そうめんは古いほど旨い。そんな話を聞いたことはないだろうか。
意外かもしれないが、実は本当の話。
そうめんは、冬から春にかけて製造されるのが一般的なのだが、梅雨時期を越えて販売されるものを「新物」、1年置いて梅雨を2回越したものを「古物」、さらに梅雨を3回越したものを「大古物」と呼ばれている。
旨さの秘訣は梅雨。高温多湿のこの時期では、原料となる小麦粉に含まれる酵素が活発に活動し、そうめん内の脂質を変化させる。この現象がコシや舌触りを良くし、そうめんを旨くさせるというのだ。
そうめんと言えば、夏の風物詩というイメージが強いが、実は寒い季節に温めて食べる冬そうめんも格別に美味い。
今回は、一年を通して美味しい「そうめん」にスポットをあて、犬への与え方や含まれている成分などについて紹介していこう。
そうめんの成分
つるつるしこしこした食感と喉越しが特徴であるそうめん。
ところで、みなさんはそうめんが何かをご存知だろうか?そうめんは、小麦粉、塩、少量の油、水を練って作られた乾麺のことで、直径1.3mm未満のものを指す。
また、そうめんに似た形状の「ひやむぎ」というものもあるが、そうめんと同じ仲間。大きな違いは太さにあり、直径1.3mm以上1.7mm未満のものを指す。そうめんよりやや太いのが特徴だ。
では、そうめんの成分はどうなのか見ていこう。
※茹でそうめん100gあたりの数値
- エネルギー・・・127Kcal
- たんぱく質・・・3.5g
- 脂質・・・0.4g
- 炭水化物・・・25.8g
- リン・・・24mg
- 食物繊維・・・0.9g
こうして見ると、お世辞にも栄養価が高い食品とは言い難いが、これにはちょっとした理由がある。
本来であれば、他にもカルシウム、ナトリウム、カリウムなどが含まれているのだが、どうしても乾麺から茹で上げ、水にさらす過程で多くの栄養素は流出してしまう。
そのため、最終的に摂取できる栄養素はほとんど炭水化物、脂質、たんぱく質といったところになってしまうというわけだ。
そうめんの塩分量
そうめんには、食感とコシ(弾力)を出すために塩も使われている。
物にもよって量は変わってくるが、犬に与える際に塩分が気になる方も多いのではないだろうか。
しかし、そうめんに含まれる塩分は、茹でる時に大部分が溶け出してしまうので、そうそう気にする必要もない。
ただし、茹でる前の状態「乾麺」のまま犬に与えるのはNG。塩分をダイレクトに摂取してしまうので注意しよう。
物によっては100gあたり5.5g含まれているものもあるので、落ちた物を拾い食い、盗み食いしないよう警戒したい。
「つゆ」や「薬味」は人間とは違うものを
茹でたそうめんに含まれている塩分程度なら特に心配する必要はないが、人間用の「めんつゆ」などを加えてしまうと塩分がグンと上がってしまうので注意したい。
また、薬味の定番である「ネギ」。こちらは、犬が中毒を起こしてしまうので、うっかり与えないよう注意が必要だ。
とはいえ、「そうめんだけでは味気ない・・・」と思う方のために、簡単な出汁のレシピについてご紹介していこう。
出汁を作るなら何がいいの?
出汁といっても私たちが使うような調味料は味付けがしてある場合が多いのでNG。
そのため、愛犬用には野菜やキノコ類、肉類などで手作り出汁を作ってあげよう。
もし煮干しを使って出汁をとりたい場合は、ペット用煮干しか無塩タイプのものであれば、塩分も気にせず使えるので便利だ。
出汁をとる時の注意点
野菜で出汁をとる時に少し注意したいのが、ほうれん草や小松菜など、シュウ酸が含まれている野菜は極力控えるか、一度湯通ししてから使うようにしよう。
シュウ酸の摂取はシュウ酸カルシウム尿石症の原因にもなってしまうため注意が必要だ。
シュウ酸を含む野菜には、ほうれん草、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、レタスなどの葉菜類(ヨウサイルイ)に多く含まれている。
シュウ酸は水溶性で、茹でることによりその量を減らすことができる。別茹でしたものを与えるようにして、出汁とりには使わないようにしよう。
与える前に知っておきたい2つのポイント
栄養が偏らないように与える量は控えよう
前項でも説明した通り、茹でたそうめんの栄養のほとんどが、炭水化物、脂質、たんぱく質といったものである。
当然、そうめんが主食となってしまえば栄養が偏ってしまうので、他の食材とバランス良く組み合わせるようにしよう。
また、そうめんのカロリーも意外と高い。いつもの食事に単純にプラスしてしまうと、あっという間にカロリーオーバーになってしまうので注意したい。
小麦は犬にとってもアレルゲンになりやすい
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
しかも、そうめんの原料となっている小麦は、人間だけではなく犬にとってもアレルゲンになりやすい食材でもあるのだ。
私たち人間にとっても、小麦は食物アレルギー症例数が多いものとして「特定原材料7品目」の1つに指定されているほどである。
そのため、もともと小麦アレルギーをお持ちの犬や、与えてから嘔吐、下痢、かゆがる、発疹などのアレルギー症状が出るような場合は与えないようにしよう。