豆乳ブームでひそかに人気の大豆製品「おから」。
定番の和え物をはじめ、ハンバーグやポテトサラダに混ぜるなど、食卓でも馴染み深い食材だ。
食物繊維が豊富で栄養価が高く、カロリーが低いため、ダイエットや健康のために食事に取り入れている人も多いのではないだろうか。
そんな、おからは犬用の商品も多数あり、便利な乾燥おからやパウダー状のもの、クッキーなどが販売されているほど。もちろん、豆腐店やスーパーで売っているおからを調理して与えても問題ない。
とはいえ、買ってきたおからを上手く活用するにはどうしたら良いか、注意すべき点があるのかなど、意外と知らない方もいるのではないだろうか?
そこで今回は、おからのあれこれを紹介したい。
そもそも、おからとは何?
おからとは、大豆から豆乳を搾った後の廃物。つまり、大豆の汁を絞って出た水分が豆乳、搾りカスがおからというわけだ。
搾った後の廃物であることから、値段はごく安価で庶民的な食品である。場合によっては豆腐屋が無料でサービスするところもあるが、現在では食品としての需要が供給を下回り、家畜の飼料として一部を活用するも、ほとんどは廃棄されている。
全国民が毎日15gずつ食べれば廃棄物にならないともいわれているが、上記の理由や日持ちがしないなどの理由から、多くが廃棄物となってしまうのが現状だ。
一方、搾りカスとはいえども栄養的には優れている。
おからには、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルをはじめ、タンパク質、炭水化物、食物繊維なども豊富に含まれているのだ。
また、おからには脳の記憶力を高める「ホスファチジルコリン(レシチン)」が豊富に含まれている。
記憶に関連した脳内物質としてアセチルコリンというものがあるのだが、アセチルコリンを作るにはコリンという物質が欠かせない。
その前駆物質がホスファチジルコリンであり、ネズミにコリンを与えたところ、記憶力が良くなったという報告もある。
おからは廃棄物扱いされてしまうことが多いが、実は意外にも栄養豊富な食品なのだ。
おからに含まれる栄養は?
植物性タンパク質が豊富
タンパク質には「動物性」と「植物性」があるのだが、おからに含まれているのは植物性タンパク質である。
タンパク質は健康な筋肉や皮膚の材料となり、体の成長にとって絶対に必要なものであると同時に、アミノ酸として体の中でさまざまな働きを担ってくれる存在だ。
また、タンパク質は原材料のまま使用するよりも、加工することによって消化性が格段に向上する。
例えば、大豆そのものを食べるよりも、大豆を加工して作った豆腐を食べる方が、より消化性が高くなる。
おからも同様、大豆を加工して作られたものなので、消化性も高くなるというわけだ。
ミネラルも豊富に含まれる
おからには、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムといった、実に様々な種類のミネラルを含んでいる。
基本的にミネラルは、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素の機能をサポートしてくれる大切な成分。
犬の体調を整えるだけではなく、骨や歯など体の組織を構成する働きもあるので、犬の成長には欠かすことができないのだ。
食物繊維が豊富に含まれる
おからには100gあたり11.5gの食物繊維が含まれている。なんと、食物繊維の代名詞ともいえるゴボウの約2倍も含まれているのだから驚きだ。
食物繊維には、不溶性と水溶性の2種類があるのだが、おからには便質を改善し便通を促す不溶性が多く含まれている。
食物繊維は犬にとっても腸内環境を整えてくれる大切な成分なのだ。
おからを与える際の注意点
このように、栄養豊富なおからではあるが、半面で注意すべき成分も含まれている。
少量であれば問題のない成分ではあるが、念のため調理の前におさらいしておこう。
また、いかに栄養豊富とはいえども大量摂取させないよう注意も必要だ。そもそも、どんな食材でも与え過ぎは消化不良、下痢、嘔吐、など愛犬につらい思いをさせてしまうので適量を心がけよう。
フィチン酸
豆類や玄米などに含まれている「フィチン酸」は、体に必要なミネラルと結合する性質を持っている。
その結合力により、体内のミネラルを連れて体外に排出されてしまうため、ミネラル欠乏を起こすのではないか、ということが一部で言われている。
しかし一方で、フィチン酸による体内のミネラル欠乏のリスクは少ないという論文も発表されている。玄米や大豆、小麦にもフィチン酸は含まれており、摂取による健康リスクは報告されていないことから、特に問題はないともされている。
おからの賞味期限と与え方
おからの賞味期限は短い
まず、生のおからの賞味期限は2~3日と短いことは知っておこう。
そのため、購入後は速やかに調理の上、できる限り早めに食べきりたい。
また、1パックとなると量が多くて使いきれない、という場合は迷わず冷凍保存しよう。おからは豆腐とは違い冷凍しても食感が変わらないというメリットもある。
冷凍保存の際は、できればフライパンでおからを乾煎りしてから保存を。こうすることにより、約1カ月は保存が可能。長持ちする上に味が変わりにくくなるので、是非お試しを。
おからを調理しよう
次におからを調理していくのだが、基本的に乾煎りするのが鉄板。(生では与えない)
しっかり乾煎りしたら粗熱をとって、ドックフード、手作り食などに加えよう。
また、使い切れそうにない分は、この段階で取り分けてしまうのも良い。
Q:その前に「乾煎り」ってなぁに?
A:「乾煎り(からいり)」とは、水や油を使わずに、フライパンや鍋に食材を入れることです。食材の余分な水分を除いたり、軽く焦げ目をつけて香ばしさを出したりするのにも用いられます。
おからの場合は、さらさらなパン粉のような状態を目安にするのがおすすめです。
さいごに
「おから」、「卯の花」どちらも良く聞く名前だが、実はどちらも同じもの。
その理由は「から」の語は空(から)に通じるとして忌避され、縁起を担いで卯の花と呼んでいるだけなのだ。
ほかにも、包丁できらずに食べられることから雪花菜(きらず)などとも呼ばれている。
多くは廃棄物にされ、縁起が悪いことから呼び方も変わるおから。しかし、栄養面ではそれらを覆すほどの優れた一面があることも分かった。おからを食べる際は、それらを豆知識として味わってみたい。
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