犬の歯石はどうやって取るの?予防方法や除去の値段は?

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ワンちゃんにペロペロを顔舐めさせてあげるのはくすぐったいけど、一生懸命舐めてようとする姿はかわいいですよね。

でも、何か変な臭いがするなと思ったらワンちゃんの口臭だったとか、ふと歯を見ると根っこの方が黄色くなっていたりしていませんか?

黄ばみは歯石と呼ばれるもので、カルシウムが食べカスなどからできた歯垢にくっついて固まってしまったものなのです。

歯みがきでは犬の歯石は除去できず、値段が高いからと歯石を放置すると歯周病になるので、きれいにしてあげなければなりません。

なので、犬の歯にできた歯石は、値段が張っても獣医さんに除去してもらうようにしてください。

ここでは歯石ができるメカニズムを解説して、予防のしかたや除去にかかる費用を紹介します。

 

犬に歯石ができるのはなぜ?

歯石はワンちゃんの唾液に含まれているカルシウムが、歯の表面にくっついて固まってしまったものです。

何で歯にくっついてしまうかというと、歯の表面にプラークと呼ばれる歯垢がたくさん着いてしまっているからなのです。

歯垢は、歯に残った食べカスなどをエサにして、口の中の細菌がネバネバしたものを出して歯にくっついてしまうもので、ケアしないでいるとどんどん溜まります。

ワンちゃんの場合ではこの歯垢が3日から5日ほどで歯石となるとされていて、歯の表面がザラザラになって口臭がきつくなるなどの症状が出るようになります。

 

歯石をそのままにしておくとどうなるの?

歯石が溜まったままにしておくと、やがて歯肉炎になり歯ぐきが腫れてぶよぶよになるなどして出血するようになります。

歯肉炎のうちであれば治すことができるのですが、そのまま放置しておくと細菌やそれが出す毒素がさらに奥の方まで入り込みます。

そこまで進行してしまうと、歯根に炎症が起きるばかりかアゴの骨にまで炎症が拡がってしまうこともあるのです。

こうなると歯周病となって歯が抜けるほかアゴの骨がもろくなるなどが見られるようになり、3歳以上のワンちゃんの80%はこの歯周病を発症していると言われています。

さらに細菌が増えて血管に入りこみ全身に回ってしまうと、腎臓病、肝臓病だけでなく心臓病を起こすことがあるので、気をつけなければなりません。

 

歯ぐきの異常をチェックしましょう!

ワンちゃんの歯とその周りの異常を早くしるために次のようなことがないかをチェックしましょう。

  • 口臭がある
  • 歯ぐきの歯肉が赤く腫れている
  • いつもよだれを垂らしている
  • よだれに血が混じることがある
  • 歯の表面を見ると黄色く汚れている
  • 歯やアゴをガチガチと鳴らすことがある
  • 足で口や歯をこするようにする
  • 口を触ると嫌がる
  • 硬いもフードなのを噛まずに飲み込んでしまう
  • ご飯を食べる時に顔を傾ける

これらの全てでなくともいくつか見られるようであれば、早いうちに診察を受けておきましょう。

 

歯石を自宅で除去するにはどうしたらいいの?

最近ではワンちゃんの歯石を自宅で取れるとして、以下のようなものが売られています。

 

ハンドスケーラー

先端がとがっていてそれで歯石をガリガリと削り取る道具です。

削る部分が片方だけのものと両端に付いているものがありますが、ワンちゃんがじっとしていないと尖った先っぽで口の中を傷つけてしまうことがあります。

さらに、ワンちゃんが酷く暴れると口の中だけでなく、顔や目などを着いてしまうこともあります。

 

超音波スケーラー

人間の超音波電動歯ブラシのように先っぽを振動させて水圧も利用して、当てるだけで歯石をはがすことができるのですが、メリットだけではありません。

ワンちゃんが振動や水を嫌がって暴れる場合があるのと、同じ歯に長く当ててしまうと痛みが出たりします。

また、口腔粘膜などに当ててしまうと火傷のようになってしまうこともあり、使いこなすのがハンドスケーラーとおなじように難しく大変です。

さらに、製品が高価なこともデメリットになります。

 

歯科用ペンチ、鉗子

スケーラーよりも確実に削り取れる道具ですが、使い慣れていないと口の中を傷だらけにしてしまう恐れがあります。

 

歯磨き粉

歯石を溶かす成分が入っているとされているものが売られています。

これらを使って自宅で歯石を取ることが可能ではありますが、大前提としてワンちゃんがおとなしく口の中を触らせてくれないとできません。

嫌がる場合に、無理矢理押さえつけて動けないようにして口を無理矢理開かせれば出来ない事はありませんが、次からは察して寄って来なくなるでしょう。

また、怒って本気で噛み付くようになってしまうかもしれません。

自宅で歯石を取るのは、あくまでおとなしくやらせるワンちゃんだけにしておきましょう。

さらに、素人がやった場合には、歯と歯の間や裏側の歯石を見落としてしまうことがあります。

 

獣医による全身麻酔での歯石除去とは?

