【専門家監修】犬に煮干しを与えても大丈夫?にぼしを食べさせる際の注意点とは

にぼし 犬 煮干し
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大好きな愛犬がおやつをおいしそうに食べている姿はかわいらしくて、ついつい、いろいろなおやつを買ってしまいがちですよね。

ペットショップにはジャーキーやガム、にぼしなどいろいろなおやつが販売されていますが、愛犬の健康を考えると少しでもヘルシーな物を与えたいと思うのが親心というものです。

ジャーキーだと食いつきはいいけれど、添加物がたくさん入っていたりカロリーも高いし・・・煮干しなら魚だからヘルシーだし、愛犬にとって悪い要素なんてないだろう!

そんな風に思っていませんか?

しかし煮干しを犬に与えるには気を付けなければならないポイントがたくさんあるんです。

愛犬に与える前に『にぼし』についての正しい知識を知っておきましょう。

 

【専門家監修】大谷幸代

専門家 監修
【動物関係の保有資格】専門学校講師、愛玩動物飼養管理士・トリマー・アロマセラピスト・ホリスティックケアカウンセラー・ペット食育士・ペット災害危機管理士・マウスケアメンター等

 

犬に煮干しを与えても大丈夫?

インターネットで犬に煮干しを与えても大丈夫か検索すると、『問題ない』という意見と『にぼしは危険だから与えない方がよい』という意見がそれぞれたくさん書かれています。

ただただ情報量が多いとどちらが本当なのか悩んでしまいますよね。

しかし、結論からいうと犬に煮干しを与えること自体は問題ありません。

ただし人間と同様にすべての犬にとってにぼしが万能食品であるというわけではないので、しっかりと特徴を把握して愛犬に合うかどうかを見極める必要があります。

 

犬用にぼしと人用にぼしの違いを徹底検証!

『煮干し』とはその名の通り魚を煮て干したものになります。

犬のおやつ用に販売されているにぼしって人間用のにぼしに比べると結構高かったりしますよね。

同じ煮干しなんだから人間用の煮干しを与えても大丈夫そうに感じてしまいますが、そもそも犬用にぼしと人用にぼしの違いって何なのでしょう?

大きな特徴としては塩分の違いです。

人間用の煮干しは人が食べておいしいと思えるように塩分や添加物を使って味付けをしてあるものが多く、この塩分たっぷりの煮干しを愛犬に与えると塩分の取りすぎになってしまうのです。

ただしすべての物が悪いわけではなく、人間用でも無塩・無添加の製品もありますので、自然素材だけを使っている場合には適量を犬に与えても問題ありません。

人間が口にするすべての食品は、食品衛生法といって飲食によって生じる危害の発生を防止するため食品と添加物などの基準が決まっていて、さらにそれらを表示・検査しなければなりません。

しかしペット用の食品にはこれらの義務がないので、安易に安いものを選んでしまうと不衛生であったり粗悪なもの、さらには犬にとって有害なものが使われている可能性も無きにしも非ずなのです。

 

犬用の煮干しを上手に活用しよう

犬に煮干しを与える際のメリットとして

  • カルシウムがとれる
  • マグネシウムがとれる
  • 認知症予防(ボケ防止)になる
  • 心筋梗塞・脳梗塞のリスクが減る

にぼしを犬に与えることで愛犬は良質な栄養素を手に入れることができます。

その代表格としてカルシウムやマグネシウムが有名ですが、他にもミネラルやナイアシン、ビタミンB12などが含まれています。

カルシウムやマグネシウムは丈夫な歯や骨を形成するうえでとても大事な栄養素で、神経や筋肉の活動をスムーズに行う手助けもしてくれるんですよ。

また魚といえばよく耳にするのが不飽和脂肪酸の『DHA』や『EPA』

DHAは皮膚や粘膜を健康的に保ってくれ脳の働きを活発にし、EPAは血液の中に血栓ができるのを防いでくれるので血栓が原因の心筋梗塞や脳梗塞になりづらくなります。

犬は人間の約10倍ものカルシウムを必要とするとも言われていますが、煮干しを与えることでこれらを効率よく摂取することができ病気のリスクも減るとなれば、上手に取り入れたい食品のひとつと言えますね。

人間用のしょっぱい煮干しは好んで食べるけど無添加・無塩のにぼしは食いつきが悪いという場合には普段のごはんに混ぜて食べさせてあげるのもおすすめです。

毎日与え続けると栄養バランスが乱れてしまうこともあるので、愛犬のコンディションを見ながら調整してあげましょう。

 

