犬のオゾン療法とは?どんな効果があるの?費用はいくらかかる?

オゾン療法 犬
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オゾンとは酸素原子が3つ集まった酸素の同素体で、高濃度では猛毒とされています。

しかし、地球の大気中では紫外線が地表に降り注ぐのを防いでくれるありがたい存在です。

海外では以前から水道水の殺菌に用いられていて、最近では日本でも塩素の代わりに水道水の殺菌に使われています。

また、昔からヨーロッパではこのガスを使った治療法が盛んで、犬にもオゾン療法としてさまざまな疾患に利用されています。

犬の肛門からオゾンガスを注入するオゾン療法は癌などに効果があるとされていて、これを実施する施設が増えています。

ここではこの療法について、そのメリットや効果、費用などを紹介します。

 

犬のオゾン療法とは?

ワンちゃんへはヨーロッパでも特にドイツで盛んに行われていて、40年近い歴史があります。

これまでの西洋医学と異なり、身体が持つ本来の機能を呼び覚ますものとして、むしろ東洋医学の漢方医療に近いとされています。

身体の弱いワンちゃんでは獣医さんから生活習慣の改善指示が出ることが多いと思います。

しかし、ワンちゃんのそれは飼い主さんの生活習慣と連動しているために、なかなか変えることは難しいのではないでしょうか?

副作用が少なく、身体本来が持つパワーを活性化させるオゾン療法であれば、それを解決することができるかもしれません。

 

犬の療法に使うオゾンにはどんな作用があるの?

このガスは不安定な物質で、いつも余分な酸素分子を手放して酸素に変わろうとしていて、その際に酸化反応を起こします。

この酸化力によって、細胞を刺激することで細胞自身の防御力を高めて、さまざまな強いストレス適応する強い細胞にするのです。

つまり、眠っている細胞の生命維持パワーを刺激して活性化するのがこの療法なのです。

この主な働きには以下の3つがあります。

 

細胞の酸素化を増加させる

身体に取り込まれて、血管が拡張するほか赤血球を刺激して大量の酸素を放出させます。

これによって血行が良くなり末端組織へ酸素がたくさん供給されるようになります。

そのことで身体の組織全ての機能を回復することができるとされています。

 

免疫機能を正常化して向上させる

免疫機能を活性化させるサイトカインが作られて、免疫機能が調整されます。

そして赤血球だけでなく、白血球や血小板も刺激することで免疫力を大幅に向上させます。

このことで、感染症、腫瘍、アレルギー疾患などを改善するとされています。

特に腫瘍に対しては抑制する作用が期待されていて、補助療法としてあるいは良性腫瘍であれば単独両方として使われています。

 

細胞を活性化する

全身の細胞にたくさんの酸素を届けることができるようになるため、細胞が元気になってたくさんのエネルギーを産生します。

また、酸化を促進することで身体の抗酸化作用を活性化するため、老化を防ぐアンチエイジングが期待されています。

このため高齢のワンちゃんの老化を防いで、機能が衰えた肝臓や腎臓などを活性化させて、元気にして疾患にかかりにくくするとされています。

これらのさまざまな効能を期待されて利用されていますが、体内に入ると酸素に変化するために副作用がほとんど起こりません。

 

犬のオゾン療法の効果とは?腎不全に良いってホント?

優れた殺菌、殺ウィルス効果がありながら、目にも使用できるほど刺激性が少なく、感染症の治療に適しているとされています。

さらに、その作用は抗生剤などと違い、耐性菌を発生させないことから長期に継続使用しても問題がないとされています。

以下の疾患に第一選択薬として使用する獣医さんもいます。

  • 歯肉炎
  • 歯周病
  • 眼疾患
  • 外耳炎
  • 皮膚感染症
  • アレルギー
  • アトピー性皮膚炎
  • 椎間板ヘルニア
  • 関節炎
  • 糖尿病
  • 腎不全での腎血流改善
  • 膀胱炎での膀胱洗浄
  • 腫瘍(リンパ腫なども含めたあらゆる腫瘍)

このほかにも特に細菌によって引き起こされる感染症に効くとされています。

また、上記の疾患の中にはステロイド剤が処方される疾患が多いのですが、それに代わるだけの効き目があるとして期待されています。

ステロイド剤の長期かつ大量の処方ではその強い副作用が心配になりますが、それが全くなくなるために、完治に時間がかかってもこれを選ぶ飼い主さんが多いようです。

 

犬のオゾン療法の種類とその効果

このガスを利用するものとして以下に挙げる方法があります。

 

注腸法

ガスを肛門から柔らかいシリコンチューブを使って挿入して、直腸から吸収させる療法です。

肛門にチューブを差し込みますが痛みはなく、不快さをあまり感じないワンちゃんが多いようです。

 

少量自家血液療法(クレンジング)

ワンちゃんの血液を2mlほど採血して、それに3倍量のガスを混和させて、再び戻します。

通常の採血と同じですので、それほど痛みは少ないとされています。

体表近くにある腫瘍に対して直接注射することがあります。

 

皮下注射

除菌フィルターを通したガスを患部に少量ずつ皮下注射します。

 

