犬が強迫性障害になった!原因はストレス?

強迫性障害 犬
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外出しようとして家を出て少し経つと、火を消したか?窓を閉めたか?鍵をかけたか?

気になってしかたなくなって家に戻ったことはありませんか?

そのように何度もおなじ行動を繰り返すことを強迫性障害と呼び、犬にも見られる精神疾患なのです。

犬の強迫性障害は何らかのストレスや不安を感じていることから発症します。

自分でもどうしてよいかわからない苛立ちがそのような行動を取らせるのでますが、その理由に気づいて、改善してあげなければ止まりません。

ここでは強迫性障害で見られる特徴的な行動や、その治し方などを紹介します。

 

犬の強迫性障害とは?

何かに取りつかれたように同じことを繰り返す強迫性障害は強迫神経症とも呼ばれて、次の2つの行動が見られます。

  • 常同行動:何度も同じことを反復する
  • 強制行動:自分の意思で行動を止められなくなる

これらの行動が始まってしまうと、もう誰も止めることが出来なくなってしまうのです。

大好きなはずの散歩に誘っても、いつもならガツガツ食べるご飯にも興味を示さなくなり、ひたすら同じ行動を繰り返し、自分ではもう止めることができません。

人がやたらと手を洗ったりすることと同じような行動が、ワンちゃんにも見られます。

 

どんな症状が見られるの?

以下のようなものが現れます。

  • しっぽや前足を自分で噛むほか、舐め続けて気が抜けてしまうような自傷行為
  • 脇腹、前足、しっぽなど、口の届く部位を噛み、舐めることによって脱毛などが発生する
  • グルグル回りながら自分のシッポをひたすらに追い掛け回す
  • 家の中でも同じ場所を行ったり来たりする
  • 何もない所に対してずっと吠え続ける
  • 影や光を見つけるとひたすらに追いかけ続ける
  • 何もないのに空中を前足で叩こうとする
  • オモチャをただひたすらに空中に放り上げ続ける
  • 家の壁や床、ソファなどの家具の表面をいつまでもなめ続ける

ストレスとなっている原因がわからずこの状態が続くと、やがては自分の身体を舐め続けて毛がはげることやシッポを自分で噛みちぎってしまうなどしてしまうことがあります。

このような症状が見られたら、獣医さんに伝えながらその原因となっているものを炙り出して、早く解決してワンちゃんを心の苦しみから開放してあげましょう。

また、これらの症状には犬種によって特定の行動が現れることがあって、遺伝的な要因もあります。

  • 柴犬:自分のシッポを早くグルグル回りながら追いかけ続ける
  • シャーマン・シェパード:自分のシッポをグルグル回りながら追いかけ続ける
  • ブルテリア:自分のシッポをゆっくりグルグル回りながら追いかけ続ける
  • トイ・プードル:自分の身体をひたすら舐める
  • ミニチュア・シュナウザー:何もないのに後ろを気にしてやたらと振り返る
  • ボーダー・コリー:光や影を追いかけ回す
  • ドーベルマン・ピンシャー:自分の脇腹をひたすらに吸い続ける

 

犬が強迫性障害になる原因とは?

ワンちゃんにとって、何がストレスとなりやすいかを考えると以下のような理由が考えられます。

  • 散歩が足らず運動不足である
  • 散歩で過剰な運動をさせられる
  • 家族だけでなくそれ以外の人との接触が少ない
  • 知らない人との接触が多過ぎる
  • いつも怒られている、体罰が多い、虐待されている
  • もらわれたりして飼主が変わった。
  • 家の中で家族の間のケンカが絶えない
  • 長い時間の留守番がしょっちゅうある
  • 毎晩寝ようとしても寝場所が決まっていない
  • 引っ越しがあって新しい家に馴染めない
  • 家の周りで工事をしていたりして騒音が絶え間ない
  • ケージ中など狭い場所にずっと入れられっ放しになっている
  • 新しく同居するワンちゃんや猫ちゃんが増えた
  • 飼主さんに子どもが産まれて家族が増えた
  • 元々の持病がある、疾患にかかっている、ケガによる痛みがある

この中でも特に多いと考えられるのは以下の4つの誘因です。

 

散歩が足らず運動不足である

忙しいからと散歩をがまんさせていると欲求不満がつのるばかりか、運動不足で寝つきが悪くなってイライラするようになります。

どんなに忙しくても、ワンちゃんの散歩を優先させてくださいね。

また、すぐに帰宅してしまってもストレスが溜まりますから、症状が出始めたら少し長めに付き合ってあげてください。

 

元々の持病がある、疾患にかかっている、ケガによる痛みがある

まずは疾患やケガを治してあげることが大切で、そのことでストレスが解消することでしょう。

獣医さんと相談しながら元の疾患の治癒を優先しましょう。

また、ケガのケースでは治った後でも傷跡を舐め続けることがあるとされています。

これでは傷跡が開いたりしてしまうことになりますので、舐めさせないように対策をとってください。

 

