山菜の中ではクセが少なく、料理がしやすい「ウド」。
山菜としての知名度が高いことで知られているが、実は野菜としてサラダ感覚で食すこともできる幅広い食材だ。
しかし、山菜といえばアクが強いイメージがあるので、犬に与えるのをためらう人は多いのではないだろうか。また、スーパーなどで販売されていても、どんな山菜か分からず手を出しにくい食材…といったイメージもあるだろう。
そこで今回は、ウドはどんな山菜なのか、栄養はあるのか、犬は食べれるのかについてリサーチ。
【獣医師監修】班目美紀
ウドとはどんな山菜か?
ウドはウコギ科タラノキ属の植物で、日本原産の山菜の一つ。
芽から根の部分、茎や葉も食用とすることができる汎用性の高い食材だ。
ちなみに、タラノキ属となっているが、タラの芽をつけるタラノキとは違って、木ではなく草である。
成長したウドは食べることは不可能で、伸びたとしてもせいぜい3m程度。木材としても、食すことにも使えないため、「役に立たない」という意味をもった「ウドの大木」のことわざにも使われるほどだ。
食感としてはシャキシャキした歯ごたえが良好。山菜らしい苦みと、独特の風味が特徴だ。近年では栽培ものが多く出回っているが、これは光を遮って栽培された「軟白ウド」と呼ばれるもので1年を通じて出回っている。
一方の天然ものが出回るのは3月~5月の春。大地から顔を出し始めるのが3月頃で、4月には収穫が本格化するようだ。しかし、天然ものの収穫期間は短く、6月頃になってしまうと成長してしまい食用としての旬は過ぎてしまう。
このため、ウドの旬はおよそ4月~5月頃とされている。この時期に出回るものを「春ウド」とも呼ばれ、栽培ものであっても香りが良くて柔らかいのが特徴である。
ウドに含まれる栄養
ではウドを食べることによって、どんな栄養分を摂取できるのかチェックしてみよう。
アスパラギン酸
アスパラガスでもお馴染みのこの成分は、ウドにも豊富に含まれている。
アスパラギン酸はアミノ酸の一種。体内のタンパク質の合成をサポートする働きや、代謝を活発にし疲労回復を助ける効果が期待できる。
クロロゲン酸
クロロゲン酸はポリフェノールの1種。強い抗酸化作用があるとされ、ガンの予防や動脈硬化の予防、そして免疫力の向上などの効果が期待できるようだ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
上記以外にも微量ではあるが、ビタミンC・E・K・B群といったビタミン類やカルシウム・マグネシウム・リン・鉄といったミネラルも含んでいる。
犬に与える際に注意したいポイント
このように、ウドには犬が中毒を起こすほどの危険な成分は含まれていないので食べさせても大丈夫だ。
ただし、与える上で少し注意しなくてはいけない成分が含まれていることは知っておこう。ここでは、ウドの下処理や与え方について説明する。
タンニンが含まれているためアク抜きは必須
ウドの皮の近くには、苦みの元であるタンニンが含まれている。
タンニンの摂りすぎは便秘になりやすくなってしまうこともあるので、アク抜きは必須だ。
下処理の方法としては、皮を厚めにむき、柔らかい部分を薄切りにして酢水に浸してアク抜きを。もちろん茹でてもOKだが、茹でたらすぐに水につけてアクを放ってから使うこと。
それでもアクが気になる方は、アク抜きの時間を少し長めにするといいだろう。また、水に一晩ほどつけておけば苦みがだいぶ薄れるので、こちらも試してみてほしい。
なお、天然ものは栽培ものよりも苦みが強い。天然ものを調理する際はしっかりとアク抜きしよう。
ウドを与えてみよう
アク抜きさえうまくできれば、後は調理していくだけだ。
ウドのカロリーは100g当たり18kcalと低カロリーなので、フードのトッピングや手作り食など幅広く活用することができるだろう。
ただし、ウドはその94%が水分でできている。
与える量が多いと下痢になる恐れもあるので、少量に留めておく程度がいいだろう。
さいごに
ウドは光に弱く、日にあたると硬くなってしまうため、購入後は冷暗所に置くか冷蔵庫の野菜室で保存しよう。その際、湿らせた新聞紙に包んであげると乾燥も防げてなお良い。
ウドは鮮度が命。あまり長く置いてしまうと硬くなってしまい、苦みやアクが増してしまう。美味しく食べるためにも、2~3日のうちには食べきるようにしよう。