【獣医師監修】犬はいちごを食べても大丈夫?犬にとっても栄養満点!

いちご
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いちご

甘酸っぱい美味しさと、サッと洗ってそのまま食せる手軽さが特徴の「いちご」。

ひと昔前は、いちごの旬といえば「春」とされていたが、露地栽培よりも出荷を早める促成栽培(そくせいさいばい)が普及し、今では「冬から春」が旬のフルーツとなった。

いちごが出回る時期は、胸が高鳴るシーズン。その美しく粒が揃ったいちごのパッケージがズラリと並んでいるのを見かけると、どれにしようか選ぶのに迷ってしまうほどだ。

 

その美味しさと手軽さゆえに、多くの老若男女に好まれているいちご。サイズも手頃で、愛犬のおやつに思わず与えたくなってしまうが、犬にとってはどうなのだろう。気になったので調べてみた。

ということで、今回はいちごと犬の相性について紹介していく。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

犬はいちごを食べても大丈夫だが、過剰摂取には注意

いちご

いちごは見た目は小粒だが、実はビタミンCの宝庫である。

ビタミンCと言えば、犬は体内でビタミンCを合成できる生き物というのはご存知だろうか。なんと犬をはじめ、ほとんどの動物は体内でビタミンCを合成することができるのだ。

 

とはいえ「ビタミンCが合成できるなら、あえて摂取する必要はないのでは?」と思ってしまうが、そうではない。確かに犬はビタミンCを合成できるが、一日に合成できる量には限度があると言われている。

 

高齢犬、病気持ちの犬などは、体内で合成する分だけでは足りない場合もある。そんな時は食べ物でカバーするのも一つの方法といえる。

 

いちごはビタミンC以外にも、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、犬の健康をサポートしてくれる成分が含まれているので犬に与えても問題はない。

 

ただし、いちごにはキシリトールも含まれているのは知っておこう。人にとっては虫歯予防に効果があるとされるキシリトールだが、犬にとっては低血糖や肝障害を起こす可能性があるという。

 

確かに犬が大量に摂取した場合は毒性があるのは事実だが、普段のおやつとして与える分であれば、キシリトール中毒になるほどの摂取量にはまずならない。長期摂取や大量摂取に注意すれば、あまり神経質にならなくてもOKだ。

 

いちごに含まれる犬に役立つ栄養と期待される効果

いちご
 
ビタミンC
 
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
 
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのである。
 
 

 

ポリフェノール

いちごに含まれているポリフェノールは、アントシアニン、ケルセチン、ケンプフェロール、フィセチン、エラグ酸など、実に様々な種類を含む。その中でも多く含まれているのは、アントシアニンとエラグ酸。

ポリフェノールは視力改善の効果に期待ができる。また、抗酸化作用もあるため、犬のアンチエイジングにも効果があると言われている。

ビタミンCとの相乗効果により、いちごは最も抗酸化作用の強い果物のひとつに数えられているほどだ。

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

ペクチン

いちごには水溶性食物繊維であるペクチンが含まれている。ペクチンは腸内の悪玉菌を体外に排出し、便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。

 

カルシウム

骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。

しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、手作り派の方は意識して摂取したい成分

 

犬にとってキシリトールとは?

いちご キシリトール

犬が大量に摂取した場合は毒性があるとの報告もある。実際、いちごの可食部100gあたり約40㎎のキシリトールを含み、食材の中ではカリフラワーと並び多いほうである。

 

しかし、犬がキシリトール中毒を起こすには、いちご100個以上に相当する量とも言われている。それだけの量を摂取することは、まずあり得ない。そもそも100個も与えれば、別な理由で死んでしまう。

 

いちごにはキシリトールが含まれており、確かに犬にとっては毒ではあるが、その物質が含まれているだけで「危険!」という解釈や姿勢は間違い。

 

与える際に、その量が急性毒性に繋がる量か、蓄積して慢性毒性になるかがポイントになってくる。

畑で作られた天然の食材に含まれる程度なら、それほど神経質にならなくても大丈夫ではあるが、人工的に作られた「キシリトールタブレット」のようなものはNG!。犬が誤って食べないように要注意だ!

 

 

まずは与え方の基本をマスターしよう!

 
食べ過ぎは下痢の原因になりやすい
 
いちごいちごの約90%は水分。
 
そのため適度な量は水分補給にもなるが、食べ過ぎは水分量が多いため下痢の原因になりやすい。せっかく愛犬に与えるのだから、消化不良で下痢や嘔吐になっては元も子もない。
 
いちごの栄養を効果的に摂取するためにも、与える量を上手にコントロールするのが重要なポイントだ。
 
 

 

与え過ぎは低血糖を招く

150㎎のキシリトール量で低血糖になった例もあるというので、犬が喜んで食べるからといっても与え過ぎないよう気をつけよう。

いちごの可食部100gあたり約40㎎のキシリトールを含有するのは前項でも説明の通り。

いちご1個あたりの重量は、大きいサイズで約20g、小さいものであれば約10g程度。低血糖になったキシリトール150㎎をいちごの個数で換算すると、サイズにもよるが約20~40個の量である。

 

それほどの量を与えることはないだろうが、血糖値が低下してフラフラしないためにも知っておこう。与える量は、犬の体重によっても異なるが、5㎏程度の小型犬であれば1日1~2個程度がベターである。

 

 

食物アレルギーがないか様子をみよう!

いちごアレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

さいごに

いちごいちごのルーツをたどると、江戸時代の終わり頃にオランダ人によって伝来されたのが始まり。

もともとは観賞用であったが、1870年代にアメリカやイギリスから食用とされるいちごが伝わったのがキッカケとなり、日本でも栽培がスタートする。その後、品種改良が繰り返されて、現在のような美味しくて甘いいちごが生まれたのだ。

 

今や驚くべき値段で話題の岐阜県産「美人姫」1粒5万円や、山口県の農家が感謝と熱意で産み出した、ハート型の「いちごこころ」など、いちごは常に話題に欠かせない存在となった。

 

いちごは犬にとってもうれしい栄養をたくさん持ち合わせた果実。与える量をしっかりコントロールして、愛犬と一緒に味わおうではないか。

 

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