長い時間の留守番がしょっちゅうある

ひと昔前は共働きの家の子供は鍵っ子として留守番が多く精神的なストレスを抱えることが問題なっていました。

同じように、ワンちゃんも独りきりで置かれる時間が長いとストレスを溜めます。

そのあげくに家の中をメチャクチャに散らかしたり、家具を壊してしまったりするほか、吠え続けたりするようになってしまうのです。

とは言え、生活の上でやむを得ず留守番をさせなくてはならないことはあるでしょう。

家にいる時に寂しかっただろうと、一緒にいる間にワンちゃんを可愛がり過ぎるのは仕方ないことです。

しかし、留守番を続けさせなければならない事情があるとしたら、それは逆効果となります。

留守番に慣れさせるには、一緒にいても可愛がり過ぎないことが大切なのです。

ワンちゃんの依存度が高いと起こるので、外出する際にも声かけず、帰宅しても特別に褒めたりせず当たり前のように過ごしましょう。

留守番に慣れるまでは、心を鬼にすることがワンちゃんのためであると信じて接することが大切です。

 

障害を治すにはどうすればいいの?

ワンちゃんに症状が出ると、言うことを聞かなくなるのでイライラするかもしれませんが、それで叱ったりして家の中の雰囲気が悪くなるとさらに悪化します。

ワンちゃんが症状を見せることの原因は飼い主さんにあると言っても過言ではありません。

叱る前に今一度、ワンちゃんとのコミュニケーションを考えてあげてくださいね。

ワンちゃんがストレスに感じている原因を取り除いてあげることは良いのですが、そのストレスに立ち向かえるようにしてあげることも考えあげてください。

例えば留守番への耐性をつけるには、一緒にいても一人遊びができるようなオモチャを与えてあげましょう。

あるいはペットホテルに泊まらせて孤独を経験させるなど、試練かもしれませんが良いでしょう。

これらのことを獣医さんと一緒に考えてあげると良いですね。

また、最近では行動診療科という診療科目を掲げる獣医さんが増えています。

ワンちゃんの心療内科ともいうべき専門家の獣医さんに診察してもらうことも治す早道かもしれませんね。

 

予防するにはどうすればいいの?

ワンちゃんと一生付き合っていくためには、その距離感が大切で、愛情をたっぷり注ぐことと、ただ可愛がることとは違います。

ワンちゃんの性格を見抜いて、それに合ったしつけをして行くことが予防に繋がるとされています。

例えば、盲導犬や介護犬に適しているラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーなどは、家族と一緒にいることが大好きです。

それを室外で飼育していたりすると寂しさからストレスを溜めると言われています。

また、柴犬など以前は室外で飼われることが多く、人とある程度の距離感を保つことになれたワンちゃんです。

それを最近は室内で飼うようになったため、いつも一緒の生活が負担となって、それを解消するために自分のシッポに八つ当たりしているとの説があります。

ワンちゃんにはそれぞれ性格の違いがあると理解した上で、ワンちゃんの個性を見抜いて接することが予防の第一と言えるでしょう。

 

安楽死の是非について

飼主さんが一生懸命治す努力をしても、次第に狂暴化するケースは多いとされています。

あるいはワンちゃんが歳を取る事で認知症が進み、狂暴になるだけでなく大声で夜鳴きするようになるなど、社会問題となるケースも多くあります。

治すことができずにどうしようもなくなったワンちゃんに対して、安楽死を勧められることがあるでしょう。

ペット先進国の欧米諸国では安楽死を治療の一環と捉える向きがあり、日本よりはるかに多いとされています。

睡眠薬を飲ませても夜鳴きが止まらず、近所からの苦情が絶えず引っ越すことになった話をよく耳にします。

あるいは狂暴化が酷くなり、目に入るもの全てに噛み付くようになってしまう話も後を絶ちません。

生活で守らなくてはならないものと、命を奪うことの重さをしっかり考えて、後悔しないように決断をするようにしてください。

 

犬が強迫性障害になった!原因はストレス?まとめ

愛犬が強迫性障害の症状を見せるようになったら、まずその原因を探ることが重要です。

症状が軽いうちに早めに愛犬のストレスになっているものを取り除いてあげましょう。

そして取り除くだけでなく、ストレスによっては立ち向かえるように、愛犬を鍛えることも必要です。

犬は言葉で心情を伝えることや、して欲しいことを要求することができません。

いつも注意深く愛犬を観察しながら接してあげるようして、心の異変を早く気づいてあげましょう。

愛犬の強迫性障害を治せるのは飼い主さんであることを忘れないでくださいね。

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