ジアルジア症になると犬から人へ感染する?治療費や治療期間、原因は?

犬 ジアルジア
Pocket

ペットを初めて迎え入れる際、これから始まる愛犬との新しい生活に期待も膨らみますよね。

一緒にお散歩したり、旅行に行ったり、たくさん遊んだり・・・

ですが、実際に飼ってみると思っていた以上にいろいろなことが起こります。

いい事も悪い事も。

もちろん病気だってそのうちのひとつです。

愛犬との楽しい生活を想像していた頃にはあまり考えていなかった『愛犬が病気になるということ』は案外少ない事例ではないのです。

特に今回紹介する【ジアルジア症】に関しては、迎えたばかりの子犬に発症しやすい病気で、ペットショップやブリーダーさんのところにいた犬の約30%~35%が感染しているとも言われているのです。

ジアルジア症の病気のサインに気付かず容態が悪化してしまったなんてことが無い様、これからペットを飼おうとしている方にもぜひ知っておいて頂きたいお話です。

 

ジアルジア症にかかると犬から人へ感染するって本当?

ジアルジア症ってあまり聞きなれない病名ですよね。

免疫力が下がっているとかかってしまう場合もありますが、基本的には子犬がかかりやすい病気なのです。

子犬がかかりやすいということは、家に子犬を迎えたばかりのペットとの生活初心者の方こそ経験してしまうかもしれない可能性が高いということ。

慣れてくれば愛犬のいつもとは違うちょっとしたサインに気付きやすくなりますが、手探りの状態では変化に気付けず、何かおかしいと思って動物病院を受診させたら悪化していた、なんてケースも考えられます。

ペット初心者だからと言って病気は待ってくれません。

愛犬の健康管理は飼い主さんの責任です!

犬のジアルジア症とはどんな症状なのか、どんな点に気を付ければいいのかをきちんと理解して愛犬の健康管理に努めましょう。

 

そもそもジアルジア症とは?

ジアルジア症とは簡単に説明するとジアルジア原虫という虫が小腸に寄生し、悪さすることによって起こる原虫性疾患と呼ばれる病気です。

ひとつの空間に多頭飼育されている動物が感染することが多く、犬でいえばブリーダーやペットショップがこれに当たり、ブリーダーやペットショップから来た子犬は3匹に1匹くらいの割合でジアルジア症に感染していると言われています。

犬や猫、フェレット、鳥や人間など様々な動物に寄生しますが、潜伏期間はだいたい1~2週間程度。

主に下痢などの症状が特徴ですが乳酸菌が存在すると腸炎が悪化してしまい、抵抗力の弱い子犬などの場合は重篤な状態になることもあります。

 

犬がジアルジア症になるとどんな症状になる?

ジアルジア症にかかっていても無症状なケースも多いですが、症状が出る場合、主に下痢やどろっとした軟便が特徴的です。

ジアルジア原虫は犬の小腸に寄生し、成長する過程で腸管の上皮を剥がしてしまいます。

腸管の上皮は栄養を吸収する為の役割をしていますが、それがうまく機能しなくなってしまうことでごはんを食べても栄養がじょうずに吸収できず栄養不足になってしまうことも。

平行して免疫力も落ちてしまうので必然的に他の病気にもかかりやすくなってしまいます。

 

こんな症状が見受けられたら要チェック

  • 体重があまり増えない
  • 体重が減っている
  • 他のコに比べ発育が遅い
  • いつもよりうんちが緩い
  • うんちから腐敗臭がする
  • お腹を痛そうにしている
  • ごはんを食べても吐いてしまう
  • いつもよりごはんを食べたがらない

食欲不振や口から吐いてしまうことはジアルジア症自体の典型的な症例ではありませんが、このような症状が出ることもあります。

子犬は体力もあまりなく、生活環境が変わったストレスなどいろいろな要因で免疫力が低下してまい重症化してしまうこともあるので、思い当たる症状があったらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

 

ジアルジア症にかかると犬から人へ感染する?

