お菓子、スイーツ、シナモンロールやトーストなどのパン、飲み物など幅広く多用されるスパイス「シナモン」。
しかし、シナモン自体がどのようなものか知っている人は、意外と少ないのではないだろうか?
シナモンは、クスノキ科の日桂(ニッケイ)という「木の幹」や「皮」をはぎとって乾燥させたもの。香辛料として見かけるのは、スティック状のものとパウダー状のものだ。
独特の甘みや苦みで、料理やお菓子作りのアクセントとして活躍してくれるシナモン。だが、犬に与えるのは避けるべきスパイスでもあるようだ。
今回は、犬にシナモンを与えるべきではない理由について説明したい。
犬にシナモンを与えてはいけない理由
ミネラルやビタミンが豊富なシナモンだが、含有成分の「クマリン」という物質を摂りすぎると、肝臓障害を引き起こすことが報告されている。
人の場合では、シナモンに定められている1日の許容量というものがあり、1日10gまでなら使い続けても問題はないとされている。だが、人間より体の小さい犬にはそれ以下の量だとしても与えないほうがいいだろう。
また、シナモンはスパイスの一種だけあり、ピリッとした辛さも持っている。わざわざ、愛犬のご飯に辛さをプラスする必要もないのではないだろうか。
こうした理由から、犬にシナモンを与えるのは避けた方が無難だと言える。
ただ、中には犬が知らずに食べたり(舐めたり)することもあるかもしれない。シナモンを口にしたからといって大騒ぎする必要もないが、念のため口にしたと思われる「量」だけは確認しておこう。
少量程度であれば問題ないが、何かの理由で大量に摂取してしまった場合には必ず様子を見守ろう。もし大量摂取によって異変を感じた場合はかかりつけのドクターへ速攻で相談したい。
クマリンが含まれている身近な食べ物
肝毒性のあるクマリンだが、身近な食べ物にはどんなものがあるのだろうか?
ここでは、シナモンを使った食べ物、シナモンは使われていないがクマリンが含まれているものについて紹介したい。
シナモンが含まれている可能性がある食べ物
- クッキー
- シナモンロール
- アップルパイ
- スイートポテト
- かぼちゃプリン
- 八ツ橋
- ジンジャーエール
- カレー
シナモンが含まれている可能性が高いものをいくつかピックアップしてみた。こうして見てみると意外と多いことが分かる。
また、シナモンを使っていなくとも、クマリン自体は桜の葉に代表される植物の芳香成分の1種。そのため、天然のオオシマザクラの塩蔵葉を用いた「桜餅」の香りはクマリンなどによるもの。
クマリンは、シナモンだけではなく桜の葉にも含まれている、というわけだ。
犬用のおやつに「シナモン風味」があるのはなぜ?
実はシナモンと一口で言っても、「セイロンシナモン」と「カシア」といった2つの種類がある。
この2種類でクマリン含有量を比較してみると、セイロンシナモンの方がクマリン含有量は少ないと言われている。
東京都健康安全研究センターの調べによると、スーパー及びデパート等などで流通しているシナモンスパイス、シナモンを含む健康食品、お菓子などの計28製品の調査をしたところ、スパイスでは圧倒的にセイロンシナモンの数値が低いという結果が出ているようだ。
※シナモンスパイスのクマリン検出値
セイロンシナモン平均値・・・13.7ppm
カシア平均値・・・3257.5ppm
参考:広域監視部 平成 19 年度先行調査 「シナモン含有食品中のクマリンの実態調査」による
こうしたことから、犬用おやつに使われているシナモンは、クマリン含有量の少ないセイロンシナモンを使用して作られていると考えられる。…が、気になる方は念のため、メーカーに問い合わせしてみるのをおすすめする。
さいごに
シナモンは、風味とともに香りも味わうスパイスとしても知られているが、その香りの効果を期待して犬のマーキング防止のスプレーにも利用されているほど。
それを察すると、犬はシナモンの香りがあまり得意ではないのかもしれない。
栄養価が高く、古くから珍重されているシナモン。健康のことを考えて少量だけなら…と思いたいところだが、別な食材をチョイスした方がよさそうだ。
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