年齢を問わず、日本人に親しまれている「りんご」。りんごの起源はおよそ8000年も前にさかのぼり、古来、ギリシャ時代には、すでに野生種と栽培種に区別されていたという。
また、ローマ時代には様々なりんごを掲載したカタログ本も出版されていたというのだから驚きだ。
りんごの旬は秋。その品種数は世界では約15000種、日本では約2000種類の品種があると言われている。
「1日1個のりんごで医者いらず」といわれるほど、古くから栄養価が高い食材として知られているりんご。果たして、犬に与えても問題ないのだろうか?
今回は、りんごの秘められたパワーと犬の相性について紹介していく。
りんごを犬に与えても大丈夫!
りんごには、実に様々な栄養が含まれており、その中でも特に注目したいのが「リンゴポリフェノール」と呼ばれるりんご独自の成分。
これには、強い抗酸化作用があり、活性酸素による細胞の酸化を弱めたり除去する働きがあることから、ガンの予防、老化予防、アレルギーの抑制などの効果が期待されている。
リンゴポリフェノールは、主に「皮」の部分に多く含まれているのが特徴。普通だと捨ててしまう皮だが、他にも便秘の解消に役立つ食物繊維のペクチンや体内の余計な塩分を排出する働きがあるカリウムなども豊富に含まれているのだ。
また、皮ばかりではなく果肉部分にも、βカロテン、ビタミンC、E、B1、クエン酸などが含まれている。そのため、りんごは捨てるところがない優良食材といえるだろう。
一方、犬の健康を害するような成分は含まれていないので、犬には問題なく与えることができる。
りんごのおよそ85%は水分。甘みもあるため、水分補給になり良いおやつになってくれるだろう。上手に活用すれば、犬の健康にも大いに期待できる果物なのだ。
りんごに含まれる犬に役立つ栄養と期待される効果
リンゴポリフェノール
強い抗酸化作用がある。特にリンゴポリフェノールは果物の中でも強い抗酸化作用があり、活性酸素などの有害物質の除去し、ガンの予防、老化予防、アレルギーの抑制などの効果が期待される。
りんごの皮に近い部分に豊富に含まれているのが特徴。皮に付着している農薬は、よく水洗いすれば問題ないので、最近は皮ごと食べる方がよいとされる場合も多い。
ペクチン
りんごには水溶性食物繊維であるペクチンが含まれている。ペクチンは腸内の悪玉菌を体外に排出し、便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。
ペクチンは加熱することで働きが上がるので、整腸効果を期待する場合は加熱調理して与えてもよい。(ただし、加熱することにより、ビタミンCなどの栄養効果が減少してしまう場合もある)
クエン酸
クエン酸には、疲労の原因である乳酸の増加を抑制、分解する作用があるため疲労回復に期待ができる。他にも、吸収されにくい成分を吸収されやすい形に変えて吸収したり、体内の有害物質を排出しやすい形に変えて排出する「キレート効果」にも注目されている。
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。
ビタミンB1
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。
まずは知っておきたい!与え方のポイント
りんごのテカリはワックスではない!?
りんごの表面はテカテカしている。
そのため「農薬などのワックスを使っているのだろう」と誤解されがちだが、実は「油あがり」という現象である。
りんごが成熟するにつれて出てくる油で、リノール酸やオレイン酸といった成分によるもの。ワックスでなく、りんご自身が乾燥を防ぐために出している成分なのだ。
ひと昔前に比べ、農薬を使う回数や量もかなり少なくなっているという。また、農薬を使用する場合でも、害虫に喰われないように、主に「りんごの葉っぱ」に対して散布している。使用される農薬は水溶性なので、水でしっかり洗えばほとんど落ちる。
それでも残留農薬が気になる方は、「無農薬」と表記されたりんごを選ぶのもよい。
効果的に栄養を摂るなら「皮のまま」がベスト
一見、りんごは「ビタミンが多い果実」と思ってしまうが、実は意外にもビタミンの含有量は少ない。そのため、りんごの栄養を最大限に摂取するなら、皮と果肉部分をセットで与えるのがベスト。
とはいえ、犬にとってりんごの皮は果肉部分に比べ消化されにくいので、皮ごと擦りおろして手作りジュースにして与えるのがオススメだ。
リンゴポリフェノールやペクチンは、皮の部分に多く含まれているので、皮は捨てずにそのまま与えることが、栄養を摂取する上で一番効果的な食べ方なのである。
さいごに
リンゴポリフェノールをはじめ、たくさんの栄養が含まれている「りんご」。
今やスーパーなどでは、1年中見かける存在となったが、実は「CA貯蔵法」という技術を用いて、りんごの鮮度を保ったまま長期保存している。
通常であれば1週間程度の賞味期限だが、この技術を駆使することによって、秋にかけて収穫されたりんごが、翌年の春以降も鮮度が維持されたまま出荷することが可能になるという。
1年を通して味わえるりんご。是非、愛犬の健康維持にも活用したい食材なのだ。