犬や猫・それ以外の動物から人間に感染する可能性のある感染症のことをズーノーシス(=人獣共通感染症)と呼びますが、ジアルジア症はこのズーノーシスに当たります。

つまり 犬がジアルジア症にかかると人へ感染することもあります。

もちろん犬から人間だけでなく、逆のパターンで人間から犬にも感染します。

感染経路は経口感染です。

例えば犬が感染していた場合、ジアルジア症にかかっている犬のうんちにいる菌を体内に取り込んでしまった時に感染します。

犬のうんちを片付ける際に菌が手など体の一部に付着し消毒がきちんとできておらず、菌がついたままの手で水を飲んだり、調理してしまったり、プールを介しての感染も確認されています。

現時点ではジアルジア症については詳しく解明されていない事もたくさんありますが、基本的に犬や猫などの動物から人間に感染する事例はあまり多くありません。

空気感染はしないので、菌を体内に取り込まなければ二次感染は防げます。

愛犬がジアルジア症にかかってしまったとしたら、いつも以上に手洗いや消毒を充分に行って、きちんと予防しましょう。

 

ジアルジア症の原因と治療費や治療期間

先ほどジアルジア症はブリーダーやペットショップなどで感染してしまうことが多いと説明しましたが、実際にはどのように感染するのでしょう。

ジアルジア症になってしまう原因は経口感染です。

空気感染や飛沫感染はしません。

ジアルジア症を発症している犬のうんちがお散歩している道路の土や水たまりなどに混ざっていて、その土や水を食べたり飲んだりして感染してしまうことがほとんどです。

人に感染する事例はあまりありませんが、感染リスクがないわけではありません。

また、犬に限らず2匹以上ペットを飼っていたり、小さな子供がいる場合には特に注意が必要です。

 

ジアルジア症の治療や薬について

ジアルジア症と診断された場合、治療は主に消化器官に寄生したジアルジアをやっつける治療を行います。

メトロニダゾール(フラジール)という駆虫薬を1週間程度投与させる治療が一般的です。

発症すると免疫力が下がってしまう為、1週間程度治療をしても改善しない場合には違う感染症にかかっている可能性も考えられ、その場合には他の病気もきちんと治療しなければ症状が改善しません。

薬を服用しながら愛犬の容態をしっかりと観察し、きちんとかかりつけ医に報告するようにしましょう。

一緒の環境で他にもペットを飼っている場合は症状が出ていなくても感染している可能性がある為、すべてのペットにお薬が処方されます。

 

ジアルジア症にかからない為の予防

ジアルジア症にならない為のワクチンはありません。

子犬や免疫力の下がっている犬はジアルジア症にかかるリスクが高いことをお話ししましたが、成犬であっても安心はできません。

犬本人は自覚症状がなくてもうんちに菌が混ざっていて、それを一緒に飼っている他のペットが舐めて感染してしまうこともあるからです。

そうならない為にもジアルジア症の予防策として定期的に健康診断を受けましょう。

よく飼い主さんが健康診断を受けていないから愛犬も受けさせていないなんて話を耳にしますが、人間と違って犬はなにか違和感があっても言葉で伝えることができません。

症状を訴えてきた時には病状が進んでしまっていることだってあり得るのです。

健康診断はジアルジア症以外にも様々な病気のリスクを早期発見する為にとても大切で、ジアルジア症の検査に関しては検便なので犬にとっての負担もありません。

またジアルジア菌は乾燥に弱く犬の居住スペースを清潔に保つことが肝心となってきますが、厄介なことにジアルジア菌の中でも『シスト』と呼ばれる虫体は消毒液では死にません。

なので熱湯消毒できるものは熱湯消毒し、ケージやトイレなどよく居る場所はクレゾール溶液などを使用して消毒するようにしましょう。

日頃から愛犬の健康ときちんと向き合って、病気にかかるリスクを極力減らす努力をしてあげましょうね。

 

犬がジアルジア症にかかったら気を付けたいこと

ジアルジア症は聞きなれない病名ですが、ブリーダーやペットショップなどで感染する可能性も高く、意外と身近に存在する病気です。

この感染症についてきちんと知識があるかどうかで早期発見できる可能性も高まりますし、お散歩中に水たまりの水や落ちている物などなにかを口にしようとした際に注意することもできます。

ペットが生活するスペースを清潔に保ち、定期的に検診を受けることで感染するリスクがぐっと減りますし、たとえ感染してしまっても早期発見して早い段階で適切な処置をしてあげることができるのです。

ペットを飼うということはペットの命を預かるということ。

きちんと愛犬の健康管理をしてあげてこそ一人前の飼い主さんです。

正しい知識を身に付けて愛犬といつまでもずっと健康に過ごしたいですね。

>>合わせて読みたい!犬のアジソン病