犬の病気は人間同様いろいろな種類があります。
犬を家族の一員として迎え入れたのであれば、かわいがるだけではなくてきちんと犬の健康管理をしてあげなくてはですよね。
今回紹介する病気は犬の胃にガスが溜まって拡張してしまう病気についてです。
胃が拡張し始めると進行は早く1日で容体は悪化しますし、病気が発症してしまった犬が亡くなってしまうことも多い恐ろしい病気です。
『愛犬の食事や運動には人一倍気を遣っているから大丈夫!』という方も万が一の時に備えしっかりと正しい知識を身に付けておきましょう。
Contents
犬の胃が拡張した!?胃捻転って?
【胃拡張胃捻転症候群】
高齢の大型犬、突然以下の症状が起こったらすぐ動物病院を受診した方がいいかも・吐きたそうで吐けない
・お腹が膨らんでいる
・そわそわ不安げ写真は胃拡張胃捻転症候群を突然発症し夜間に緊急手術を受けた子です#動物病院 #獣医師 #胃拡張胃捻転症候群 pic.twitter.com/R0PraMhDNh
— 獣医師 小吹貴之☆YouTuber☆(同)Vets Consulting代表 (@ConsultingVets) August 1, 2020
犬の胃が拡張する!?
それってどんな状態なのでしょう。
胃が拡張し始めた時点で犬の体には確実に異変が起こっています。
繰り返す犬の胃拡張や胃捻転ってどんな病気?
ある時突然、犬のおなかがボールのように張ってぱんぱんになることがあります。
大量のガスが溜まることで犬の胃が膨張して大きくなる状態のことを『胃拡張』と言います。
さらに胃拡張が悪化すると拡張した胃がくるんとねじれてしまうことがあり、これを『胃捻転』と言い、これらの症状をまとめて『胃拡張 – 胃捻転症候群』と呼びます。
胃捻転の状態になると胃のねじれによってゲップすることさえできず、絶えず苦しそうにしています。
胃の中のガスは溜まる一方で、時間が経つと血液循環が悪化しショック状態を引き起こすことも。
この頃には呼吸困難などでぐったりとし、最悪の場合は不整脈や胃壁や胃と隣り合っている膵臓の壊死、処置が遅れると死んでしまうこともある恐ろしい病気です。
【胃拡張 – 胃捻転症候群】を発症してしまうと、治療したとしても死亡するリスクが20~45%にのぼると言われています。
再発リスクも高い胃拡張・胃捻転の原因は?
死亡リスクが高いので発症しないよう気を付けたいところではありますが、そもそもどんな場合に発症してしまうのでしょうか。
これといった原因は明らかになっていませんが、こんな症状があれば注意が必要です。
- 老化
- 遺伝(親が胃拡張 – 胃捻転症候群だった)
- ごはんを勢いよく食べる
- とにかく大量にごはんを食べる
- 食後すぐに激しい運動をする
- ストレス
老化の場合は胃を支える靭帯が緩む為と言われています。
老化や遺伝に関してはどうしようもないですが、胃が拡張する原因は胃に大量の水やガスが溜まってしまうこと。
再発する場合も多いので、手術をしても安心はできません。
一度発症してしまった犬には食事の質や与え方に特に気を付けましょう。
犬が胃拡張を起こさないための【食事】
忙しくてごはんを1回で大量に食べる場合やごはんを細かくしすぎていたり、早食いでがっついて食べる場合にはごはんと一緒に空気も飲み込んでしまいがちです。
また良質な穀物や大豆、動物性たんぱく質は適切に体に吸収されたり余分なものはうんちとして排出されますが、ドライフードには良くない油や防腐剤がたっぷり使用されていることが多いのです。
体に良くない食材は食べた後もなかなか胃から排出されません。
食事に関してはまず第一に良質な素材であること。
良質な食材だったとしても小さすぎるごはんは食べる時に一緒に空気も飲み込んでしまいますし、早食いも胃にとっては良くありません。
必ず2、3回に分けて与え、丸のみしたり早食いの場合は早食い防止食器や知育玩具をじょうずに利用しましょう。
考えてみると人間も同じですよね。
めちゃくちゃ急いでごはんを掻き込んだり、大量にジャンクフードを食べたり、一緒に大量の水を飲んだりすると胃が苦しくて、なかなか消化してくれません。
『あ~、なんか胃が重ったるいな』なんて感じたことありませんか?
人間であれば、『次の食事を抜こう』とか『落ち着くまで消化のいいものを食べよう』とか調整できますが、犬の場合にはそれができないのです。
犬が胃拡張を起こさないための【運動】
食事が終わって充分な時間をおかずに急激に運動すると胃の中の食べ物がまだ消化されておらず、さらに運動中に水をガブ飲みすることで胃拡張や胃捻転を起こしやすくなります。
夏場は1年の中でも特に水を欲するので要注意です。
犬の年齢やコンディション、食べた物によっても消化の時間は大きく変わってきますが、ごはんを食べてから胃袋で消化されるにま2時間程度かかると言われています。
小腸での消化にはさらにプラス1時間。
激しい運動をする場合には食後3時間~4時間くらいしてからがベストです。
犬が胃拡張を起こさないための【ストレス】
最近は犬と一緒に旅行したり趣味を楽しめる機会や場所も増えてきました。
愛犬と一緒に好きなことができる時間って最高ですよね!
