【獣医師監修】犬はくるみを食べても大丈夫?栄養は高いけど摂取のしすぎは逆効果

犬 くるみ 大丈夫 食べる 食べた 
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くるみは、古くからヨーロッパを中心に貴重な栄養源として食べられてきた食材だ。

さまざまな栄養と効能を持つとされ、日本でも長い間にわたり栄養食としても親しまれてきた。

 

また、健康志向が高まる今日、ナッツ類の中でも大変栄養価が高いくるみは、健康や美容に良い食品としても注目を集めている存在。もちろん、少量であれば犬の健康にも与えて大丈夫な食べ物だ。

しかし、いくら栄養価が高いと言っても摂取のしすぎは逆効果になる場合もあるのはご存知だろうか?

ここでは、くるみの栄養や与え方などについて紹介していこう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

くるみはナッツ類の中でも大変栄養価が高い

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記憶力をアップさせる食材として注目のくるみ。

くるみの7割程度は脂質で、中でも注目したいのがα-リノレン酸。人間も犬も体内で生成されない貴重な栄養素で、神経細胞の形成や認知機能を高める働きがあるといわれている。

α-リノレン酸はオメガ3脂肪酸に分類されており、ナッツ類の中でもダントツの1位を誇る。健康を維持するにも積極的に摂取したい栄養だ。

 

また、他のナッツ類に比べて、ビタミンA、C、E、B1、B2、B6、などのビタミン類も豊富に含んでいる。さらに、カルシウム、リン、鉄分などのミネラル類も豊富に含まれているのも嬉しいポイントだ。

古くから栄養食として人々に親しまれ、食されされてきたのは、こういった理由があるからなのだ。このことから、くるみはナッツ類の中でも大変栄養価が高いと言えるのである。

 

くるみの栄養が犬にもたらす効果とは?

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100g中のエネルギーは674kcalと大変高いが、くるみには注目すべき栄養成分がたくさん含まれている。

 

α-リノレン酸

α-リノレン酸は、多価不飽和脂肪酸の一種で多くの植物油で見られる。

栄養学では、摂取することが必須の栄養素である「必須脂肪酸」ともいわれている成分だ。

人を含めた多くの動物は体内でα-リノレン酸を原料としてEPAやDHAを生産することができるが、α-リノレン酸からEPAやDHAに変換される割合は10~15%程。だが、α-リノレン酸自体は体内で生成できないので食べ物から摂取する必要がある。

皮膚のバリア機能、神経細胞の形成、認知機能を高める働きなど、その効果は多岐にわたって期待されている。

 

 

多彩なビタミン類

ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEは「ビタミンACE(エース)」と呼ばれるほど抗酸化力に優れており、免疫力アップやアンチエイジング、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えてくれるには欠かせない栄養素である。

また、ビタミンB1、B2、B6、といったビタミンB群も豊富に含んでいるのも嬉しいポイントだ。

ビタミンB群は基本的には炭水化物、脂肪、タンパク質の代謝に必要な成分である。つまり、人や犬にとっても生きるためのエネルギーを作るには欠かせない栄養素でもあるのだ。

 

 

ミネラルも豊富に含まれる

くるみには、カリウム、カルシウム、リン、鉄分、亜鉛、マグネシウムといった、実に様々な種類のミネラルを含んでいる。

基本的にミネラルは、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素の機能をサポートしてくれる大切な成分。

犬の体調を整えるだけではなく、骨や歯など体の組織を構成する働きもあるので、犬の成長には欠かすことができないのだ。

 

 

 

栄養価が高いといっても与え過ぎには要注意

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このように大変栄養価が高いくるみだが、いくら栄養価が高いと言っても摂取のしすぎは逆効果になる場合もあるようだ。

特にくるみに多く含まれているリノール酸は、とりすぎると本来期待されている悪玉コレステロールの低下や血栓予防に対する効果が薄くなってしまうともいわれている。

リノール酸は、体内で血中コレステロールを下げる働きがあるのだが、悪玉コレステロールと一緒に善玉コレステロールも低下させてしまうという欠点もあるのだ。

 

また、オメガ3脂肪酸に分類されているα-リノレン酸も、過剰に摂取すると免疫機能障害を起こすことがあるともいわれている。

くるみは栄養価が高いかもしれないが、与える量は少量にとどめておくのが良さそうだ。

 

与える時は「生くるみ」を食べさせよう

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まず、スーパーなどで販売されているくるみには、食べやすくするために「味付け」されてるものが多いので、犬には塩分過多などの別な問題が生じてしまうのでNG。

店によっては「味付けされていないもの」も販売されているので、そちらをチョイスするといいだろう。

ただし、くるみは空気に触れると酸化してしまうので、お徳用ではなく少量タイプのものが良い。

 

一方、殻付きのくるみは割らなければ保存もきくので、保存食としてキープしておくこともできる。

しかし、古くなるとくるみの脂分に独特の匂いを感じるようになるので、くるみを振ってみて中がカサカサ動くような音がしたら、実が古くなって乾燥してしまった可能性があるので早めに割って使うようにしたい。

 

 

さいごに

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今や季節に関係なく、剥かれた状態のものを手軽に入手することができる「くるみ」。

そのほとんどが、カルフォルニアなどの輸入品であるが、実は国産ものも負けてはいない。

くるみ国内生産トップといえば長野県。生産量はそれほど多くはないが、一度食べたら他のくるみが食べられない、と言われる「信濃くるみ」でも有名だ。

くるみの収穫が始まるのは9月下旬~10月頃、収穫してから一旦乾燥させての販売となるので、入手できるのは12~2月頃になるようだ。

 

殻付きは食べるのが面倒…と思うかもしれないが、希少な国産くるみを割って食べるのも贅沢の極み。

愛犬と共に、今年収穫されるくるみに思いを馳せて、殻付きのくるみを探してみよう。

 

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