【獣医師監修】犬はラム肉を食べても大丈夫?ラム肉の脂は吸収されにくい!?

ラム肉
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ラム肉

「ラム肉は独特の臭みがあって苦手だ」という人も多いのではないだろうか。

しかし、実は「ヘルシーミート」として高い評価を得ているのはご存知だろうか。そのうえ、カロリーが低めでメタボ世代にはありがたい食材でもあるのだ。

 

その栄養価からドックフードの材料をはじめ、犬用おやつなどにも使われるほどのラム肉。

もちろん犬に与えても問題はなく、むしろアレルギーでないなら、愛犬にも積極的に与えたい食材の一つなのだ!

 

近頃では冷凍に限らず生の薄切り肉も入手しやすくなり、食卓にも頻繁に登場するようになってきている。

今回は、そんなラム肉の基礎と与え方をレクチャーしていこう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

ラム肉の基礎知識

ラム肉とは?

ラム肉

ラム肉とは、ご存知のように「羊の肉」のこと。

生後1ヶ月未満の仔羊の肉を「ラム」、2歳以上の成羊の肉を「マトン」と呼び、明確に区別されている。

どちらかといえば、マトンのほうが臭みが強いが、きちんと下ごしらえすれば、そんな心配はご無用。

そもそも、羊の臭みの多くは「脂身」の中にある。そのため、余分な脂身を取り除くことで臭みを最小限に抑えることができ、ラム同様に美味しくいただけるのだ。

 

ヘルシーミートと呼ばれている理由

ラム肉

羊肉がヘルシーミートと呼ばれている理由は、必須アミノ酸・鉄分・ビタミンが豊富なうえに低カロリーが特徴であることにある。

他の肉と比べてみても栄養価に優れ、特にビタミンB1、B2、ビタミンEの含有量が豊富。

高タンパクで必須アミノ酸や鉄分などのミネラル類も多く含まれているため、とてもバランスが取れた食材といえるだろう。

 

ヘルシーさの秘訣

ラム肉ヘルシー

実は肉の脂肪というものには、体内に入って溶け始める温度、つまり「融点」というものがある。

ラム肉の脂の融点は44℃。(ちなみに、牛肉が40℃、鶏肉30℃、豚肉は28℃)

犬の平均体温は、おおむね37℃台後半から38℃台が平熱なので、ラム肉の融点44℃より6~7℃も低くなる。

つまり、体内に入った脂はなかなか溶けず、腸で吸収されることなく体外に排出されるというわけだ。

 

 

 

ラム肉に含まれる栄養と効能

ラム肉の栄養

不飽和脂肪酸

人や犬にとっても気になる数値がコレステロール。これ自体は人間や犬にとっても、体を維持するのに必要なものだが、過剰となると問題になってくる。

ところが、この不飽和脂肪酸はコレステロールを減らす働きに優れているとされている。

主に、イワシやサバ、アジなどの青魚に多く含まれている成分だが、ラム肉にも豊富に含まれているのが特徴。コレステロール過剰を気にするなら、肉類の中でもラム肉をチョイスするのも一つの方法だ。

 

カルニチン

動物性タンパク質に含まれるアミノ酸の一種。

カルニチンの健康的効果とは、体内の脂肪を燃焼させる働きに役立つことにある。

主に、羊肉、牛肉、馬肉、カツオ、牛乳などに含まれているが、特に羊肉のマトンには多く含まれる。

さらに、カルニチンは体内で代謝されると新たに「アセチルカル二チン」という物質に合成される。これには脳細胞を再生する働きがあるとされている。つまり、カルニチンは脳の活性化にもつながるのだ。

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。

別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要と言われている。

 

ビタミンE
 
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できる栄養素である。
 
また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化すると言われており、動脈硬化の予防に期待ができる。
 

 

鉄分

羊肉の鉄分は、吸収性に優れたヘム鉄である。

鉄分は貧血予防、改善には効果的といわれている。鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのには欠かせない材料になってくれるほか、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割をはたす。

 

 

 

与える前におさえておきたい2つのポイント

生で与える場合の注意点

ラム肉生で与えた方が栄養価が高く、加熱するよりも栄養の損失が少ないというメリットがあるため、犬に生肉を与える方も増えてきている。

とはいえ、免疫力が低い子犬や高齢犬に与える際は加熱してから与えるようにしよう。

羊は牛と同じ草食動物なため、寄生虫の心配は少ないといわれているが、少ないだけでリスクは0ではない。

健康な状態ならまだしも、愛犬の体調によっては生で与えるよりも加熱の方が消化に良いということも覚えておこう。

 

また、初めて生で食べさせる場合は少量ずつからスタートするのがベスト。食べ慣れていない生肉を一度に大量に与えれば嘔吐や下痢の原因にもなってしまうので注意したい。

 

アレルギーがないか様子を見守ろう

ラム肉アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。

初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

さいごに

ラム肉

国産でも北海道などで生産されるが、極めて少なく希少な存在となっているラム肉。

日本で流通しているラム肉は、そのほとんどがオーストラリア産やニュージーランド産といった輸入品によるもの。

近年では、冷凍でもおいしさを保つ技術が発達したことに加え、流通も発展し臭みの強いものも少なくなってきている。

今までは独特の臭みが苦手という人も、ぜひこの機会に愛犬とラム肉を食してみてはいかがだろうか。

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