犬にアーモンドを与えても大丈夫?与える前におさえておきたい、種類と選び方【獣医師監修】

犬 アーモンド アーモンドミルク 与える 食べる 中毒 選び方
Pocket

犬 アーモンド アーモンドミルク 与える 食べる 中毒 選び方

ナッツ類の中でも、ビタミンEやポリフェノールを多く含み、天然のサプリメントと言われる「アーモンド」。

ミネラル分も多く含み、薄毛対策としても優秀な食品としても知られている。

アーモンドというと、酒のつまみやお菓子として食べる物だと思いがちだが、最近はその栄養価の高さが注目を集めているようだ。

もちろん、アーモンドは犬に与えてもOK。ナッツ類であるアーモンドは犬にNGと思われる人もいるかもしれないが、それは過剰摂取による「肥満」や「塩分の過剰摂取」、「消化しにくい食材」といった理由によるもの。適量であれば犬にとっても栄養補給にピッタリの食材なのだ。

今回は、アーモンドに含まれる栄養、与えるのに適している種類について紹介していこう。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

与えるのに適しているアーモンドの種類

犬 アーモンド アーモンドミルク 与える 食べる 中毒 選び方

スーパーなどに行くと、いろいろなタイプのアーモンドがある。

炒ったものや油で揚げたもの、食塩が添加されているものや無添加のものなど、同じアーモンドでも加工法が様々だ。

では、犬に与えるとしたらどんなアーモンドを使ったら良いのだろうか。

 

素焼きアーモンド

油も塩も使わずに炒っただけのもの。

気になる塩分のほか、油の摂取も抑えることができるので、犬に与えるにはシンプルにローストした素焼きアーモンドがオススメだ。

 

 

生アーモンド(ローアーモンド)

その名の通り、ローストしていないアーモンドのこと。歯ごたえはしっとりとしているのが特徴だ。

ただ、犬に与えるのであれば、保管・浸水・加熱といった条件が必須になる。

その理由は2つあるのだが、まずはサルモネラ菌。

海外ではサルモネラ菌に汚染された生アーモンドを食べて食中毒になった事例があるのはご存知だろうか?生アーモンドが菌に汚染されてしまうのは保管状態が原因。生アーモンドを自分で保管する場合は、最新の注意が必要になる。

また、生アーモンドに含まれる酵素抑制物質は内臓に負担をかける可能性があるとも言われている。こちらは浸水や加熱によってクリアすることができる。

生アーモンドを与えることは可能だが、これらの条件をクリアすることが必須だ。保管や調理に不安がある場合は、控えた方がいいだろう。

 

 

アーモンドミルク

生アーモンドを水に浸して撹拌し、水を加えると、今流行りのアーモンドミルクになる。

コレステロール値を下げる効果があるとして最近注目され、牛乳や豆乳の代わりに利用されている。また、牛乳や豆乳に比べて、低カロリーでありながらアーモンドの栄養はしっかり含まれているという。

 

生アーモンドは手間がかかりそう…と思われる方は、こういった加工品を試してみるといいだろう。大手食品メーカーでも販売しているので、スーパーでも簡単に入手することができる。

ただし、市販のアーモンドミルクは飲みやすいように調整されているものもあるのでご注意を。購入する際はパッケージを確認して、他に含まれている成分が何であるかチェックしてから選びたい。

 

 

アーモンドプードル(アーモンドパウダー)

アーモンドプードルとは、アーモンドの皮をむいて粉末状にしたものである。

粉末状であるため、アーモンドを丸飲みするといった心配もない。フードにふりかけたり、手作り食に混ぜたりと手軽に使えるので便利だ。

お菓子の材料コーナーに行けば置いてあるので1年を通して入手が可能。

アーモンドを砕くのが面倒な人にはオススメだ。

 

アーモンドに含まれている栄養

犬 アーモンド アーモンドミルク 与える 食べる 中毒 選び方

最近では美容や健康に良いと言われているアーモンド。

今やアーモンドミルクダイエットというのもあり痩せるかは別にしても、ビタミンや食物繊維が多いので体に良いとは言えるだろう。

 

 

ビタミンE

アーモンドは、ナッツ類の中でもひときわビタミンEが多いようだ。

ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できる栄養素である。

また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無害化すると言われており、動脈硬化の予防に期待ができる。

 

 

ミネラルも豊富に含まれる

ミネラルの中でも特に、亜鉛、カルシウム、マグネシウムが多いようだ。

基本的にミネラルは、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の3大栄養素の機能をサポートしてくれる大切な成分。

犬の体調を整えるだけではなく、骨や歯など体の組織を構成する働きもあるので、犬の成長にも欠かすことができない栄養素である。

 

 

良質な脂質

アーモンドの主成分である脂質の大半を占めているのがオレイン酸だ。

オレイン酸がもたらす効能としては、保湿効果や、皮膚や毛の健康維持、善玉コレステロールには影響を与えず悪玉コレステロールだけを減少させる効果、便通をよくする効果などが挙げられる。

 

与える前に知っておきたいこと

犬 アーモンド アーモンドミルク 与える 食べる 中毒 選び方

ここからは、過剰摂取による「肥満」や「塩分の過剰摂取」、「消化しにくい食材」といった点について、もう一度おさらいしておこう。

 

肥満

アーモンドには、100g当たり606kcalほどのカロリーが含まれており、一粒あたりに換算すると、約6~7kcalほど。また、アーモンドに含まれている脂質は不飽和脂肪酸なので太りにくいとも言われている。

 

食欲のない時などの栄養補給にもピッタリなのでオススメしたい食材だが、もちろんあまり与えるとカロリーの摂り過ぎから太ってしまうので注意しよう。

 

 

塩分の過剰摂取

ビールのつまみや子供のおやつなどには少し塩気があると食べやすいが、犬の場合は塩味のついたアーモンドは控えよう。

与えてしまって具合が悪くなるわけではないのだが、それが長期的になってしまうと話は別。与えることに慣れれば塩分の過剰摂取にも繋がってしまう可能性があるので、味付けされたものは避けるのが無難だ。

 

 

消化不良

みなさんは、アーモンドに限らず、ナッツ類を多く食べたときに腹痛を起こしたという経験はないだろうか?

それはもしかしたら、食べたものが腸内で水分と脂肪分に分かれてしまい、きちんと消化されなかったからかもしれない。

しかも、アーモンドの細胞というのは非常に硬くて厚いため、なかなか消化せず、栄養を吸収するにも時間がかかると言われている。

犬も消化不良を起こせば下痢や便秘の原因ともなる。まるごと与えるようなことはせず、細かく砕くなどしてから与えるようにしよう。

 

 

さいごに

犬 アーモンド アーモンドミルク 与える 食べる 中毒 選び方

アーモンドは時間がたつと共に酸化して風味が損なわれ、空気中の湿気を吸ってしまうと、歯ごたえも悪くなるという難点がある。

そのため、すぐに食べ切れない場合は冷凍保存をオススメしたい。

冷凍しても食感がそれほど損なわれなくて良い。あらかじめ愛犬用にフードプロセッサーで、ダイス(細かい粒状)やプードル(粉状)などにして、小分けして冷凍するのも後々使いやすくて便利だ。

 

こちらの記事もCheck! 犬に「ゆず」を与えても大丈夫?栄養や効能、与え方などをご紹介