犬が疥癬になった!人にうつるの?症状と治療薬も紹介

犬 疥癬
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疥癬は犬がかかる伝染性の皮膚病でヒゼンダニという名のダニによって引き起こされます。

このダニに感染すると皮膚の中に潜り込んで炎症を起こし、はげしい痒みが起こるのです。

また、このダニは犬に疥癬を起こすだけでなく、人にも伝染するので気をつけなければなりません。

このダニは、かかっている犬とちょっとでも接触しただけで伝染するやっかいな虫です。

そしてアレルギー反応を起こすため、アトピー性皮膚炎と似た症状が現れるので、獣医さんに診断してもらう必要があります。

また、3歳未満の若い子がかかりやすいとも言われています。

ここではその症状や治療薬、かからないための予防方法などを紹介します。

 

犬が疥癬にかかる原因とは?人にもうつるの?

ヒゼンダニはワンコの身体に付くと皮膚の表面にある角質層に穴を掘って潜り込みます。

さらにこの穴を掘り進めて角質層の下にある表皮に疥癬トンネルと呼ばれるトンネルを掘り、その中で生活をして産卵もします。

皮膚の中で生活するヒゼンダニの本体や排泄物に対してアレルギー反応が起こって、激しい痒みを引き起こします。

このヒゼンダニはワンコ同士の接触で簡単に伝染するため、以下に連れて行く際には気をつけなければなりません。

  • ペットホテル
  • ドッグラン
  • 動物病院の待合室
  • ペットのトリミングサロンや美容室
  • ドッグカフェなどワンちゃんと入れる飲食店などのお店

トリミングをお願いする際にはお店がブラシやバリカンを使うたびに消毒しているか確認しておきましょう。

また、ダニがいるワンコを抱っこしたりすると、このダニは人にもたかります。

その状態でほかのワンコを抱っこすると、ダニがうつってしまうことがあります。

飼い主さんは、よそのワンコを抱っこするのを控えた方が良いでしょう。

また、動物病院の待合室も要注意なので、床に直接座らせないなど対策しておきましょう。

なお、人の皮膚では産卵することができず、うつったダニが生きている間だけの一過性の痒みで治ります。

 

犬に疥癬症を起こすのはどんなダニ?

皮癬ダニは0.2mm~0.4mmほどの小さいダニで、卵・幼虫・さなぎ・成虫と成長するのに20日前後とされています。

受精したメスのダニは表皮の中で、1日のうちに2mm~3mmほどのトンネルを掘って卵を産みます。

被毛のない部分を好むので、ワンコの顔や耳、肘、膝、お腹、かかとなどに寄生しています。

また、犬の身体から離れた状態でも3週間ほどは生きているとされていて、駆除しても室内に潜んでいることがあるのでやっかいです。

 

犬の疥癬の症状とは?

ワンコにダニが付いても、数日はほとんど何の症状も見られないので、伝染したことに気がつきません。

やがて、真皮にトンネルを掘り進めながら繁殖するにつれて激しい痒みなど以下の症状が現れます。

  • 皮膚が炎症を起こして赤くなるほか、ポツポツと発疹ができる
  • 激しいい痒みが起こる
  • ワンコが掻き崩したりするため、脱毛するほか、傷ができる
  • 傷から出血してカサブタができる、化膿することもある
  • 足が届かず掻けない部位では、黄色いフケが出る

これらの症状、特に痒みはダニの数に比例するとされています。

また慢性に以降してしまい重症になると次の症状が現れることがあります。

  • 食欲がなくなる
  • 体重が減少する
  • 体力が低下して衰弱する
  • 発熱する
  • リンパ節が腫れる

 

犬の疥癬の診断とは?治療薬を決めるのに重要

アトピー性皮膚炎などの症状と似ているために、鑑別する必要があります。

症状が現れている部位の表皮をこすって出たフケや皮を顕微鏡で調べて、ダニを発見できれば間違いがありません。

しかし、このダニは表皮に潜り込んでいるため、なかなか検出することが難しいとされています。

その場合はどちらかの治療を始めてみて、効果がなければ除外する診断的治療が行われます。

  • プレドニゾロンなどのステロイド剤を投与して効果があればアレルギー性皮膚炎
  • 駆虫剤を投与して、症状が改善すれば疥癬

どちらを先に始めるかは獣医さんの判断次第ですが、痒みが強いケースでは駆虫剤の投与から開始することが多いようです。

 

犬の疥癬の薬とは?

ダニの駆除には駆虫剤を投与しますが、卵には効果がなく、そのままにしておくと残った卵が孵化して再発してしまいます。

そのために一度投薬した後、数日開けて2度もしくは3度投与が行われます。

なお、多頭飼育の場合は念のため、一緒にいるワンコたちも同時に治療します。

主に下記の注射や内服の駆虫剤が使われています。

  • アベルメクチン
  • セラメクチン
  • ドラメクチン
  • イベルメクチン
  • ミルベマイシン

これらの中にはフィラリアの予防薬に使われている薬剤があります。

また、これらの薬剤は、以下のワンコたちで遺伝的に副作用が起こりやすいとされていますので気をつけましょう。

  • コリー
  • シェトランド・シープ・ドッグ
  • オールドイングリッシュ・シープ・ドッグ
  • オーストラリアン・シェパード

 

ノミ・ダニ駆除薬のフロントライン、レボリューション、ブラベクト

これらの薬は疥癬ダニへの適用はありませんが、効くケースがあるので使う獣医さんが増えています。

ノミとダニ用の駆除薬のフロントライン、レボリューションは、首などに垂らすだけで簡単に処方することができます。

また、飲み薬のブラベクトは投与1時間後から駆除が始まり、3カ月以上効果が持続することが確認されています。

 

犬の疥癬を予防するシャンプーとは?

