【専門家監修】犬がえずく理由とは?吐きそうで吐けない時の対処法

犬がえずく理由とは?吐きそうで吐けない時の対処法
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犬は人間と違って嘔吐しやすい動物です。

吐くときにはオエッグエッと苦しそうに見えますが、たいてい問題ありません。

四足歩行なので消化管が地面と平行になっており、構造上嘔吐しやすい体です。

犬以外の動物でも親が一度食べたものを吐き出して子に与えている様子を見ると、人間のように負担がかかっていないと思われます。

【専門家監修】添野暁子

専門家 監修
2歳から犬と育ち、現在は4代目の愛犬と暮らすWebライター。愛玩動物飼養管理士1級の資格を持ち、犬について日々研究している。

 

心配が要らない嘔吐

草を食べて吐く

犬は胃がムカムカすると自ら草を食べて吐き出すことがあります。

換毛期に自分の毛玉やゴミを飲み込んでしまい、排泄されるか吐くかどちらかで体外に出そうとしているのです。

異物は出さなければ腸閉塞等の原因になるので、吐いた方が健康を保てます。

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胃液や胆汁を吐く

犬は空腹で胃が空になっていると、白や黄色の液体を吐き出すことがあります。

白いのは胃液で、黄色いのは胆汁です。

胃酸が胃を刺激して吐き出すもので、特に早朝に多く見られます。

これを防ぐには食事の量を変えずに回数を増やし、空腹の状態を減らしてみてください。

 

食べたものを吐く

早食い・大食い・車酔いなどで吐くことが多いです。

食べたものが上手く消化されなかった、食べてすぐに運動をしたなどが原因で食べ物を吐くことがあります。

 

危険な嘔吐

消化器の病気

吐いたものに茶色や黒いものが混じっていたら消化器の病気の可能性があります。

血は古いと茶色になり、新しいと赤いままです。

異物を飲み込んだ、チョコレートなどの犬の体に悪いものを食べてしまったときにも嘔吐する場合があります。

老犬の場合は調べてみたら病気が見つかることもあるので、元気がない、繰り返し吐く等の症状があれば獣医師に相談しましょう。

 

熱中症

人間と同じく近年は夏に熱中症に気をつけなければいけません。

次の場合は初期症状です。

  • 呼吸が荒い
  • 大量のよだれが出る
  • ぐったりしている

重症化すると次のような症状が見られ、早急な対処が必要です。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 歯茎が白い
  • 痙攣

 

空嘔吐をする

胃拡張・胃捻転症候群

犬は吐きそうで吐かない空嘔吐をすることがあります。

大型犬であると胃拡張・胃捻転症候群の可能性があり、すぐに治療をしないと危険です。

大型犬の死亡原因に多く、食後はすぐに運動しない、早食いさせないといった注意が必要です。

 

気管虚脱

小型犬に多く、首輪がしまって気管が狭くなり呼吸困難になります。

この場合は吐きそうというより咳が出そうで出ないという症状です。

太らないようにする、ハーネスを利用するといったことで予防できます。

 

その他の病気

何も食べていないのに吐く、繰り返し吐く、元気がないといった症状があれば、次のような病気の疑いがあります。

  • ウイルス性腸炎
  • 肝臓の病気
  • 腎臓の病気
  • 腫瘍

 

咳をする

空嘔吐と似ていますが、犬もカハッと吐きそうな音で咳をすることがあります。

水を飲んだり早食いをしたりした直後に出る咳なら問題ありません。

あまりにもひどい咳をしていたら次のような病気が考えられます。

  • ケンネルコフ
  • 異物誤飲
  • 心臓病
  • 気管虚脱

 

子犬の嘔吐

食べたものや胃酸を吐く

子犬は消化機能が未発達なので、空腹でも食べすぎでも吐くことが多いです。

そこまで心配は要らないですが、成長期なので食べても吸収されないと栄養が足りません。

吐きやすい子にはドライフードをふやかす、水を入れて与えるとひと手間加えてください。

活発な時期でもあるのでごはんをあまり噛まずに早食いしやすく、食後もあまりじっとしていてくれないのが吐く原因です。

 

食物アレルギー

食べ物によるアレルギー反応を起こすと吐くことがあります。

この場合は下痢をしたりと他にも異常が見られることが多いです。

 

感染症

犬パルボウイルス感染症、犬ジステンバーなど子犬が重症化する病気はたくさんあります。

下痢やぐったりしているなどの症状が見られたらすぐに病院へ行ってください。

 

危険なものを食べた

チョコレート・ネギ・ブドウなど犬の体に悪いものを食べると中毒症状を起こして吐くことがあります。

また食べ物でない異物を飲み込んだときにも吐くことは多いです。

子犬は何にでも興味津々でゴミ箱を荒らしてしまうことがあるので、気がついたらすぐに病院に行きましょう。

 

犬もストレスで吐く?

人間と同じく犬もストレスで体調を崩し、嘔吐することがあります。

家族のケンカが絶えない、引越し、長時間の留守番、虐待などが原因です。

愛犬にストレスを与えていないか、生活を見直してみてください。

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嘔吐した後の食事は?

 

吐いても問題ないとはいえ、頻繁に吐いていると胃や食道に負担がかかります。

吐いた直後にごはんをあげるのは避け、30分ほど経ってからあげてください。

排便の様子も見て胃腸の調子が悪そうであれば、ごはんはいつもより少なめでふやかしてあげましょう。

 

まとめ

食事は生きていくためには欠かせません。

犬は吐きやすい動物ですが、頻繁に吐いて食べ物の消化・吸収ができないと病気になってしまいます。

年齢とともにフードを変える、その日の体調によって量を減らしたりふやかしたりと手間を加えて愛犬の健康を保ってあげましょう。