健康志向や水分補給ニーズの高まりを受け、家庭での飲用量が年々増加傾向にある「麦茶」。幼少期から私たちの生活には馴染み深い存在だ。
麦茶といえば原料である麦にはミネラルが含まれており、それぞれ微量ではあるがミネラル不足を解消してくれるドリンク。しかも、美肌効果やリラックス効果など、健康面以外にも幅広く効能があるのも嬉しいポイントだ。
しかし、犬にとってはどうなのだろう。
これから気温が高くなってくると熱中症の心配があるのだが、麦茶はミネラル不足の解消にもなりそうだし犬に飲ませてもいいのか迷う時がある。
とはいえ気になるのは、カフェインやグルテンだろう。そこで今回は、麦茶にはカフェインが含まれているのか、グルテンによるアレルギーの心配はないのかをリサーチ。さっそく全容を解明していこう。
【獣医師監修】班目美紀
犬だって麦茶を飲める!
まず結論から述べると、健康な犬なら麦茶を与えてもOKだ。
麦茶のカロリーは100g当たり1kcal、糖質は約0.3gほど。含まれている成分を見ても、ミネラルがメインであるため、水を飲みたがらない時や熱中症予防などに使うこともできるだろう。
麦茶100当たりに含まれている成分量は次の通り。
- ナトリウム・・・1mg
- カリウム・・・6mg
- カルシウム・・・2mg
- リン・・・1mg
- 亜鉛・・・0.1mg
こうして見ていただいても分かる通り、麦茶には犬の健康を脅かす成分は含まれていないので問題なく与えることができるだろう。
ただ、カリウムが若干量含まれているため、結石ができやすい犬や既往歴がある犬は避けた方がいいかもしれない。
与える前に気になる「カフェイン」や「グルテン」
カフェインは含まれる?
犬にとって害のある成分は含まれていないが、与えるならカフェインが気になる人もいるだろう。
しかし、麦茶に含まれているカフェイン量はゼロなので安心してほしい。
麦茶は大麦の種子を煎じたもの。緑茶・紅茶・ウーロン茶などのように茶葉を原料としたものにはカフェインが含まれているが、茶葉ではなく大麦を原料とした麦茶には、カフェインが含まれていないのだ。
グルテンフリーだが「アレルギー」には注意
麦茶は大麦由来のお茶であることから、たんぱく質であるグルテンが含まれていると思われる方もいるだろう。
しかし、大麦に含まれるグルテンの量もゼロである。
ただ、グルテン(小麦)アレルギーの犬は控えた方がいいかもしれない。と言うのも、大麦には「ホルデイン」というたんぱく質が含まれており、この分子構造がグルテンと非常に似ていることから、アレルギー症状を引き起こす可能性があるためである。
人間でも小麦アレルギーで麦茶を飲める人がいるが、犬の場合、今までに一度も麦茶を飲ませたことがないなら、かかりつけのドクターに相談してから与えるようにしよう。
麦茶を与える上での注意点
常温での保管はNG
意外かもしれないが、麦茶は傷みやすい飲み物というのはご存知だろうか。
これは麦茶に限った話ではないのだが、飲み物は水分の中に含まれるわずかな不純物を栄養に菌が繁殖している。私たちが普段口にしている「水道水」も無機質とはいえ傷むことがあるのはこうした理由があるから。
特に麦茶の場合は、菌の栄養になる「でんぷん質」が含まれているためより傷みやすい。そのため、気温が高くなる時期には必ず冷蔵庫での保管を徹底したい。
常温では放置せず、冷蔵保存で1~2日を目安に飲み切るようにしよう。
キンキンに冷えた麦茶は避けるべし
暑いときに冷えた麦茶は最高なのだが、犬にはキンキンに冷えた麦茶を与えるのは控えよう。
飲食物は人肌程度がもっとも消化・吸収されやすいのだが、冷えた麦茶を与えて胃腸の温度が下がってしまえば消化・吸収ができにくくなり、場合によってはお腹を壊してしまうこともある。
もちろん個体差はあるだろうが、できれば冷えすぎた麦茶は控えた方が無難だ。
さいごに
麦茶に含まれるカフェインとグルテンについて説明した。
麦茶は名前に「茶」と付くため、緑茶や紅茶のようにカフェインやグルテンが気になるところではあったが、どちらも含まれてはいないため、犬にも安心して与えることができるだろう。
今までは水出し・煮出しタイプのパックで麦茶を作る時代だったが、最近では便利な濃縮タイプの麦茶も販売されている。自宅で水と混ぜるだけで完成、濃さも調節できるものもあるので、気になる方は是非試してみてほしい。
麦茶には身体を冷やす作用があるとも言われている。暑い季節の水分補給にぜひ役立ててみてはいかがだろうか。
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