【獣医師監修】犬はレモンを食べても大丈夫?ビタミンCだけじゃない!

レモン
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レモン

レモンといえば、すっぱさや爽快感のある香りを思い出す人が多いのではないだろうか。

その香りのよさや手軽さから多くの料理や飲み物にも使われているが、体への効果もさまざまである。

 

もちろん、レモンは犬が食べても大丈夫な食材ではあるが、その強烈な酸味ゆえにそのままでは食べてくれない場合が多いだろう。

ここでは、レモンの栄養や効能、犬へのあげ方などを紹介する。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

レモンに含まれる犬に役立つ栄養や効能

レモン

レモンはビタミンCの代名詞のように言われているが、どんな栄養や効能があるのか見てみよう!

 

ビタミンC

ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのである。

 

クエン酸

クエン酸はレモンの独特の酸っぱさを生み出している成分。

疲労の原因である乳酸の増加を抑制・分解する作用があるため疲労回復に期待ができる物質のひとつ。

他にも、吸収されにくい成分を吸収されやすい形に変えて吸収したり、体内の有害物質を排出しやすい形に変えて排出する「キレート効果」にも注目されている。

 

ビタミンE
 
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できる栄養素である。
 
また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化すると言われており、動脈硬化の予防に期待ができる。
 

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

マグネシウム

血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。

もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。

犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取を心がけたい。

 

犬もビタミンCが不足している?

レモン

「犬は体内でビタミンCを合成できる生き物」というのはご存知だろうか。

なんと犬をはじめ、ほとんどの動物は体内でビタミンCを合成することができるのだ。

 

とはいえ「ビタミンCが合成できるなら、あえて摂取する必要はないのでは?」と思ってしまうだろう。

確かに犬はビタミンCを合成できるが、一日に合成できる量には限度があると言われている。そのため、高齢犬、病気持ちの犬、ストレスを抱えている犬などは、体内で合成する分だけでは足りない場合があるのだ。

 

また、年齢と共にビタミンCを合成する能力も低下してしまう。ビタミンCはコラーゲンの生成にも大きく関わっており、不足すれば関節や軟骨などのトラブルに発展してしまう可能性がある。

合成できるとはいえ、ビタミンCは長期的に摂取したい栄養素なのだ。

 

レモンのあげ方

 

犬にレモンを与えること自体は問題ないのだが、レモン特有の酸味は犬にとっても刺激が強すぎるだろう。

しかし、レモンの酸味成分であるクエン酸には、鉄やカリウム、カルシウムなどのミネラル分の吸収をサポートする役割があるのだ。

一見、酸味が強いため与え方に困ってしまうレモンだが、一工夫することにより得られる効果がアップする。ここでは、犬への上手なあげ方について紹介していこう。

 

初めてレモンを与える時は「味見」から

レモン

初めてレモンを与える時は、薄くスライスしたレモンを味見させてみよう。

おそらく初めの一口でビックリしてしまい、その後なかなか口にすることはないと思う。

犬の味覚は人間ほど鋭くないので酸味にも鈍感ではないのかと思われがちだが、意外にもレモンの刺激は犬にとっても強烈なのだ。

そのため、レモンを与える量は「少量」を心がけよう。

間違っても、犬の反応見たさに一気に与えることは避けたい。

 

レモンの皮や白い薄皮は与えない

レモンまずは基本的なことだが、レモンの皮には輸送時にできるだけ新鮮な状態を保つために農薬が散布されている。

洗えばある程度落とすことはできるが、そもそもレモンの皮は犬にとっては消化に悪い。

また、皮をむいて薄皮や白い筋も消化しにくい部分。与えてもウンチとなり排出されるが、消化に悪い部分は与えないようにしよう。

犬にレモンを与える場合は、絞った「レモン汁」がベストだ。

 

食中毒の予防に

食中毒クエン酸には殺菌効果があり、細菌の増殖を抑えて食べ物の腐敗を防ぐ効果もある。そのため、食材が傷みやすい季節などは、犬の食事にレモン汁を少量加えるのがよい。

気温の高い夏の日など、食べ物が傷みやすい季節にレモン汁はオススメだ。

 

手作り食のサポートに

レモン 手作りご飯体の組織や機能を調整しているミネラルは、非常に吸収しにくい栄養素である。

だが、レモンに含まれているクエン酸はキレート剤として働き、ミネラルの吸収を高めてくれる働きがあるのだ。

特に手作り食を与えている方は、カルシウムや鉄分などが不足しがちになってくる。レモン汁を使ってミネラル分の吸収をアップさせよう。

 

さいごに

レモン

レモンは柑橘類の中でもトップクラスのフレッシュな香りが魅力だ。

そのうえ、ビタミンCやクエン酸などの栄養素の働きで、健康維持や疲労回復などが期待できることが分かった。

そのまま与えるには刺激が強すぎて難しいが、しぼり汁を使えば手軽に栄養を摂れるのは便利なところ。

愛犬の食事にも、レモン汁というスペシャルなエッセンスを是非活用してもらいたい。

 

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