【専門家監修】犬はたらこを食べても大丈夫?気になる塩分やコレステロール、与えるべきではない理由について

犬 たらこ 明太子 からすみ 与える 食べる 塩分 NG 大丈夫
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犬 たらこ 明太子 からすみ 与える 食べる 塩分 NG 大丈夫

炊きたてのご飯の上にのせると、それだけで何杯も食べれてしまう「たらこ」。たらこは食欲をかきたてる、ごはんの友の定番だ。

程よい塩気と旨みを持ち、且つ、何と言ってもあのプチプチとした食感がたまらない。そんなたらこが好きという人も多いのではないだろうか。

 

しかし、みなさんもご存知の通り、たらこは塩分が高い食品でもある。やはり、塩分が高いだけに犬にはとっては避けるべき食品なのだろうか。

ただ、中には塩気は強いと知りつつも、犬に少しくらいなら…と思って与える飼い主さんもいるかもしれない。

今回は、たらこの栄養価や塩分などについて紹介するとともに、犬に与えるにはハードルが高い食材であるということもお伝えしていきたい。

 

【専門家監修】大谷幸代

専門家 監修
【動物関係の保有資格】専門学校講師、愛玩動物飼養管理士・トリマー・アロマセラピスト・ホリスティックケアカウンセラー・ペット食育士・ペット災害危機管理士・マウスケアメンター等

 

 

 

 

たらこ、明太子、からすみ、これらの違いとは?

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そもそも「たらこ」とは何なのか?

見かけから魚の卵というのは分かるが、何の卵なのか知らずに食べていることもあるだろう。

たらことはその名が示す通りタラの子である。たらこはスケトウダラの卵巣を塩漬けにしたもの。似たようなものに「辛子明太子」があるが、こちらもスケトウダラの卵巣を使い、塩漬けではなく、辛子の入った調味料に漬けこんだもの。

つまり、たらこと明太子は原料が同じであるが、違いは塩漬けか辛子漬けにされるかである。

 

ちなみに、高級食材として「からすみ」があるが、こちらは魚のボラの卵巣から作られている。卵巣を塩漬けにして乾燥させたものがからすみなのだ。

 

たらこの栄養価

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魚卵には卵が育っていくための栄養が詰まっているため、栄養価が非常に高い。

たらこは良質のタンパク質を多く含み、犬にとっても筋肉を維持して増やしていくための原料となる。体力をつけて疲労回復させ、免疫力を向上させるためにも、タンパク質は欠かせない栄養素なのだ。

たらこは他にもビタミンB1やB2、ビタミンEのほか、ミネラルも豊富に含まれている。

 

たらこの塩分

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たらこを食べてしょっぱいと感じる塩分。では、実際にどの位の量が含まれているのだろうか。

ここでは、生で食することが多い生たらこと、おにぎりの具としてもお馴染みの焼きたらこ、ついでに辛子明太子、この3品で見てみよう。

 

※いずれも100gあたりの数値 〈 〉内は25gあたりの数値

  • たらこ(生)・・・4.6g  〈1.2g〉
  • たらこ(焼き)・・・5.3g 〈1.3g〉
  • 辛子明太子・・・5.6g  〈1.4g〉

 

たらこは大・中・小さまざまなサイズを目にすることがあるが、小さいサイズ1本で25g程度を考えてもいいだろう。

こうして見ると、水分が飛んだ分焼きたらこは塩分が高め。また、辛子明太子も調味料が加わった分だけ塩分も高くなっているようだ。

 

ただ、これだけではピンとこない人もいるかと思う。参考までに、塩漬け食品の代表格である梅干しと比較するとどうなのか見てみよう。

※梅干し1粒(約20g)あたりの塩分量

  • 梅干し(塩漬け)・・・4.4g
  • 梅干し(調味漬け)・・・1.5g
  • 参考:たらこ(生)・・・4.6g/100gあたり  〈1.2g/25gあたり〉

 

梅干し(塩漬け)、調味漬け梅干し、たらこ(生)で比較してみた。

やはり塩漬けにされた梅干しの塩分は圧倒的な数値を誇る。だが、調味漬け梅干しとたらこ小サイズ1本はだいたい同じだというのが分かる。

 

