【獣医師監修】犬はパイナップルを食べても大丈夫?酵素の働きで胃腸を整えよう!

パイナップル
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南国の香りが漂う果物、パイナップル。

一年中スーパーで売られているほとんどが、フィリピン産である。南国ものは通年安定して輸入されるので、特に旬はない。

一方、国産ものの旬は4月下旬から8月初旬頃。日本国内では沖縄と鹿児島県でわずかに作られているだけで、日本で流通するパイナップルのわずか1%ほどにすぎないという。

 

パイナップルは生で食すのが一般的な食べ方であるが、タンパク質分解酵素の働きにより肉がやわらかくなるので、肉料理に使われる場合も多いようだ。

人の場合、酵素の働きがダイエッターの強い味方とされ、栄養面でも優等生と言われているパイナップルだが、犬にとってはどうなのだろうか?気になったので調べてみた。

【獣医師監修】班目美紀

専門家 監修
麻布大学獣医学部獣医学科卒。現在は動物病院で小動物臨床獣医師として勤務。

 

パイナップルは犬にとってもヘルシー食材

パイナップル

パイナップルで注目したいのは、タンパク質を分解する酵素「ブロメリン」が含まれていることにある。

ブロメリンはタンパク質の消化を助け胃腸の調子を整えるとされているため、タンパク質がメインである犬の主食では、消化をサポートし胃腸の健康に役立つと考えられている。

 

そのため、手作り食や肉中心の食事をする犬にとっては、消化を助ける食材になると言えるだろう。

そんなパイナップルは他にも、ビタミンC、B1、カリウム、食物繊維なども豊富に含まれている。

もちろん、これらの成分は犬にとっても必要な栄養なので、犬にパイナップルを与えても問題はないのだ。

 

犬にとって役立つ栄養と期待される効果

パイナップル

ブロメリン

タンパク質分解酵素。ブロメリンはタンパク質の消化を助けるとされ、胃腸の調子を整えると言われている。

よく、パイナップルを食べて喉がイガイガしてしまうのは、ブロメリンによるもの。タンパク質で構成されている喉の粘膜が分解されていまい、むきだしになった喉が酸の影響でイガイガ傷むというわけだ。

ブロメリンは熱に弱く、60度で効果は消失してしまう。加熱の場合は、できるだけ60度以下で抑えておけば酵素の働きもそのまま活かすことができる。

 

ビタミンC
 
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
 
ビタミンCの主な効果は、抗酸化作用、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促す、などの働きに大活躍してくれる。
 
 
 

ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギー代謝に必要な栄養素といわれ、記憶力や認知機能を正常に保つ働きや、脈拍数や血圧が上がりすぎないように調節する。別名、「神経系のビタミン」とも表現され、ビタミンB1の欠乏は運動失調や神経伝達に障害が発生しやすくなる。

 

カリウム

カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用血圧を下げる働きに期待ができる。

 

食物繊維
 

便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。

 

 

 

犬に与える前におさえておきたいポイント

パイナップルの芯は繊維質の塊

パイナップルの芯は硬く、繊維が強靭なので人間でも食用には適さない部分である。

犬にとっても消化に悪いので与えないのはもちろんだが、犬が盗み食いしないよう調理後の後始末も手を抜かずに行いたい。

また、パイナップルには食物繊維も含まれているため、与え過ぎは消化不良を起こす場合もあることは覚えておこう。せっかく愛犬に与えるのだから適量を心掛けたい。

 

パイナップルは太る?生と缶詰の違い

パイナップル

トロピカルな味と香りでカロリーや糖質が多いイメージがあるが、実際に他の果物と比べるとどうなのだろうか。

パイナップルバナナりんご
缶詰

エネルギー

51kcal84kcal86kcal57kcal
糖質11.3g19.7g19.4g12.4g

(※いずれも100gあたりの数値)

 

パイナップル(生・缶詰)、バナナ、りんごで比較してみた。

バナナは予想通りでカロリーや糖質が高め。また、りんごに比べ甘みが強いように思えるパイナップルであるが、それほど極端に高いわけではない。

 

一方、パイナップルでもっともポピュラーな缶詰。生のパイナップルに砂糖が加わる分、糖質はほぼ2倍にもはね上がってしまう。

手軽さゆえ与えるには便利かもしれないが、甘いシロップ漬けにされた缶詰は糖質が多いだけに避けたほうが無難といえる。

犬に与えるのは生のパイナップルがよさそうだ。

 

パイナップルには体を冷やす作用がある

パイナップルのように南国で採れるフルーツは体を冷やす効果が高く、食べ過ぎは冷え性になる可能性が高い。

暑い夏場にはピッタリな果物だが、寒さを感じる季節では体を冷やさないように気をつけよう。

 

また、与える際は、鶏肉や鶏レバーなど、体を温める食材を一緒に与えるのもおススメ。

冷やす力を軽減できるので、是非試してみてほしい。

 

食物アレルギーがないか様子を見守る

アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。

 

さいごに

パイナップル

近年では、廃棄するパイナップルの葉を用いた「Piñatex™(ピニャテックス)」という新素材で作られたバックや靴製品が注目を集めている。

本来は捨てるべきものが、不織布をつくる資源として有効活用されているのだ。また、天然素材でもあるため、最後は土に還すこともできるというのだから驚きだ!

 

皮製品のために殺される動物の数は年間10億頭とも言われている。パイナップルから生まれたエコ素材が、多くの動物の命を救ってくれるのではないだろうか。

 

消化を助けて、胃腸にも優しいパイナップル。そのまま生で与えても、加熱して肉と一緒に与えてもOK。与える量を上手にコントロールして、愛犬の健康のためにもぜひ、取り入れてみてはいかがだろうか。

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