肉料理の付け合わせだけではなく、サラダ、和え物、みそ汁の具にしても美味いクレソン。
辛味があるため、食べる時に避けている人もいるかもしれないが、実はクレソンには豊富な栄養が含まれているのはご存知だろうか。
鉄分、カリウム、カルシウムといったミネラルのほか、βカロテン、ビタミンCなどが多く含まれており、なかでもβカロテンの含有量が豊富。
クレソンには、体のバランスを保つのに必要不可欠な栄養素が豊富に含まれているのだ。
もちろん、クレソンを犬に与えても問題ないのだが、少しだけ知っておきたいポイントがある。
今回は、クレソンの栄養や効能、与える時の注意点などについて紹介していこう。
クレソンに含まれる犬に役立つ栄養と効能
クレソンは、別名「オランダガラシ」と呼ばれ、その繁殖力は旺盛。
切った茎を水に入れておけば容易に発根するうえ、成長するスピードも速い。汚水でもたくましく生育する水生植物なのだ。
そんな、たくましさ満点のクレソン。一体どんな栄養が含まれているのか早速チェックしてみよう。
シニグリン
クレソンの辛味成分の正体は「シニグリン」によるもの。
よく、肉料理にクレソンが添えられているのは、シニグリンに消化促進効果があるとされているからだ。
他にもシニグリンには、口臭を予防する効果や、利尿作用にも効果があるといわれている。
βカロテン
βカロテンが豊富に含まれているのも、クレソンの魅力のひとつだ。
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもある。
ビタミンC
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられる。
免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのだ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
与えるまえに知っておきたい2つのポイント
甲状腺に疾患のある犬は念のため注意
甲状腺は、甲状腺ホルモンという代謝を促すのに大切な物質を作り、血液中に流してくれる重要な器官。
クレソンのようなアブラナ科の野菜には「ゴイトロゲン」という成分が含まれており、甲状腺ホルモンをつくるのに必要な「ヨウ素」の吸収を妨げるといわれている。
健康な犬であれば特に神経質になる必要もないが、もともと甲状腺に疾患のある犬は念のために控えた方がいいだろう。
食物アレルギーがないか様子を見守ろう
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。
初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
また、クレソンはアブラナ科の植物。
同じアブラナ科の仲間として、キャベツ、大根、ブロッコリー、白菜、かぶ、水菜、小松菜、カイワレ大根などがあるので、これらを犬に与えてアレルギーがあった場合にも注意したい。
クレソンの与え方
生で与えるのが一番手軽で、栄養も壊さずにいただけるのでおすすめ。
ただ、葉っぱ部分が柔らかくても、茎の部分が硬いこともあるので、細かく刻んでから与えるようにしよう。茎まで柔らかい「サラダ用クレソン」もあるので、そちらをチョイスするのもよい。
また、クレソンは加熱してから与えてもOK。熱を通すと柔らかくなって食べやすくなるので、愛犬の消化を気にするならサッと茹でて使用するのがおすすめだ。
クレソンの保存方法
せっかく愛犬にクレソンを食べさせるのだから、出来る限り新鮮さをキープしたい。
なぜなら、クレソンは水生植物であるがゆえ、しおれやすく、日持ちしないからだ。
クレソンは新鮮なうちにすぐにいただくことをおすすめするが、保存する場合は、水で湿らせたキッチンペーパーなどに包んでからポリ袋へ入れて冷蔵庫へ。
コップに水を入れて挿しておく場合も、上からポリ袋をかぶせて保湿しよう。
どの場合も、なるべく早く使い切るようにしたい。
さいごに
今や通年出回るように栽培されているが、野生もののクレソンの旬は春。
3~5月の時期のクレソンは、色も鮮やかでみずみずしく柔らかい。だが、初夏から夏の時期にでは茎も太くなり固くなってしまうため、愛犬に与える際は葉っぱの部分を使うのが望ましい。
最近では、その繁殖能力の高さから、家庭菜園でクレソンを栽培して楽しんでいる方々もいるようだ。
クレソンは栄養価の高い野菜なので、愛犬の食事にも活用していくことをおすすめしたい。