薬剤による治療と並行して、シャンプーをして清潔を保つと良いとされています。

ただし、傷から出血して化膿しているなどのほか、フケやカサブタを無理にはがさないように優しく洗ってあげましょう。

また、重症で体力が低下いる場合にはシャンプーの刺激が強すぎてしまうことがあるので、獣医さんと相談しながら行うようにしてください。

ワンコの肌に良いシャンプーのやり方はこちらです。

  1. ブラシ、バスタオル、ドライヤーを用意する
  2. 薬用シャンプーを用意する:角質溶解性で刺激が少ないもの
  3. ブラッシングをする:被毛の向きに沿ってフケを浮かせて、もつれをほどく
  4. ぬるま湯で5分ほど皮膚をぬらして先洗いをする:30℃~35℃のお湯で行う
  5. シャンプーを泡立たせてから身体につける:付けてから泡立たせない
  6. シャンプーは症状が出ている部位から付ける
  7. 指の腹を使ってマッサージするように優しく皮膚になじませる
  8. シャンプーの泡を付けたまま5分~10分ほど漬け置く:声かけやマッサージを忘れずに
  9. 先洗いと同じ温度のぬるま湯でしっかり洗い流す:ゴシゴシとこすらず、すすぎ残さない
  10. タオルで優しく水分を拭き取る:ゴシゴシこすらない、吸水タオルがおすすめ
  11. ワンコがブルブルするようならさせる
  12. 自然乾燥かドライヤーで乾かす:自然乾燥の際は部屋を暖めておく

 

シャンプー時の注意点

シャンプーで洗う際にはいくつか注意が必要です。

  • シャンプーやトリートメント類は獣医さんと相談して選ぶ
  • ブラッシングを力任せに無理にしない
  • 多頭飼育の場合ではブラシを使い回さない
  • シャンプーは原液のまま泡立てて、薄めたりしない
  • 顔にシャワーを当てるのが苦手なワンコではスポンジなどを使う
  • ドライヤーの使用はケース・バイ・ケースで、皮膚を刺激し過ぎないこと

シャンプータイムがワンコにとって辛い時間にならないように、優しく声かけて褒めてあげながらしてあげましょう。

最後までおとなしくしていたら、ご褒美にオヤツなどをあげても良いですね。

 

犬の疥癬を予防する環境作りための消毒方法とは?

まずは、ワンコの皮膚、被毛をいつも清潔にしてあげることが大切です。

シャンプーはやり過ぎると皮膚に必要な皮脂まで落としてしまいますので、週に1度くらいの頻度で良いでしょう。

また、ワンコの生活環境を清潔にしておくことも重要です。

  • ベッド
  • 敷物
  • サークルやケージ
  • 移動用のケージやバッグ
  • トイレ
  • 犬小屋(室外飼育の場合)
  • リード
  • タオル
  • おもちゃ

これらを定期的に消毒液でしっかり拭くか、煮沸消毒を行いましょう。

消毒液は獣医さんにお願いすれば処方してもらえます。

また、飼い主さんがワンコを触る前に手を洗うことも忘れないようにしてくださいね。

 

犬の疥癬を予防する食事とは?

この疾患が起こるには次のようなことも遠因になるとされています。

  • 免疫力の低下
  • 栄養バランスが偏っている
  • 老化
  • ストレス

これらへの対策として、食事について考えることも大切です。

疥癬対策として4つのポイントをまとめてみました。

 

免疫力を高める成分を摂る

以下の成分で免疫力がキープされます。

  • βグルカン:きのこ類
  • リポ多糖(LPS):グラム陰性菌の外膜に含まれる

これらを含むフードやサプリメントを利用しましょう。

 

栄養バランス

タンパク質(必須アミノ酸)・ビタミン・ミネラルのどれもが過不足ないように与えましょう。

 

腸内環境の整備

腸内細菌叢を善玉菌優位にするため、適量の食物繊維を与えてあげましょう。

ワンコに優しい穀物やイモ類、野菜類をゆでてあげると良いでしょう。

 

オメガ3脂肪酸を与える

魚のDHAやエゴマ油、亜麻仁油などに含まれているオメガ3脂肪酸は、健康な皮膚を作ります。

これらの食材や、これを含むフードやサプリメントを積極的にあたえると良いですね。

 

犬が疥癬になった!人にうつるの?症状と治療薬も紹介・まとめ

旅行に行くのに愛犬をペットホテルに預けた後、やたらに身体を痒がる仕草を見せていたら、それは疥癬かもしれません。

犬に疥癬を起こすヒゼンダニは、ペットホテルなどで簡単に感染するのです。

酷く痒がっていたらたぶん間違いありませんから、すぐに病院へ連れて行きましょう。

犬の疥癬は一時的ですが人にうつって痒みを起こすことがあります。

すぐに病院で駆除してもらってくださいね。

そして、愛犬の居場所を中心に、家の中を掃除して清潔にしておきましょう。

ヒゼンダニは卵の状態では駆除薬が効かず、愛犬の皮膚や家の中で眠っていて、孵化したら再発してしまいます。

かかってしまった愛犬には何度か駆除薬を飲ませて、定期的シャンプーしてきれいにしてあげましょう。

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