【獣医師監修】犬は豚肉を食べても大丈夫?赤身と脂身つきでの気になるカロリー

豚肉
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豚肉

ご家庭の食卓にも頻繁に登場するであろう「豚肉」。

人によっては「ロース」「ヒレ」など好みの部位もあるだろう。豚肉を知らない人はいないと思うが、豚カツや焼き肉などの定番料理をはじめ、ハムやソーセージなどの加工品も人気な食材だ。

今や日本で食用に飼われている豚の純粋品種は主に6種類。

 

一見、もっと種類があると思うが、それは「〇〇豚」といった銘柄豚であり、純粋品種と雑種を掛け合わせた交雑種なのだ。

 

よく「三元豚」を見かけると思うが、3種類の豚を掛け合わせた交雑種になる。よくスーパーなどで見かける豚肉のほとんどが、この三元豚のタイプ。それぞれの品種の良さを組み合わせることによって、より優れたものがブランド豚や銘柄豚として登録されている。

 

とはいえ、愛犬に豚肉?と思う方もいるだろう。ここでは、犬と豚肉の相性、栄養などについて紹介する。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

豚肉は犬の年齢を問わず与えたい食材のひとつ

豚肉

まず、豚肉の栄養素の中でも「ビタミンB1」「タンパク質」に注目したい。

豚肉にはビタミンB1が非常に多く含まれており、牛肉や鶏肉に比べその量を大きく上回る。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える重要なビタミンではあるが、体内に蓄積されない側面もあるため、犬にとっては欠かせない存在になる。

この成分は野菜などでも摂取できるが、水に溶けやすいので水にさらすと多くの栄養が逃げてしまう。洗わず調理できる豚肉はほとんどビタミンB1を逃がさず摂取できるので、是非とも愛犬の食事に活用したい。

 

また、タンパク質は犬の身体をつくるうえで1番多く必要な栄養素と言われており、体内バランス、皮膚、毛なみ、免疫組織など、犬の健康を維持するうえで重要な成分になる。

不足すれば体の全てに影響が出て、病気を防ぐ免疫抗体も減少し病気を引き起こしやすくなると言われている。豚肉でしっかりとタンパク質を摂取しておきたい。

 

他にも、ビタミンB2、B6、ナイアシンなどのB群や、鉄分、カリウム、リンなどのミネラルも含まれている。

豚肉は身近な存在ゆえに、その豊富な栄養があることを見落としてしまいがちだが、意外にも優秀な食材であるのだ!

 

豚肉に含まれる犬に役立つ栄養と効能とは?

豚肉の栄養

タンパク質

タンパク質は犬の身体をつくるうえで1番多く必要な栄養素である。

動物の身体のおよそ20%がタンパク質などのアミノ酸からできており、体内バランス、皮膚、毛なみ、免疫組織など、犬の健康を維持するうえで大切な成分なのだ。

そのうえ、動物性タンパク質は植物性タンパク質に比べ効率よく吸収されるのが特徴。手作り食がメインの方は是非活用して摂取したい。

 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

主に、豚肉のヒレ、もも肉などに多く含まれる。

 

ビタミンB2 (リボフラビン)

糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として働く。

別名「発育のビタミン」とも言われ、発育促進に重要な役割を果たしてくれる。ほかにも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要と言われている。

 

ナイアシン

豚肉のロース、ヒレの部位に豊富に含む。ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
 
糖質、脂質、タンパク質の代謝に欠かせない。循環系、消化器系、神経系などの働きをサポートしてくれる。
 
 
 

ビタミンB6

「ピリドキシン」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一つ。

ビタミンB6はタンパク質をアミノ酸に作り変える働きがあり、効率よく体内へ取り込むには欠かすことのできないビタミンと言われている。

また、ビタミンB6を活性化するには、ビタミンB2の摂取も必要になってくる。豚肉のようにビタミンB2も持ち合わせた食材は、まさに効率のいい食材と言えるだろう。

 
 

