独特の風味ゆえ、食べるのが苦手な人も多い「ピーマン」。
ピーマンは唐辛子の仲間で、同じナス科トウガラシ属に分類されている。南米の熱帯地方が起源とも言われており、品種改良によって辛くない品種が誕生した。
日本で一般的に食べられるようになったのは戦後。それまで全く普及しなかったピーマンだが、戦後の食糧難の時には飛ぶように売れたのだという。
それがキッカケとなり、日本の食卓に加わることになったのだが、当時から嫌いな野菜ナンバーワンであったようだ。
しかし、近年ではピーマン嫌いの子供でも食べられる「こどもピーマン」も開発され注目を集めている。
今回は、苦みが特徴的なピーマンにスポットをあて、犬との相性、栄養と効能などについて紹介していこう。
ピーマンは犬が食べても大丈夫な野菜!
結論から言ってしまうと、犬にピーマンを与えても問題はない。ピーマンは独特の苦みがあるゆえ「犬は食べないのでは?」と思ってしまうが、意外にも好きな犬も多いようだ。
その理由は、食べ物を味よりも匂いで判断しているため、香りの強いピーマンに興味を持つのだという。
一方の栄養面では、抗酸化作用が期待できるビタミンCが豊富に含まれているのが特徴。その含有量は野菜の中でもトップクラスを誇り、大きめのピーマン1個で、レモン1個分に相当する量が含まれているのだから驚きだ!
ビタミンCと言えば、犬は体内でビタミンCを合成できる生き物というのはご存知だろうか。なんと犬をはじめ、ほとんどの動物は体内でビタミンCを合成することができるのだ。
とはいえ「ビタミンCが合成できるなら、あえて摂取する必要はないのでは?」と思ってしまうが、そうではない。確かに犬はビタミンCを合成できるが、一日に合成できる量には限度があると言われている。
高齢犬、病気持ちの犬などは、体内で合成する分だけでは足りない場合もある。そんな時は食べ物でカバーするのも一つの方法といえる。
また、ビタミンCは熱に弱い栄養素と言われるが、ピーマンの場合は熱を加えてもあまり壊れない。これは、ピーマンに含まれるビタミンPの働きによるもの。その上果肉がしっかりして厚みがあるので、ビタミンCが外に流れ出すのを防いでくれるようだ。
ピーマンにはこうしたビタミンC・Pが含まれているため、免疫力の強化や骨や血管を強化してくれる効果にも期待ができる。
犬も年齢を重ねるごとに骨や血管も弱ってくるのだから、ピーマンはそれをサポートしてくれる優秀食材と言えるだろう!
ピーマンに含まれる栄養と期待される効果
βカロテン
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つ。
ビタミンP(バイオフラボノイド)
あまり聞きなれない成分だが、ビタミンPはポリフェノールの一種で、ビタミンに近い働きがある。
毛細血管の正常な働きをサポートし、毛細血管を強くして血流の流れを良くする働きがあるとされている。
カリウム
ピーマンにはカリウムも豊富に含まれている。
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
カラーピーマンとは?実は意外と栄養豊富
ピーマンといえば、ツヤツヤした鮮やかな「緑色」をイメージする方も多いのではないだろうか。
実は、緑色のピーマンはまだ完熟していない未成熟の状態。ピーマンも唐辛子と同じく、成熟するにつれて赤みがかかってくる。つまり、スーパーなどで売っている緑のピーマンは熟す前の状態で出荷されるものであり、完熟させて出荷すると「カラーピーマン」になるのだ。
しかも、完熟させても唐辛子のように辛味が出てくることはなく、逆に甘みと栄養価が増えるというのだから驚きだ!
ちなみに、カラーピーマンは色によっても苦みが異なる。黄色やオレンジ色が甘いので、愛犬に甘味を加えてあげるなら黄色やオレンジ色をチョイスしてみるのもよい。
パプリカもピーマンの仲間
ピーマンと見た目が似てるパプリカだが、どちらも同じ「ナス科トウガラシ属」に分類されており、栽培品種は異なるものの同じ仲間である。
ピーマンとパプリカの差は、果肉の厚さと、形、味ぐらいしか変わりはないが、ビタミンCやβカロテンはパプリカの方が圧倒的に多く含有する。
含まれる成分もピーマンと似ているため、犬に与えても問題はない。カラーバリエーションも豊富なパプリカ。愛犬の食事に彩りを加えるのに是非とも使いたい食材だ!
まずは与え方の基本をマスターしよう!
ピーマンは細かく刻んで与えよう
ピーマンは生でも加熱して与えても問題はないが、犬は肉食よりの雑食動物なため野菜の消化はあまり得意とはしない。そのため、ピーマンを与える時は「ヘタ」や「種」を取り除くのはもちろん、胃腸の負担にならないよう細かく刻んでから与えるようにしよう。
また、消化に優しいよう加熱してから与えるのもオススメだ。ピーマンに含まれるビタミンCは熱に壊れにくいので、茹でたり、炒めたものを加えてあげればビタミンCも摂ることができる。
ただし、ビタミンPは水溶性の性質を持ち、熱に弱いのが特徴である。ピーマンを加熱調理する場合は、短い時間で調理することを心がけよう!
鮮度の良いピーマンを見極めよう!
ピーマンが新鮮かどうかは、ヘタを見れば一目瞭然。ピーマンはヘタから劣化してくるので、黒ずんでいたり、茶色く変色して干からびていないか要チェック。
せっかく愛犬に与えるのだから、鮮度の良いフレッシュなピーマンを選びたい。購入する際は、ヘタをチェックして新鮮さを見極めよう!
さいごに
ピーマンはハウス栽培で1年を通して入手することができる野菜だ。ツヤツヤとした鮮やかな緑色は大地の恵みそのもの。好き嫌いの分かれる食べ物だが、実に様々な栄養が含まれている優秀食材なのだ。
ピーマン、カラーピーマン、パプリカなど、愛犬の健康維持にも、ぜひ試してみてはいかがだろう。