獣医さんが歯石を取る際に最近ではハンドスケーラーで削るより、細かい振動と水圧を利用した超音波スケーラーで歯垢や歯石を取り除きます。

これをスケーリングと呼びますが、おおまかに次のような手順で実施されます。

  1. 全身麻酔をかける
  2. 超音波スケーラーで1本ずつ歯石を除去していく
  3. スケーラーで凸凹になった歯の表面を研磨剤入りのペーストで研磨する
  4. 研磨した表面にフッ素をコーティングする

なお、歯肉炎、歯周炎などがあれば、同時に抗生物質軟膏などを注入して治します。

このように歯の裏側や歯ぐきの様子もじっくり調べながら行うために、全身麻酔でしばらくじっとさせておく必要があるのです。

 

無麻酔での歯石除去とは?

最近では麻酔をかけない歯石取りを宣伝している動物病院を見かけることが多くなりました。

高齢のワンちゃんなので麻酔が心配な飼い主さんが利用することも多いと思います。

しかし、スケーリングは短くても30分はかかるとされ、歯周病が進行していたりすると数時間かかることもあるのです。

その間、どんなにおとなしいワンちゃんでも我慢ができなくなって途中で終わることになり、全ての歯をきれいにするのに何度も通うこともあるのです。

そのような状況では歯の裏までしっかりみがくことは不可能でしょう。

また、動物医療の学会などが獣医師ではないスタッフが無麻酔でスケーリングをすることを、危険であると問題視するレポートなどが出されています。

 

歯石除去のお値段はいくら?

全身麻酔、無麻酔それぞれの料金は次のようになっています。

 

全身麻酔による歯石除去

これを行う場合の料金は、20,000円~50,000円ほどです。

施設よる差のほかに年齢、体重、歯石(歯肉炎、歯周炎)の進行度合などによって違います。

内訳は以下の通りです。

  • 術前検査(麻酔の適合を調べるための血液検査、レントゲン、問診ほか)
  • 全身麻酔
  • 歯石除去

これらに加えて抜歯や縫合が行われると別料金が発生します。

全身麻酔に関してはワンちゃんの健康状態や既往歴などをきちんと獣医さんに伝えておきましょう。

 

動物病院での無麻酔による歯石除去

この場合では3,000円~8,000円とかなりお安くなっています。

しかし、無麻酔の場合は目に見える外側部分の歯石しかきれいにすることができないとされています。

また、歯周病のワンちゃんでは、歯と歯ぐきの間の歯周スポットをきれいにしなければなりませんが、これには痛みが発生します。

麻酔をしないワンちゃんはこの痛みに耐えられずに暴れるでしょうから、無麻酔では歯周病を治すことが難しいでしょう。

さらに、下記のトラブルの報告があります。

  • 嫌がって暴れたために口の中を切り、歯が折れた
  • 無理矢理押さえつけたためにアゴが脱臼した
  • 歯周ポケットをきれいにできないまま歯周病が悪化した
  • 処置後にトラウマになり、歯みがきを嫌が口を触らせなくなった
  • 心臓疾患があるのに無理に押さえつけたら呼吸困難を起こした

ただし、高齢や持病が理由でどうしても麻酔をかけられないワンちゃんには、この方法で少しでも歯石をきれいにするしかありません。

 

トリミングサロンなどでの無麻酔による歯石除去

トリミングサロンではトリミング時のサービスとして1,000円~3,000円ほどで、しつけ教室やペットショップなどでは5,000円~20,000円ほどで行われています。

安く手軽に頼めるのですが、口の中を切ってしまった、あるいは押さえつけたら呼吸困難になったなどで適切な処置がなされない不安があります。

 

歯石を予防するにはどうしたらいいの?

歯石となってこびりついてしまったら、獣医さんに取ってもらうしかありませんが、歯垢の状態であれば歯みがきで除去することができます。

毎日の口腔ケアは歯みがきが一番ですので、まだやってなければ今日から始めてくださいね。

まずはワンちゃんが口を触らせてくれるようになるところから慣らして行きましょう。

そのほか市販されている主なケアグッズには次のものがあります。

  • 歯石とりスプレー(2,000円~6,000円)
  • 歯石取り用ジェル(3,000円~4,000円)
  • 歯石取りシート(2,000円~3,000円)
  • 歯みがきガム(1,000円前後から)

これらだけでは歯垢や歯石を取り除くことができませんので、歯みがきとの併用がおすすめです。

 

犬の歯石はどうやって取るの?予防方法や除去の値段は?まとめ

犬の唾液はアルカリ性でカルシムによる歯石ができやすいとされています。

ちょっと歯垢が残っているだけで、直ぐに黄色い歯石が着いてしまうのです。

犬の歯石は放置しておくと、歯肉炎から歯周病を起こすことが知られています。

さらには心臓病などの重い疾患を引き起こしてしまうこともあるとされ、歯石をきれいに除去することが愛犬の健康維持に大切です。

動物病院での全身麻酔による犬の歯石除去は値段が高く、安い値段の無麻酔で除去する施設を選んでしまいがちですが、それには危険が伴います。

ただ、麻酔がかけられない愛犬の場合には、それらも選択肢とせざるを得ません。

口コミによる評判などを調べた上で選ぶようにすると良いでしょう。

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