【獣医師監修】犬はバナナを食べても大丈夫?犬にとってもスーパーフードなのだ!

犬 バナナ
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バナナの歴史は古く、紀元前5000年から1万年頃の東南アジアにて、偶然できた種のないバナナの苗を栽培したのが始まりと考えられている。

 

日本におけるバナナの歴史は戦国時代。永禄12年(1569年)、ポルトガル人宣教師・ルイス=フロイスが織田信長にバナナを献上したことから、最初にバナナを食べた日本人は織田信長であるとも言われている。

今やバナナは300以上の種類があり、生食用や料理用などで種類が分けられている。赤道をはさみ南北緯度30度の間に分布するバナナベルト地帯では、実に様々なバナナが栽培されているほどだ。

そんな世界中で栽培されているバナナは、ダイエットブーム時に一時品薄にもなったが、最近では栄養的にもバランスが良いことから健康維持のために食べる人も多い。
 
トップアスリートも好んで食べているバナナ。果たして、犬にとっての効果はどうなのだろうか?
 
今回は、バナナと犬の相性について迫っていこう。
 

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

バナナは犬にとってもスーパーフード

犬 バナナ

バナナでまず注目したいのはビタミンB6の含有量。バナナの含有量は他の果物に比べてもダントツに高く、100gあたり約0.4㎎を含む。

 

しかも、バナナはビタミンB1、B2、ナイアシン(B3)など、多くのビタミンB群を含有している。ビタミンB群は、エネルギー代謝に欠かせない栄養素であり、こうした成分が相互に働くことで、体の働きをサポートする効果が期待できると考えられている。

 

また、強い抗酸化作用が期待できるビタミンCやポリフェノールも含まれており、老化防止や免疫力アップにも期待ができる。

バナナは他にも、カリウムやマグネシウムなどのミネラルも含んでおり、その含有量は他の果物と比較しても豊富に含まれているのが特徴。そのうえ、カリウム、マグネシウムのコンビは心臓の健康を保つには不可欠な栄養素ともされているのだ。

 

一方、犬の健康を害するような成分は含まれていないので、犬には問題なく与えることができる。

実に様々な作用が期待できるバナナは、まさに犬にとってもスーパーフード的な存在と言えるだろう。

 

バナナに含まれる犬に役立つ栄養と期待される効果

犬 バナナ
 
ビタミンC
 
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
 
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのである。

 

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要。

 

ナイアシン

ビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
 
糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。
 

 

ビタミンB6

「ピリドキシン」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一つ。

ビタミンB6はタンパク質をアミノ酸に作り変える働きがあり、効率よく体内へ取り込むには欠かすことのできないビタミンと言われている。

また、ビタミンB6を活性化するには、ビタミンB2の摂取も必要になってくる。バナナのようにビタミンB2も持ち合わせた食材は、まさに効率のいい食材と言えるだろう。

 
 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

食物繊維
 

便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。

 

 

まずは知っておきたい!犬に与えるポイント

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犬にとっては高カロリー!与え過ぎは肥満の可能性あり

バナナ1本分のカロリーは100gあたり、86kalと果物の中ではやや高い。一方の糖質は、100gあたり21.4gと、果物や全食品の中でもやや高い傾向にある。

 

ひと昔前までは、ダイエットフルーツとして人気を博していたバナナ。しかし、最近では糖質が多すぎて高カロリーなフルーツしてとらえられている。

 

まして、人間よりも体の小さい犬にとってはかなりの高カロリー食材ともいえるだろう。そのため、与え過ぎてしまえば肥満に繋がる可能性があるので気をつけたいところである。

ついつい食べさせ過ぎないよう量をコントロールするのも大切だ。

犬 バナナちなみに、バナナを乾燥させた「ドライバナナ」。カロリーは100gあたり299kcal、糖質に関しては71.5gと、なんと生で食べるより、はるかにカロリーと糖質量が上回ってしまう。

ボリボリ食べれるからといって、愛犬に与えてしまうと一発でカロリーオーバーになってしまうので要注意だ。

 

 

与えるタイミングは散歩や運動前が理想的

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糖質は、即効性のあるブドウ糖のような消化吸収が優れたタイプや、果糖やショ糖などのようにゆっくり吸収されるタイプなど、その種類によってエネルギーに変わる速さが異なる。

 

なんとバナナには、これら即効性+持続性をもつ糖質が含まれているため、長時間に渡りパワフルな状態をキープできる。それゆえに、多くのアスリートがバナナを好んで食べているのだ。

そのため、犬に与えるタイミングには工夫の余地あり。犬にバナナを食べさせるなら、散歩や運動前にバナナをチャージするのがおススメだ。

 

食物アレルギーがないか様子を見守る

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

さいごに

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現在、スーパーなどで見かけるバナナの約8割がフィリピン産が主流である。温暖な気候で育ったバナナは寒さに弱いため、冷蔵庫ではなく常温保存するのがおススメだ。

 

常温保存をしていると、皮に黒い斑点が現れるが、これは「シュガースポット」といい、バナナの熟成が進んだ証。購入後は常温で少し追熟させてから味わうのも、バナナを美味しくいただくコツである。

 

バナナは犬にとっても、栄養的なバランス、機能性、共に優れていることが分かった。散歩や運動前はもちろん、疲れた時にも大活躍してくれそうだ。

とはいえ、糖質やカロリーが高いので与える量には気を配る必要がある。与え方のポイントをしっかりマスターして、愛犬の健康にも是非、役立ててみてはいかがだろうか。

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