【専門家監修】犬にオリゴ糖を与えても大丈夫?オリゴ糖を与える方法とその注意点

オリゴ糖 犬
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最近、愛犬のお腹の調子が悪い、年を取ってきてお腹が緩くなってきたと感じるなどの飼っている愛犬のお腹の調子に関する悩みを抱えている飼い主もいると思います。

その悩みに効果があると期待されているものがあります。

それがオリゴ糖です。

オリゴ糖を犬に与えても健康的に問題はないのでしょうか?

今回は、犬にオリゴ糖を与えても大丈夫なのかなどについて紹介していきたいと思います。

【専門家監修】応武 梓

専門家 監修
【動物関係の保有資格】アニマルヘルステクニシャン、ペットグルーミングスペシャリスト、コンパニオンドッグトレーナー

犬にオリゴ糖を与えても大丈夫?

オリゴ糖は一体どういったものなのか?

オリゴ糖は炭水化物の1つであり、糖は2~4個の糖が結合して存在する「少糖類」と多くのの糖が結合して存在する「多糖類」に大きく分けられて少糖類の中には単独で存在する「単糖類」と呼ばれる糖が存在しています。

少糖類の糖のことを「オリゴ糖」と呼んでいて幾つかの種類があります。

オリゴ糖は天然の動植物の中に存在するものでそのほとんどがスクロースやラクトース、トレハロース、マルトロ-スなどの糖が2つ結合した二糖類です。

オリゴ糖が多く含有している食べ物

オリゴ糖が多く含有している食べ物としては大豆などの豆類、玉ねぎやネギ、ゴボウ、ニンニク、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワー、アボカド、バナナなどが知られています。

人類とオリゴ糖の出会いとその役割

オリゴ糖を人類が初めて発見したのはそこまで昔のことではありません。

100年以上前に母乳で育てた子供とミルクで育てた子供を比べたら、母乳で育てた子供の方が下痢などの病気に罹りにくく、罹っても軽症で治癒することが分かりました。

そこでその理由を突き止めようと研究が進められ、1899年にフランスにあるパスツール研究所において健康な母乳で育てられた子供のウンチからビフィズス菌を分離することに成功したことがきっかけとなり、腸内の細菌に関する研究が進められました。

その結果、発見されたのがオリゴ糖です。

その大きな役割は腸内の環境を整えることですが、実はすべてのオリゴ糖がそれを起こすというわけではなく、ラクトスクロース、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖などで起こるといわれます。

ビフィズス菌を増やす事ができる理由

それはオリゴ糖が「難消化性」の物質だからです。

この特性は消化酵素では消化・吸収されずに、大腸までそのまま届きます。

そして大腸まで消化・吸収されずに届いたオリゴ糖はビフィズス菌によって食べられることで増えることになります。

ビフィズス菌はオリゴ糖を食べることで腸内の動きが活発化することで便秘の改善やウンチの匂いを軽減するという効果が現れます。

犬に起こるオリゴ糖の効果

これが人がオリゴ糖を摂取した際に起こる効果ですが、犬にも同様なことが起こると推測されています。

犬の腸内の状態を改善するだけではなく、仔犬のサルモネラ感染症の症状を軽減したりなどの効果も期待できます。

またシニアを迎えた犬はビフィズス菌などの善玉菌が減少してしまい、悪玉菌が増加してしまいがちになります。

そう言ったシニアを迎えた犬にオリゴ糖を与えることによって腸内の状態が改善して健康維持に繋がり、結果として一緒に過ごす時間を延ばすことになります。

従って犬にオリゴ糖を与えることは問題ないばかりか、健康維持に繋がる行為だといえますね。

オリゴ糖は血糖値に効果がある?

またオリゴ糖には食べ物を食べた際に本来は起こるある現象が起こらないとされています。

それは血糖値の上昇です。

本来、食べ物を食べると血糖値が上がり、上がった血糖値を下げるために体内でインスリンと呼ばれる物質が分泌されて血糖値を下げてくれます。

ただ肥満や運動不足、早食いやドガ食いなどによって食事をする度に大量のインスリンが分泌されるようになり、徐々にインスリンの効果が弱くなっていき、血糖値が高い状態のまま維持されるようになってしまいます。

これが「糖尿病」という状態です。

オリゴ糖は消化・吸収されることなく、大腸まで届くので食べ物を食べても血糖値が上がることがほとんどなく、インスリンの効果が弱くなった状態を改善したという報告もあります。