でも、愛犬にとってはどうでしょうか。
旅行やキャンプなどいつもと違う環境で過ごす時間は犬にとってかなりストレスになっていることが多いのです。
いつも大丈夫だからと思っていても、健康な犬がある日突然ストレスが原因で病気を発症してしまうことだってあるのです。
日頃与えている食べ物が犬の体にとって合っているか
食べた後すぐに激しく運動したり遊んだりしていないか
過度なストレスがかかっていないか
これらの項目は改善できる要素なので、ぜひこれを機にチェックしてみてくださいね。
犬にこんな症状が見られたら胃拡張・胃捻転 要注意!
胃捻転は発症したら一刻を争う病気。
手遅れにならない為にもこんなサインがあった時には楽観視せずに慎重に対処しましょう。
- お腹が張っている
- 息が苦しそう
- 苦しそうによだれを垂らしている
- 吐きたそうなのに吐けない
犬の体は胃からガスや水を抜く為に吐いたりげっぷをしようとしますが、胃がねじれてしまっていると吐きたくても吐けないし、げっぷしたくてもできないという状態になります。
ですが、『吐きたそうなのに吐けない』に関しては、胃拡張 – 胃捻転症候群でなくても単にちょっとだけ気持ち悪かったり、食堂に何か物が詰まっていて吐けないだけのこともあります。
吐けないのを見てパニックになって『愛犬が死んじゃう!急いで病院に連れて行かなきゃ!』と急に動かしてしまうとかえって危険ですので、落ち着いて判断しましょう。
逆に明らかにおなかがぱんぱんに膨らんでいる場合には早急に受診を!
日頃から近くの動物病院以外にも緊急時に受診できる救急病院の場所や連絡先を確認しておくと、いざという時に焦らずに対処できておすすめです。
応急処置や治療方法、チワワがなりやすいって本当?
【犬の胃拡張】
胃は捻れてなくても、ガスで大きくなりすぎるだけでもかなり危険なんですσ(^_^;)場合によっては一刻も早く減圧をした方がいい時もあるので、お腹が張って苦しそうなときは注意してください!
老犬で起こりがちです。写真は緊急的に減圧をしてホッとした子(^ ^)#動物病院 pic.twitter.com/EbWxVdTd1p
— 獣医師 小吹貴之☆YouTuber☆(同)Vets Consulting代表 (@ConsultingVets) June 4, 2020
もしも愛犬が胃拡張や胃捻転が疑われる症状に陥ってしまったらどうすればいいのでしょうか。
胃がボールのようにぱんぱんに拡張していたら、それはもう愛犬にとって緊急事態です。
犬が胃拡張・胃捻転になった時の応急処置や繰り返すことが無いような治療方法
夜間におなかが張っていたら朝まで様子をみてみる?
いえいえ!
犬の胃が拡張しているようであれば、たとえ夜間でも早急に動物病院に連れて行きましょう。
応急処置
犬の胃が拡張している場合、様子を見て症状が治まるということはありません。
しかも胃拡張や胃捻転においては時間との勝負!
処置が遅れると死んでしまうかもしれないのです。
応急処置なんてありません。
一刻も早く動物病院に連れて行きましょう。
治療方法
胃捻転は胃拡張を起こした後に発症する症状です。
動物病院ではまずはレントゲンを撮って拡張している原因が胃拡張なのか胃捻転なのかを判断することから始まります。
胃捻転だった場合には針やチューブを入れてガスや水を抜き取る処置を、症状が進んでいると血液の循環が滞っている場合が多く、ねじれを治す処置と合わせて輸血をすることも。
厄介なことに胃拡張 – 胃捻転症候群は繰り返し発症してしまうことも多い病気。
なんと再発してしまう確率は80%も!!
再発防止の為に後々また胃がねじれることのないよう、おなかに糸で固定する処置も同時に行われます。
病院に駆け込んで処置が間に合ったとしても、胃のねじれを治したり輸血をした後に、今まで滞っていた血液の循環が急に良くなることでショックを起こしてしまうこともあります。
その為、適切に処置をした後も死亡リスクが非常に高いと言われているのです。
胃拡張・胃捻転にかかりやすい犬種
- グレートデーン
- ラブラドールレトリーバー
- ゴールデンレトリーバー
- ボクサー
- ジャーマンシェパード
- セントバーナード
- ドーベルマン
- グレートピレニーズ
- パセットハウンド
大型犬や超大型犬など胸の深い大きい犬は胃捻転にかかりやすいと言われていますが、実は柴犬やミニチュアダックスフンドなど小型犬もかかりますし、チワワが発症した症例も少なくありません。
加齢やストレス・遺伝的な要素も関係あると言われていますが、仔犬の場合でもなんらかのストレスによって発症することがありますので安心できませんね。
もしも胃捻転の症状が見受けられたら楽観視せずにすぐに対処しましょう。
犬が胃拡張・胃捻転にかかったら まとめ
退院しました~🎵
突然の『胃拡張』ビックリしましたが(老犬にはよくある事らしく😨)
大事をとって一晩入院しましたが、その後は発作も起きず。「帰ってよ~し」と(///∇///)お騒がせいたしましたm(__)m#川上犬#秘密結社老犬倶楽部 pic.twitter.com/ns8jLq0edr— 川上犬の富士 (@j7aap8i74OjKB23) May 2, 2018
犬の胃拡張や胃捻転は一刻を争う病気です。
『もしかして胃拡張?』と思う症状があれば即動物病院に連れて行きましょう。
病気の要因については詳しく解明されていますせんが、人間も犬も日頃からストレスを矯めずに体を労わって健康に過ごすことが何よりも大切ですね。