犬に「はちみつ」を与えても大丈夫?意外と知らない!?種類や気をつけたいこと【獣医師監修】

犬 はちみつ 与える 大丈夫 中毒 与える量 マヌカハニー メープルシロップ 
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犬 はちみつ 与える 大丈夫 中毒 与える量 マヌカハニー メープルシロップ 

ミツバチの努力の結晶「はちみつ」。

みなさんもご存知の通り、ハチが花の蜜を集めて作られたものだ。

今ではご家庭でもお馴染みの食品ではあるが、実は1匹のハチが生涯をかけて集められるのはティ―スプーン1杯分という大変貴重なもの。その金色のトロリとした蜜は、私たちに砂糖とはまた違った甘さを与えてくれるだろう。

もちろん、はちみつはボツリヌス菌の知識や、カロリー摂取量に注意すれば犬に与えても大丈夫な甘味の1つ。今回は、はちみつを与える上での基礎知識やはちみつの種類などをお届けしよう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

はちみつを与える上での基礎知識

犬にはちみつを与える考えには様々な意見があるが、その最たる理由は、ボツリヌス菌、カロリー摂取過多、アレルギーなどが挙げられる。

まずは、与える前にこれらの知識をマスターしておこう。

 

ボツリヌス菌

犬 はちみつ 与える 大丈夫 中毒 与える量 マヌカハニー メープルシロップ 犬に与える上で注意しなくてはいけないのが、「はちみつにはボツリヌス菌が含まれていることがある」ということを知っておかなくてはならない。

 

例えば人の場合、1歳未満の乳児にハチミツを与えることはできない。「生」ものであるハチミツにはボツリヌス菌の芽胞が入っている場合があり、乳児ボツリヌス症を引き起こす恐れがある。

大人の場合は、他の腸内細菌にボツリヌス菌が負けるので影響しないが、1歳未満の場合は注意が必要だとされている。

実際、2017年に離乳食として与えられた蜂蜜が原因による乳児ボツリヌス症により、生後6か月の男児が亡くなってしまうこともあった。

犬の場合でも免疫力が弱っているときや、子犬の頃に菌が体内に入るとボツリヌス症を起こすといわれているので注意したい。

 

なお、日本国内の販売商品には健康被害を防止するため注意書きがラベルに記載されている。内容には「はちみつは生ものです…」と始まることもあるが、単に沸騰すればいいわけではないので注意を。

常圧で沸騰させるだけでは芽胞を死滅させることはできないので、併せて覚えておこう。

 

 

はちみつのカロリーは高い

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同じ甘味料でも、ほぼ糖類だけで構成される白砂糖とカロリーを比較した場合、3分の2程度のカロリーではあるが、それでも100gあたり294kcalと高い数値である。

 

ちなみに、100gあたり…といってもピンとこないが、大さじ1杯(21g)に換算すると62kcal、小さじ1杯(7g)では21kcalとなる。与える際は、食事全体のカロリーの20%以下に抑えるのが目安とされている。

 

甘味は犬の嗜好にはピッタリなので、与えればきっと喜ぶことだろう。しかし、愛犬がメタボになってはいいことなど1つもない。

運動も大変、怪我もしやすくなる、病気のリスクも高くなるなど、健康を望んで与えたことが裏目にでないよう注意したい。

 

 

はちみつには花粉も含まれているためアレルギーにも注意したい

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そもそもミツバチは、蜜を集めるだけではなく、花粉も集めて巣に持ち帰っている。

花粉はたんぱく質で、主に幼虫に与えて成虫になる体を作るために使われるのだが、蜂蜜1gあたりの中にも、約3万~20万個もの花粉が入っているといわれている。

 

また、はちみつと一口で言っても、どんな花から集めたかによって種類が分けられる。

代表的な種類といえば、アカシア・レンゲ・クローバー・マヌカなどが挙げられるが、他にも、そば・オレンジ・レモン・ミント・ラベンダー・ローズマリーなど、その種類は豊富だ。

 

このため、はちみつに含まれる花粉が原因物質でアレルギーとなるケースが稀にある。ただ、はちみつに含まれる花粉はごく少量のため、あまり神経質になる必要はないが、初めて食べさせるときは愛犬の様子を見ながら与えるようにしよう。

 

はちみつに含まれる成分

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様々な種類のミネラルを含んでいる

はちみつには、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムといった、実に様々な種類のミネラルを含んでいる。

基本的にミネラルは、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素の機能をサポートしてくれる大切な成分。

犬の体調を整えるだけではなく、骨や歯など体の組織を構成する働きもあるので、犬の成長には欠かすことができない成分である。

 

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。

別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

 

ビタミンB2

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要と言われている。

 

 

ナイアシン

ビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。

糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。

 

はちみつに似たメープルシロップは与えてもいい?

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はちみつと似た「メープルシロップ」というものがあるが、こちらも犬に与えても問題はない。

メープルシロップは「サトウカエデ」などの樹液を採取して作った100%天然の甘味料。ボツリヌス菌の心配もなく、はちみつに比べカロリーも低いので犬に安心して与えられる。

ただし、はちみつに比べてカロリーが低いからといっても与え過ぎにはやはり注意が必要だ。

 

関連記事 ⇒ 犬にメープルシロップを与えても大丈夫?ハチミツと何が違う?

 

 

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また、クリーミーな食感と濃厚な風味が特徴の「マヌカハニー」も犬に与えても大丈夫だ。

他のはちみつに比べて高価格である分、マヌカハニーには普通のはちみつ以上の抗菌力が期待できる。

ただ、はちみつであることに変わりはないので、ボツリヌス菌の懸念点は忘れてはならない。

 

関連記事 ⇒ 犬にマヌカハニーを与えても大丈夫?普通の蜂蜜より凄いって本当!?

 

さいごに

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古来より、食用や薬用など様々な用途に活躍してきた「はちみつ」。

古代エジプトの医学書には、内服薬及び外用薬としての活用法が描かれているほどだ。薬効については、知る由もなかっただろうが、近年の研究では、その薬効が証明されつつある。

 

そんな全世界に存在するはちみつの種類は、なんと1000種類を超えると言われており、同じ花であっても土地の気候や場所によっても味わいに変化があると言われている。

ぜひ与え方をマスターして、愛犬と飼い主さんお気に入りの味を見つけてみてほしい。

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