ビールの酵母を犬にあげていいの?犬がビールを飲んだ時の効果や量・ダメな与え方も紹介

犬 ビール酵母
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最近、ビールの醸造に使われる「ビール酵母」が身体に良いとして、医薬品やサプリメントだけではなく、料理に使用したレシピなどがネット上に多数上げられるようになり巷の話題になっています。

ビール酵母はパン生地を発酵させる時に使うイースト菌と同じ酵母菌の一種で、胃もたれ・消化不良・お腹の張りなどを改善して胃腸の調子を整える作用があるとされて、90年以上も前から指定医薬部外品として販売されてきました。

人の身体に良い作用をもたらし健康増進に役立つ効能が多いことから、犬の身体にも良いとされて粉末や錠剤が販売されているほか、ビール酵母入りのドッグフードやジャーキーなどのおやつ類をペットショップやネット通販で見かけることが多くなりました。

最近ではこれまでわかっている効果に加えて、免疫力向上作用やコレステロール低下作用、さらにはダイエットにも効果があるとされて注目されています。

この様に人への効果が認められているビール酵母が、はたして犬にたべさせても良い食品なのであるかを考察してみましょう。

 

ビール酵母とは?

「酵母」とは、広い意味では細胞壁と細胞核をもつ単細胞の微生物で真菌類の総称ですが、狭い意味では食品の発酵に必要な出芽酵母である「サッカロミセス・セレビシエ」のことを指します。

酵母はさまざまな発酵食品に利用されていますが、ビールの製造過程において糖化された麦芽の糖分を、炭酸ガスとアルコールに分解するアルコール発酵を行う酵母のことを特に「ビール酵母」と呼んでいます。

ビール酵母によってできた上澄みの液体がビールで、醸造用タンクの底に沈殿したオリの中に麦汁の栄養素が凝縮されたビール酵母が残されます。

そのオリを集め、ろ過によってアルコール分や苦み成分を除去して乾かし、砕いて粉末状にしたものが「ビール酵母」として販売されているのです。

なお、ビールの製造方法には大きく分けて上面発酵ビール(エール)と下面発酵ビール(ラガー)があるほか、使用する酵母により味が変わるとされていますが、食品としてのビール酵母の組成成分や栄養素には差がないようです。

 

ビール酵母に含まれる栄養素とその働き

ビール酵母における栄養成分の含有率はタンパク質(アミノ酸)50%、食物繊維30%、ほかにビタミンB群(B1・B2・B6・ニコチン酸・パントテン酸・B12・葉酸や各種ミネラル類にエルゴステロール、グルタチオンなどが含まれています。

 

タンパク質(アミノ酸)

ビール酵母のタンパク質を構成するアミノ酸には、人の必須アミノ酸9種類と犬の必須アミノ酸10種類が全て含まれています。

必須アミノ酸は代謝を進めてエネルギーを作る大切な栄養素で筋肉増強や疲労回復などに重要ですが、体内で合成することができず食品から摂取するしかないので、ビール酵母を食べることで全て取れるのはありがたいですね。

さらに肌質改善効果があるとされ、皮膚の保水量を高めて状態を良くする作用があることも明らかになっていて、皮膚が薄く乾燥しやすい犬にとっても大切な栄養素です。

 

食物繊維(細胞壁)

食物繊維はビール酵母の細胞壁を形成していて、人や犬の腸内細菌叢を整えてくれます。

善玉菌を増やし悪玉菌や毒素を排出する整腸作用によって便秘や下痢を改善することになり、その結果として全身の免疫力向上につながるほか、犬の毛並みが良くなるとの報告もあります。

さらに細胞壁の成分の中には、免疫力を高めるβグルカンや、コレステロール低下作用があるエルゴステロールという脂溶成分も含まれています。

このエルゴステロールは日光(紫外線)を浴びることによってビタミンDに変化してカルシウム吸収促進作用を発揮するため骨粗しょう症などに良いとされています。

 

ビタミンB群

ビタミンB群はエネルギー代謝を促進し、基礎代謝をあげるなどさまざまな働きがあって、昔から脚気の予防効果があることなどが知られています。

 

ミネラル類

ミネラル分には骨を作るカルシウム、体液調節作用で血圧を整えるカリウムなどのほか、精神安定作用や脳を活性化させる作用をもつものなどが含まれています。

 

グルタチオン

また3つのアミノ酸の結合体であるグルタチオンは、抗酸化作用によるアンチエイジング効果が期待できるほか、解毒作用によるデトックス効果で肝臓の働きをサポートします。

なお最近では、ビール酵母がダイエットに良いと話題になっていますが、脂肪分解酵素のリパーゼが含まれていることも分かっています。

この様に良いことづくしのビール酵母の栄養素は40種ともいわれていて、人だけでなく犬にも良いことが明らかにされています。

 

犬にビール酵母を与えて大丈夫?

