとデンプンが糖化されないまま消化不良を起こすとされています。

しかし、人と同じくように犬もアミラーゼは脾臓からも分泌されているので、デンプンを全く消化できないことはありません。

大昔に犬の先祖がオオカミから分かれて犬として進化し、人と暮らして雑食の食生活を送る様になってからは、犬のアミラーゼ分泌量がはるかに増えたとする学説もあります。

実際に犬の飼い主さんに愛犬の食生活を考えてみた時、愛犬に穀物を使ったクッキーなどのオヤツをあげていませんでしょうか?

あるいはパンを食べさせたりすることがありませんでしょうか?

その時愛犬は必ずお腹をこわしているでしょうか?

愛犬用のクッキーを食べさせてもお腹をこわさないのであれば、犬がお米を食べてもお腹をこわさないと考えてよいのではないでしょうか。

 

お米の栄養素と犬への効果

お米の栄養成分は以下のとおりです。

  • デンプン
  • タンパク質
  • ビタミンB1・B2
  • ビタミンE
  • カルシウムなどのミネラル類
  • 食物繊維

ちなみに玄米は白米より栄養価が高く、食物繊維は6倍、ビタミンEは12倍、ミネラル分のマグネシウムは5倍多く含むとされています。

白米のデンプンはエネルギーになりますし、タンパク質は筋肉や爪、体毛など身体をつくる上で大切な栄養素です。

またビタミンやミネラル類には皮膚などの状態を良好に維持する作用や、神経機能の調節作用などがあり、必須ともいえる栄養素です。

この様に愛犬の食生活のバランスを考えれば、お米は体調維持管理においてとても役に立つ食材である事がわかります。

 

まずはおさえておきたい!お米を犬に食べさせる時の注意点

犬にお米を食べさせる時の注意すべきポイントは3つ。

消化吸収・適量・塩分濃度です。

 

加熱処理してやわらかくする

まずは白米を炊く、煮るなどで犬が消化しやすくしてあげることが大切です。

玄米も白米より多めの水でやわらかくして与えるようにしてください。

消化管の働きが衰えている老犬や未発達な仔犬にお米をあげる場合は、フードプロセッサーなどにかけてトロトロの状態にしてあげると消化しやすくなるでしょう。

 

一度にたくさん食べさせない

お米に限らず、愛犬に一度にたくさん食べさせることは良くないことです。

特にお米を食べさせる時には、先に書いた消化酵素のこともあり配慮する必要があります。

美味しそうに喜んで食べるからと言って、決して与え過ぎないようにしましょう。

また、お米によるアレルギーはまれではありますが、可能性はゼロではありません。

初めて食べさせる時などは少量にして、しばらく様子を見る様にしてくださいね。

さらにお米は高カロリー食品ですから、食べ過ぎは肥満の原因となります。

手作りフードの場合で、ふつうに炊いたご飯を主食として食べさせるなら、体重5㎏の犬で1日あたり300gまでと指導する獣医さんが多いようです。

ドッグフードに混ぜるなどする場合は、もっと減らした方が良いでしょう。

 

味付けをしない

飼い主さんが炊き立ての白いご飯を食べる時は、塩味が効いた「ご飯のお供」と一緒に楽しみたいですよね。

でも、お米を犬に与える時は味付けなどは必要ありません。

犬にも塩分は必要ですが、人と同じような感覚で摂取してしまうと摂り過ぎになってしまいます。

ドッグフードなどにお米を混ぜるのであれば味付けは必要ありませんし、ご飯だけ食べさせる時でも塩などはふらずに与えた方が良いでしょう。

 

お米を犬にあげてもいいの?・まとめ

グレインフリーのドッグフードについてアメリカ食品医薬品局(FDA)が、常食していると心臓病になりやすくなる可能性があると発表したことが話題になっています。

根拠のデータなど詳細はわかりませんが、愛犬家には興味のある話題ですね。

「グレインフリー」という思想は最近生まれた愛犬の食事スタイルであり、必ずしも科学的根拠に基づいたものでない以上、「正解」とは限りません。

日本においては古来からずっと、犬にお米を食べさせてきた歴史があります。

愛犬のための栄養食品の一つとして、栄養バランスを考えて注意をしながら与えれば、お米は愛犬の健康管理に役立つ食品であるといえるのではないでしょうか。

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