犬が1日に必要とする塩分量と致死量

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犬の身体が必要とする1日のナトリウム摂取量は、体重1㎏あたり50mgと言われている。

これを塩分に換算してみると、体重1㎏あたりで0.127gとなる。例えば体重10㎏の犬では1.27gが適量ということになるだろう。

 

次にたらこに含まれる塩分量はどうなのか、もう一度見てみよう。

※いずれも100gあたりの数値 〈 〉内は25gあたりの数値

  • たらこ(生)・・・4.6g  〈1.2g(目安:たらこ小サイズ1本)〉
  • たらこ(焼き)・・・5.3g 〈1.3g〉
  • 辛子明太子・・・5.6g  〈1.4g〉

 

さすがに100gもの量を与えることは考えられないが、体重10㎏程度の犬でも小サイズ1本与えれば、1日分の塩分をそれだけで摂取することになってしまうだろう。

 

 

犬の塩分致死量は?

一般的に、犬の塩分致死量は体重1㎏あたり4gだと言われている。

こちらも10㎏の犬を例にした場合、塩分を40g摂取すると非常に危険になってくる。たらこ小サイズ1本の塩分を1.2gとした場合、本数でいうと小サイズ33本の量になる。

さすがに、これほどの量を与えることはないだろうが、犬の塩分致死量でいうとこのようになる。

塩分量で考えると、与えるには注意すべき食品のひとつと言えるだろう。

 

 

 

与えるべきではない理由

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他の食材との塩分バランスを考える必要があるから

いくら小さいサイズを選んだとしても、それでも犬にとっては塩分が高めだ。

前項では10㎏の犬を例にしたが、もっと体が小さい犬、例えば5㎏程度の犬であれば1日の塩分必要量は0.635g。

これに対して、たらこ小サイズ1本に含まれる塩は1.2g。

そう考えると、犬の体重によっては小サイズ1本与えてしまうと完全に塩分過多コースとなってしまうので、与える量は「犬の体重から1日に必要な塩分量の範囲内で抑える」ということが必要になってくる。

ただ、これには他の食材やドックフードの塩分も含めた量ということ。単純に、たらこの塩分量だけではないので注意したい。

 

また、ドックフードか手作りご飯でも、摂取する塩分量は変わってくることも頭に入れておかなくてはならない。

例えば…

  • ドックフードの場合は、すでに十分すぎるほどの塩分がフードに含まれているので与えると過剰になる。

 

  • 手作りご飯の場合は、1日に必要な塩分量(適量)を目安に、塩分が不足・過多にならないよう他の食材との塩分を調整する。

 

など、1日の塩分必要量も大切だが、他の食材との塩分バランス計算も緻密になるため、与えるにはハードルが高い食材だといえるだろう。

 

 

たらこはコレステロールを多く含む

たらこは栄養価が高い分、100gあたり280mgとコレステロールを多く含む。

これは、フードのトッピングや手作りご飯、おやつなどでも与える機会が多い、鶏肉(ささみ)の約4倍もの量だ。

 

参考:鶏肉(ささみ)100gあたりのコレステロール・・・67mg

 

組み合わせる食材によってはコレステロールがもっと増える可能性があるので、犬の食事では扱いづらいと言えるだろう。

 

 

チアミナーゼ

生たらこは焼きたらこと比べて若干塩分が低いため、少量であれば与えられるかも…と思われる人もいるかもしれない。

しかし、魚介類の多くは「チアミナーゼ(アイノリーゼ)」というビタミンB1を破壊してしまう酵素が含まれている。もちろん、たらこにも含まれている。

チアミナーゼを頻繁に摂取し、ビタミンB1が欠乏することになれば、運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

加熱によってチアミナーゼは失活するが、焼きたらこにすれば水分が飛ぶ分、逆に塩分が高くなってしまう。いずれにせよ、生でも、焼いても、犬に与えるにはハードルが高すぎる食材なのだ。

 

 

さいごに

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たらこには栄養が豊富に含まれており、値段も手頃で、そして美味い。

愛犬のご飯のお友にも、少しお裾分けしたい食材ではあるが、塩分以外にもコレステロールが高めということも考えると、与えるには適していない食材だと言えるだろう。

飼い主さんが食べていれば愛犬だって欲しがるだろうが、ここは心をひとつ鬼にして、お裾分けするのは控えた方が無難だ。

 

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