これほど人や犬の身体に良いとされているビール酵母ですが、いくら健康に良いといっても副作用などがないのか、本当に食べさせて大丈夫なのかは心配ですよね。

結論からいうと、一度に大量のビール酵母を犬が食べなければ副作用などの心配はないとされています。

ビール酵母を人や犬が摂取する時には酵母菌は乾燥されることにより既に死んでいるため、体内で生菌として悪さをする事はありません。

とはいえ犬における酵母の安全性、危険性、摂取の適正量などについての試験の報告が少なく、まだよくわかっていないのが現状です。

しかし、食事へのビール酵母の含有比率が1%未満であれば害を及ぼすことはないとされているので、ドッグフードに混ぜる程度の量であれば問題はないでしょう。

 

犬にビール酵母を食べさせてはいけないのか?・ダメな理由は?

ここまで説明してきたように、ビール酵母を犬に食べさえることに関して問題はありません。

きちんと適量を摂取していれば健康維持にとても役立つことでしょう。

しかし、ビール酵母が大丈夫だからと犬にビールそのものを飲ませる事は絶対に止めてください!

犬はアルコールを体内で分解できないために、少量のアルコール摂取でも脳に影響が出る可能性があり、最悪の場合は命をうばわれてしまう危険があります。

愛犬家のブログなどで「うちの犬はビールが好き」「晩酌の時ちょっとだけ舐めさせているけど、何ともない」「酔っ払う姿がかわいい」などと書き込む飼い主さんがおられます。

一見大丈夫なように見えても、犬の身体にアルコールが確実に大きな負担を与えていることが考えられますので、これまではたまたま何でもなかっただけと考えて、ビールを飲ませることは止めましょう。

また、ノンアルコールビールもアルコールこそほとんど含まれていませんが、人用に作られた飲み物ですのでやはり飲ませないようにしてくださいね。

 

まずはおさえていきたい!犬にビール酵母を与える時の注意点

ここまでビール酵母を犬に食べさせた際の副作用の心配はほとんどないとしてきましたが、唯一心配があるとすれば食品アレルギーです。

ビール酵母には大麦の成分が含まれているためにアレルギーが起こる可能性はゼロではありません。

そのため犬に初めて食べさせる時は念のためにごく少量から始めることをおすすめします。

あるいは愛犬にビール酵母が入っているドッグフードやサプリメントなどを利用するのも良いですね。

手軽に食べさせることができて、必要以上に取り過ぎる心配がありません。

初めてビール酵母を食べさせた後は、しばらくの間はできるだけ目を離さずに様子を見てあげてくださいね。

 

ビール酵母を犬にあげてもいいの?まとめ

人の健康に良いとされるビール酵母は愛犬の健康維持にもとても良いサプリメントであり、副作用の心配が少なく安全、安心であることがわかりましたが、これまでご紹介したビール酵母の効果のほかにもお伝えしたいことがまだあります。

ビール酵母の香りは犬の食欲中枢を刺激して食欲増進効果があることがわかっています。

身体が弱く食の細い愛犬が心配な飼い主さんは、ごはんをモリモリ食べて元気になる姿を見ることができるかもしれませんので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

また、ビール酵母には犬の加齢とともに不足する核酸が豊富で、老化防止に効果的とされていますので、老犬の体調維持におすすめです。

さらにビール酵母には微量の硫黄成分が含まれていて、食べることで体臭や口臭に硫黄成分が含まれるようになりノミやダニが嫌うとされていて、この効果を狙ったサプリメントなども発売されています。

愛犬の食事を手作りしている飼い主さんはもちろん、ドッグフードだけでミネラルやビタミンなどが足りているか、栄養バランスが取れているかをお悩みの愛犬家は多いことと思います。

ここまでご紹介したように、ビール酵母はそんな愛犬家のお悩みに応えるべく愛犬の体調維持・管理に役立つサプリメントですので、アレルギーなどに注意しながら試してみてはいかがでしょうか。

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