腫瘍内注射

除菌フィルターを通したガスを体表近くにある腫瘍に直接注射します。

 

外用剤処置

オゾン水やオゾンオイルを溶かし込んだオリーブオイルで作られている外用のクリームを、患部に塗り込みます。

皮膚だけでなく、点眼薬・点耳薬としても使用でき、抗生物質が効かない難治性の疾患にも効き目があるとされています。

また、歯石に塗り込むことで歯石が取れやすくなると言われています。

 

オゾン水洗浄

オゾン水で、皮膚や耳など症状が現れている患部にシャワーとして浴びせてきれいに洗浄するほか、膀胱内を洗浄する際などにも使用されます。

皮膚の脂漏症のワンちゃんでは、余分な皮脂をきれいに落とすことができます。

また、口腔内を洗浄することで口腔内の清潔を保つことができます。

どの方法にも共通のメリットは以下のとおりです。

  • 処置にかかる時間が短い
  • 1回あたりの費用が安い
  • ワンちゃんの身体を傷つけることがない
  • ワンちゃんに苦痛を与えない
  • 副作用がほとんどない
  • 本来身体が持っている自然治癒力が向上する
  • 食事制限などが必要ない
  • 入院をしなくとも治すことができる
  • 終了後は普通に生活することができる

 

シニア犬でのオゾン療法の利点とは?

副作用がほとんどないことから、特に高齢のワンちゃんに良いとされていますが、ほかには以下の理由が挙げられています。

 

身体への負担がほとんどない

高齢のワンちゃんでは手術を行うとしても全身麻酔などへの不安があります。

また、身体にメスを入れることで体力の低下を招くことも懸念されています。

しかし、これはワンちゃんの身体への負担の心配がないために、手術や抗がん剤など副作用のきつい化学療法に替わる手段として期待されているのです。

 

アンチエイジングによる健康の維持

オゾン療法では全身の血液を巡って末梢の細胞にも酸素を届け、刺激を与えて活性化します。

そのために老化を防ぐアンチエイジング作用があり、寝たきりのワンちゃんも元気になるとされています。

そして、持病があって体力が落ちたワンちゃんだけでなく、健康に過ごしているワンちゃんにもさらに健康でいられることを期待して受けさせることができるのです。

 

犬のオゾン療法の費用、回数と1回あたりの料金はいくら?

一般的には初めの1カ月間は週2~3回ほどの回数を処置して慣れさせます。

その後は対象となる疾患の病状や、ワンちゃんの様子などを見ながら処置の間隔を設定されます。

例えば注腸法であれば、2ヶ月後からは1~2週間に1回程度でずっと継続することになりますが、1回あたりの金額は数千円単位です。

オゾン発生装置がある施設での施術となりますが、施設によって設定料金が異なります。

それぞれの方法の1回あたりの料金は、診察料に以下を足した金額を目安としてください。

  • 注腸法(所要時間2~3分):2,000~3,000円
  • 少量自家血療法(10~20分):4,000円~5,000円
  • 皮下注射(5~10分):3,000円~4,000円
  • オゾン水洗浄:1,000円~3,000円
  • オイル外用:1本あたり1,000円~2,000円

 

犬のオゾン療法の問題点とは?動物病院ならどこでもできるの?

ここまで紹介したようにたくさんのメリットがあるのですが、いくつかの問題もあります。

まず、次の方法や疾患には適用することができません。

  • 呼吸器内への注入と吸引
  • 甲状腺機能亢進症

そのほかの問題点は以下のとおりです。

  • オゾン発生装置が設置されている実施可能な施設が少ない
  • 効果を期待するのであれば週2回以上の加療が必要と考えられる
  • 効果発現まで時間がかかることが多く、即効性に乏しい
  • 腫瘍に対して、特に悪性腫瘍には単独での効果が弱い

なお治療回数については、これによる抗酸化効果は最低でも10日ほど持続するとされていますので、補助療法として考えるのであれば週に1回程度でも良いとされています。

 

犬のオゾン療法実施施設はネットの口コミを参考にしましょう!

小さなオゾン発生装置が1台あれば施術が可能ですが、導入されている施設はまだ限られています。

インターネットで自宅に近い施設を探して、口コミの評価を参考にすると良いでしょう。

 

犬のオゾン療法とは?どんな効果があるの?費用はいくらかかる?まとめ

ここまで紹介したように、このオゾン療法はこれから先への期待が大きい療法として注目されています。

犬においてもオゾン療法はこれまでの治療法に替わる可能性があるとされています。

何よりも副作用がほとんどないことと、治療費が安いことは大きなメリットです。

ただ、ヨーロッパでは40年来の治療法とはいえ、日本ではまだ導入され始めたばかりで、実施できる施設も限られています。

しかしこの先、このオゾンガスを使った療法がもっと開発されて、治療効果のエビデンスが集積・集約されることになるでしょう。

そのことで犬のオゾン療法においては、さらに効果が強い方法が開発されることでしょう。

また、オゾン発生装置を利用するトリミングサロンが増えていて、オゾンシャワーで愛犬の臭いを軽減することもできます。

愛犬の臭いにお悩みの飼い主さんは、ぜひ一度利用されてはいかがでしょうか?

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