なので糖尿病で苦しんでいる犬にも状態を改善する効果がある可能性はあります。

またオリゴ糖は甘さが失われているわけではないので糖分をオリゴ糖に変えても犬に負担を強いることはなく、アレルギーの心配もないことも分かっています。

ダメなオリゴ糖摂取の方法を紹介

オリゴ糖には腸内環境を整えるだけではなく、様々な効果が期待できる素晴らしいものではありますが、過剰に摂取させると軟便を引き起こしてしまう危険性があります。

またオリゴ糖は大豆や玉ねぎ、ネギ、ゴボウ、にんにく、ブロッコリー、アボカド、バナナなどに多く含まれています。

オリゴ糖を犬に与える際にこれらの食べ物を与えてオリゴ糖を摂取させようとする場合には注意すべき食べ物があります。

最も注意するべき食べ物、玉ねぎやねぎ

玉ねぎやネギにはアリルプロピルジスルファイドという物質が含まれていて、これが原因で赤血球を破壊する溶血性貧血やハインツ小体性貧血という病気を引き起こしてしまいます。

最悪の場合は亡くなってしまう上にこれは焼いたり煮たりしても消失することはなく、犬にとって玉ねぎやネギは危険度Aクラスの食べ物といえます。

ニンニクも玉ねぎやネギと同じくユリ科ネギ属に属するので食べさせないほうがいい食べ物です。

アボカドに含まれるペルジン

アボカドに含まれるペルジンも犬が摂取すると下痢や嘔吐の原因となることがあります。

これらの食べ物で摂取するのは避けましょう。

ただバナナは基本的には与えもの大丈夫な食べ物です。

ですが、アレルギーや食べさせ過ぎは健康を害してしまう危険性があるので、注意しながら慎重に食べさせていく必要はあります。

まずはおさえておきたいオリゴ糖を扱う注意点

全ての犬には期待できない?

オリゴ糖は腸内の環境を整えて下痢や便秘の改善に役立つことが期待できるものではありますが、全ての犬でその効果が発揮されるわけではなく、個体差があると考えられています。

なのでお腹の調子が悪い、最近下痢気味だということで、改善を見込んでオリゴ糖を与えても改善が見られないことがあることは覚えておく必要があります。

その場合は別の方法を模索する必要があり、その場合はかかりつけの獣医師さんに相談してみるのも1つの方法ですね。

期待できるオリゴ糖の効果

オリゴ糖は幾つも種類があり、それぞれ発揮が期待できる効果が違います。

便秘の改善にはガラクトオリゴ糖、大腸の血流の増加や細胞の増殖、小腸の粘膜の増加などにはフラクトオリゴ糖、腸内の環境改善にはラフィノース、ビフィズス菌を増やすにはキトサンオリゴ糖やラクトスクロース、ラクトスクロースはビフィズス菌の増加の他にもアンモニアやインドールなどの便の腐敗化合物の濃度減少があります。

アトピー性皮膚炎の改善には酸性キシロオリゴ糖、全身性の免疫の増加や腸の局所的な免疫の増加にはマンナンオリゴ糖などの効果が期待できると考えられています。

オリゴ糖を含んだ食べ物として大豆などの豆類・たまねぎ・ ねぎ・ごぼう・にんにく・アスパラガス・ブロッコリー・カリフラワー・アボカド・バナナなどがあります。

ただ全ての食べ物を犬に食べさせていいわけではないので、犬の健康を害さないような食べ物を選択して食べさせていく必要があります。

サプリメントは要注意?

最近ではドッグフードやおやつ、サプリメントもあるので、そういったものでオリゴ糖を摂取させてみるのも1つの方法としてはありですね。

サプリメントは犬用ものを利用するようにしましょう。

人用のオリゴ糖を摂取できるサプリメントは人用に調整されたものなので、犬に与えるのは避けた方がいいですね。

特に体格が小さい超小型犬や小型犬には過剰摂取になってしまう危険性があるので、注意しましょう。

犬とオリゴ糖のまとめ

オリゴ糖は腸内環境を整えてくれる健康維持には最適なものであり、摂取しても胃では消化されずに大腸までそのまま届くので血糖値を上げにくいという特徴もあるので、砂糖の代わりにオリゴ糖を与えると肥満の犬などには効果がある可能性があります。

最近ではオリゴ糖が含まれたドッグフードやおやつだけではなく、犬用のサプリメントもあるのでお腹の調子が悪い犬や糖尿病が心配な犬に与えてみると効果が発揮される可能性はあります。

ただオリゴ糖は全ての犬で効果が発揮されるとは限らないので、そのことは忘れずにおく必要はあります。

また与えすぎは効果を発揮するどころか、健康を害してしまう危険性もあるので、与えすぎには注意して、最初は少しずつ与えて様子を見ていきましょう。