おかゆと言えば、体調不良の時や食欲不振の時の食べ物と思ってしまいがちだが、それだけに終わるものではない。
確かに、胃腸に負担をかけることなく水分と栄養素を体に届けてくれることから、体調不良や食欲不振の時には犬にとっても良いとされている。
しかし、おかゆのパワーは偉大。体調不良や食欲不振の時だけではなく、元気な時にもおすすめだ。
例えば、体温の上昇。おかゆは温かい食べ物なので体を温めてくれる。さらに、水分を含んで膨らんだ米はカサを増し、食べ過ぎ防止にも効果的なのだ。
アレンジも簡単なおかゆ。今回は犬に与えるおかゆの作り方や栄養などついて紹介しよう。
まずは「おかゆ」「ぞうすい」「おじや」の違いから
おかゆ、ぞうすい、おじや。
なんとなくイメージはできても、しっかりとした違いとなると説明できない部分もあるかと思う。
まずは本題に入る前に、それぞれの違いについて確認しておこう。
おかゆ
おかゆは、普段ごはんを炊くときに多めの水を入れて炊いたもの。
基本的な材料は、米と水のみ。炊飯器の「おかゆモード」を使って、簡単に作ることもできる。
ぞうすい
ぞうすいは、米から炊くのではなく、炊いたご飯を使ったもの。
基本的な作り方では、炊いたごはんをそのまま使うのではなく、一度水で洗ってぬめりを落としてから煮込むのが特徴。
こうすることによって、サラサラとした仕上がりになるため食べやすい。
おじや
ぞうすいと同じく炊いたごはんを使うのだが、ぞうすいとの違いは、ごはんは洗わずにそのまま煮込むという点。
地域や家庭によっては区別はあいまいだったりするが、とろみが出るまで煮る、ごはんの粒が残らなくなるまで煮込む、といったものがおじやの特徴である。
犬には「ぞうすい」か「おじや」にして与えよう
さて、おかゆ、ぞうすい、おじやの違いが分かったところで、早速本題に入っていこう。
ここでは「ぞうすい」「おじや」での簡単な作り方と注意点についてレクチャーしていく。
作り方
基本的には、炊いたごはんに出汁または水を加えて柔らかく煮込むのだが、出汁を使う場合は犬用の出汁を作る必要がある。
もちろん、水で柔らかく煮込んでもよいが、出汁を使ってごはんに肉や野菜などのエキスがしみ込んだほうが食いつきも良くなるのでおすすめ。
また、出汁や水の量は、ごはん1に対して、出汁(水)が7~10の割合が目安になるが、犬の体調に合わせて出汁(水)の量を増やしてあげよう。
下痢や嘔吐などの時は、ごはん1に対して、出汁(水)が20の割合でもよい。
出汁を作るなら何がいいの?
出汁といっても私たちが使うような調味料は味付けがしてある場合が多いのでNG。
そのため、愛犬用には野菜やキノコ類、肉類などで手作り出汁を作ってあげよう。煮干しを使って出汁をとりたい場合は、ペット用煮干しか無塩タイプのものであれば、塩分も気にせず使えるので便利だ。
出汁をとる時の注意点
野菜で出汁をとる時に少し注意したいのが、ほうれん草や小松菜など、シュウ酸が含まれている野菜は極力控えるか、一度湯通ししてから使うようにしよう。
シュウ酸の摂取はシュウ酸カルシウム尿石症の原因にもなってしまうため注意が必要だ。
シュウ酸を含む野菜には、ほうれん草、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、レタスなどの葉菜類(ヨウサイルイ)に多く含まれている。
シュウ酸は水溶性で、茹でることによりその量を減らすことができる。別茹でしたものを与えるようにして、出汁とりには使わないようにしよう。
お米にはどんな栄養が含まれているの
毎日の主食としてお米を食べているものの、「お米の栄養は?」と聞かれても、なかなか答えられない方は多いのではないだろうか。
実は、普段食べているお米にはパワーの源となるでんぷんの他、タンパク質やビタミン類、ミネラルといった栄養素が豊富に含まれているのだ。
主な栄養素としては、
- でんぷん
- タンパク質
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンE
- カルシウム
- 食物繊維
などがある。
また、米でも精白されていない「玄米」にいたっては、白米よりビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含むため、現在では栄養が豊富な健康食品としても用いられている。
もちろん、犬に玄米を与えてもOKだが、白米に比べ玄米は少し硬いのが難点。玄米を犬に与える場合は、消化を考え白米よりも柔らかく炊き上げるようにしたい。
与える前に知っておきたいこと
お米はカロリーが高い
犬にとって嬉しい栄養素が多く含まれているが、お米はカロリーも高い食べ物である。
そのため、おかゆ、ぞうすい、おじやにして与える場合は主食として与えるようにしよう。
ドックフードのトッピングとして追加してしまうと、カロリーオーバーとなって肥満の原因にもなってしまうので注意したい。
また、肉や魚、野菜などを加える場合も同様。あれもこれも盛り付けて、カロリー過多にならないよう気をつけよう。
稀にお米に対するアレルギー
比較的、お米はアレルギーが少ない食材といわれているが、ごく稀にお米に対してアレルギーを持っている犬もいる。
少ないとはいえ、アレルギーに対するリスクがゼロではないので、初めてお米を与える際はまずは少量から与えて体調に変化がないか様子を見ててあげよう。
適温は何度くらいがベスト?
これは犬に限らず、人間以外の動物はみな、熱いものが苦手である。
当然、出来たてホカホカの状態だと限りなく100℃に近いため、少し冷ましてから与えるようになる。
基本的に犬は温かい食べ物を好むのだが、理想的な食事の温度は人肌に近い38~40度ぐらいを目安にしよう。手でさわっても熱くない温度であれば適温だ。
さいごに
日本の主食である米。タンパク質やミネラル、ビタミン類も含み、栄養的に優れた穀物だ。
愛犬が体調不良や食欲不振な時、おかゆから作る余裕がない、簡単に作れて消化に良いものを与えたい、という時にはぞうすいやおじやを。
炊いたごはんがあればすぐに作れ、1品で栄養も摂れて消化にも優しいのでおすすめだ。