鉄分

鉄分は貧血予防や改善に効果的と言われている。鉄分は赤血球の中の「ヘモグロビン」を作るのに欠かせない材料である他にも、赤血球が酸素を運ぶ手助けをしてくれる大切な役割がある。
 
 
 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

 

与える前に知っておきたい。部位によるカロリー量

カロリー豚肉

豚肉は様々な部位があるが、カロリーを見てみると、それぞれの部位で少し変わってくるようだ。

しかも、脂身がついている場合とついてない場合(赤身)を比べてみると、驚くほどカロリーに差がある。

では、実際に部位ごとのカロリー量をチェックしてみよう。

 ももロース
赤身125kcal128kcal150kcal
脂身つき216kcal183kcal263kcal

(※いずれも100gあたりの数値)

 

脂身のカロリーが高いのは予想通り。上図には載ってないが、脂身が売りである「バラ肉」にいたっては、100gあたり386kcalと極めて高い。

 

一方、元々脂身がないヒレ肉に関しては、100gあたり130kcalと、カロリーは低めだ。

 

こうしてみると、部位もそうだが脂身がつくだけでカロリーがグンと高くなってしまうのが分かる。

愛犬には、できるだけ脂身を取り除いたものを与えるのがベストといえるだろう。

 

まずはおさえておきたい!豚肉を扱う注意点

豚肉を焼く

与える際は「加熱」が基本!

豚肉自体は食べても問題はないが、必ず火を通した豚肉を与えるようにしよう。

豚肉の「生食」は人間でも食中毒やE型肝炎発症を引き起こすリスクが高いとして、飲食店での販売・提供を禁止されているほどだ。

また、厚生省のホームぺージでは、豚肉の生食について以下のように注意喚起している。

 

豚レバーをはじめとする豚のお肉や内臓を生で食べると、E型肝炎ウイルス(HEV)に感染するリスクがあります。E型肝炎は劇症化することもあります。
また、豚を生で食べると、サルモネラ属菌やカンピロバクター・ジェジュニ/コリ等の食中毒のリスクがある(※)ほか、世界では、豚からの有鉤条虫、旋毛虫等の寄生虫への感染も報告されています。

引用:豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう ≪厚生労働省≫

 

豚肉は手頃な値段の時にまとめ買いする方も多いかと思う。

しかし、豚肉は細菌による傷みも早い食材。10℃以上で細菌が繁殖し始めるため、購入後は速攻で冷蔵庫で保存したい。

すぐに使わない分は冷凍保存すれば、2~3週間程度なら美味しくいただけるので、特売時にまとめ買いしておいても経済的だ。

 

手作り食なら野菜との相性がベスト

野菜と一緒肉を与えていれば当然、腸内環境が悪玉菌優勢に傾いてしまうのが気になるところである。

特に赤身の肉は悪玉菌による腐敗を招くと言われており、便やオナラの臭いが気になったり、便秘の原因にもなってしまう。

 

犬の祖先であったオオカミは、獲物の内臓(腸)に含まれる乳酸菌により腹の調子を整えていたとされているが、上述した通り内臓の生食はリスクが高い。仮に加熱しても60℃以上になると乳酸菌は死滅してしまう。

そんな時におススメなのが、善玉菌は食物繊維で元気になるので、食物繊維を含む野菜を少し加えてあげるのがよい。

ただし、食物繊維は犬の消化に合わないので、消化に良いよう細かく刻んだものを与えるようにしよう。

 

食物アレルギーがないか様子を見守る

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。

初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

さいごに

豚肉

様々な品種の掛け合わせにより、肉質や味わいに特徴が生まれる豚肉。

今や全国では250を超える銘柄豚が存在するほどだ。豚肉は部位によっても好みがあるだろうが、その分カロリーも変わってくるのは覚えておきたいところ。

非常に栄養価が高い豚肉を使って、自分と愛犬に合ったヘルシーメニューを研究してほしい。

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