犬ににぼしを食べさせる際の注意点とは

これまで煮干しを犬に与えることのメリットとお伝えしてきましたが、何事においても物事には両局面があるものです。

では逆に煮干しを犬に与えることのデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

にぼしがもたらす悪い影響もしっかりと把握することで上手ににぼしと向き合っていきましょう。

 

犬ににぼしを与えることでのデメリット

煮干しを犬に与えることのデメリットとしては

  • 膀胱炎や結石になりやすくなる
  • 栄養バランスの乱れ

があげられます。

 

 膀胱炎や結石になりやすくなる 

インターネット上でも結石について触れている方も多いですよね。

これは、煮干しにはカルシウムだけでなくマグネシウムやリンも豊富に含まれているからなのです。

マグネシウムやリンを大量に摂取することでストルバイト尿石症を引き起こしてしまうことがあり、このストルバイト結晶が膀胱の粘膜を傷つけてしまうと膀胱炎に、結晶がもっと大きくなってしまうと結石となります。

結石にはいくつか種類がありますが、煮干しを食べすぎることでおこりやすくなるストルバイト結石になってしまったら症状として血尿やひん尿がおこります。

ひん尿に関してはちょこっとのおしっこを何回もしたり、おしっこをしている間痛そうな表情をする、おしっこをしたがらないなど。

またいつもは大丈夫なのに、おなかを触わると何だか嫌がるそぶりを見せたり、ふだんしないところでおしっこをするというのも気を付けたいポイント。

愛犬がなにか違和感を感じているということなので、こんな症状が出たらすぐにかかりつけの病院を受診しましょう。

犬種によっては元々結石になりやすい性質の子もいるので、該当する場合はかかりつけの獣医さんに相談するなど特に注意が必要です。

ストルバイト結石にかかりやすい犬種

  • ミニチュアシュナイザー
  • ミニチュアプードル
  • シーズー
  • ピションフリーゼ
  • コッカースパニエル

 

 栄養バランスの乱れ 

よく愛犬の毎日のごはんににぼしをトッピングしているという話を聞きますが、手作りの食事ではなく総合栄養食を食べさせている場合、基本的にはその中で栄養バランスが整う様に調整されています。

なので、総合栄養食に毎日にぼしをプラスオンしてしまうと、にぼしの栄養分がそのまま栄養過多になってしまうのです。

基本的な目安として・・・

総合栄養食にトッピングとして与える場合は1日の最適カロリー量の10%以内、間食・おやつとして与える場合は1日の最適カロリー量の20%程度の範囲内で与えるようにしましょう。

 

犬に与える前に絶対に知っておきたい煮干しの注意点

あまり目立ったケースではありませんが、稀に魚アレルギーの犬もいます。

もちろん愛犬が魚アレルギーであるならば煮干しは与えない方がいいでしょう。

魚アレルギーではないけれどにぼしを与えて大丈夫か心配という方は与えた後の愛犬の様子をよく観察してみればわかりやすいと思います。

犬も人間と同じようにアレルギー反応があれば

  • かゆそうに体を掻く
  • 皮膚が赤くなる
  • 湿疹が出る

などの症状がでますので、最初は少量を与えてみてこれらの症状が出ないか注意深く観察してあげましょう。

アレルギー以外にも基本的に煮干しは普段食べているごはんに比べ硬いので、あまり噛まずに食べたり一度にたくさん摂取すると消化不良で吐いたり下痢をしてしまうことがよくあります。

この対策として、あまり噛んでいないようでしたらにぼし自体を細かく砕いたりお湯でふやかしてあげるなど工夫次第で解決できますよ。

 

愛犬に煮干しを与えるうえでの注意点まとめ

愛犬に煮干しを与えるうえでのメリットやデメリットを紹介してきましたが、簡潔にまとめると無塩・無添加のにぼしには犬にとって豊富な栄養素がたくさん含まれていて、それらを効率的に摂取できます。

しかし、人間の食べ物と同じように『この食材がいいらしい!』といってそればかり食べていると栄養が偏ってしまいますよね。

なにごともバランスが大事です。

すべての犬に通用する万能の方法なんてものは存在しないので、犬種としての特徴や愛犬の持病・コンディションなどを総合的に考慮したうえでじょうずに煮干しを取り入れてあげましょう。

特に犬は人間のように『おなかの調子が悪いみたい!』とか『にぼしを食べたら、いつもより胃が重ったるいの!』なんて言葉で表現することができないので、注意深く観察することがより重要になってきます。

自分だけではにぼしを与えていいかどうしても判断に迷う、という方はかかりつけの動物病院の先生に相談するなど専門家の意見を参考にするのもおすすめですよ。

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