プリプリした食感で、豚骨ラーメンのトッピングや中華料理の具としてもお馴染みの「きくらげ」。
「くらげ」という言葉がついているため、海のくらげか海藻類かと勘違いしてしまう人もいるかと思うが、実際はれっきとしたキノコ。確かにくらげのような食感はあるが、木に生息するキノコの一種なのだ。
漢字で「木耳」と書くように、ケヤキやニワトコといった広葉樹の枯れ木や切り株に生え、その姿はまさに人間の耳のような形をしている。
ちなみに学名はAuricularia auricula-judaeで、「ユダの耳」を意味しており、キリストの弟子であるユダが首を吊ったニワトコの木からきくらげが生えたという伝承もあるようだ。
さて、話が恐くなってきたので、今回はきくらげと犬の相性について紹介していこう。
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犬はきくらげを食べてもOK!山の恵みは犬にとっても有効なのだ
結論から言えば、毒キノコ以外であれば、基本的に犬にきのこ類を与えても問題はないとされている。
きくらげも同様、主に「乾燥きくらげ」が流通しているが、直売所などでたまに見かける「生きくらげ」でも問題はない。また、「銀耳(ぎんじ)」とも呼ばれる白きくらげもあるが、中国では古くから高級食材として珍重されたもの。もちろん犬に与えても大丈夫だ!
一方の栄養面、見た目の割に…というと失礼かもしれないが、意外にも豊富な栄養を含んでいる。
まず、骨や歯の形成には欠かせないカルシウムと、そのカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富。この2つの成分は骨の元気に関わる大切な栄養素、犬の健康にとっては非常に嬉しい成分なのだ。
また、便秘改善や便通を促す不溶性食物繊維は、ごぼうの約3倍も含まれているというのだから驚きだ!
他にも、血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないマグネシウムや、貧血予防や改善に効果的な鉄分といったミネラルも含んでいる。
きのこ類は「そんなに栄養なさそう」と誤解されがちだが、意外にも様々な栄養素を含んでいるのだ。
きくらげに含まれる犬に役立つ栄養と効能
骨や歯を作るのに必要な栄養素。それなりのドックフードを与えていれば、カルシウムを不足することはないだろうが、手作り食がメインの場合は、どうしてもカルシウムが不足しがちになってしまう。
しかも、犬の年齢に応じて必要量も変化するのだから、手作り派の方は意識して摂取したい成分。
ビタミンD
食べ物以外にも日光を浴びることにより、体内でもある程度は作ることが可能なビタミン。しかし、犬は被毛があるため人間に比べて作られる量は少ないという。
ビタミンDは、骨や歯の健康には欠かせない、カルシウムやリンの吸収をサポートし、血中カルシウムの濃度をコントロールする働きがあると考えられている。
とはいえ、ビタミンDはカルシウムの吸収に役立つ栄養素だが、過剰摂取は高カルシウム血症の要因ともなってしまうようだ。
きくらげにはビタミンDが豊富に含まれているが、その豊富さゆえに与える量は少量にしておこう。
鉄分
キクラゲに含まれる食物繊維の割合は、100gあたり不溶性5g、水溶性0.0gと不溶性食物繊維のみ。
便質の改善や便通を促す働きに期待ができる。
まずは与え方の基本をマスターしよう
乾燥きくらげの戻し方
きくらげを天日干しや乾燥機で完全に乾燥させたものが「乾燥きくらげ」で、国内で流通してるほとんどが中国からの輸入品による。
戻す時はたっぷりの水で15~30分ほど浸けて戻す。ここで注意したいのが、乾燥きくらげは水で戻すと大きさが7~10倍ほどになるので、戻しすぎには注意したい。
戻した後は、水分を絞って犬が食べやすい大きさに刻むのも忘れずに。
乾燥きくらげの「戻し汁」は使う?
乾燥きくらげを戻すと、残った水が薄紫色になるかと思う。
よく、乾燥シイタケの戻し汁には「旨味成分」が含まれているため調理に使われる場合が多いが、乾燥きくらげの戻し汁は内部の色素が溶け出しているだけ。シイタケのようにダシとして活躍できないので通常は使用しない。
きくらげは加熱する?
乾燥きくらげもキノコの1種。水で戻したあとも必ず加熱して使おう。
また、時々生のきくらげが道の駅やJAの直売所などで並んでいるが、名前に「生」と入っていても必ず加熱し、トッピングにそのまま使うときでも熱湯で30秒ほど茹でよう。
きくらげを与え過ぎない
キノコ類といえば食物繊維が豊富に含まれているが、きくらげも例外ではない。
きくらげの食物繊維は100gあたり5gと、キノコ類の中でもトップクラスの含有量を誇る。
「便通に良さそうだから」と思って与え過ぎてしまうと、逆に消化不良や下痢気味になることもあるので適量を心がけたい。
また、過剰摂取になりやすいビタミンDも多く含むため、与える量は少量にしておこう。
適量であれば食物繊維もビタミンDも犬にとっては有益に働いてくれる成分。過度に与え過ぎないのも大切だ。
番外:野生のきのこには近寄らせないようにしよう!
一般的にキノコの種類は6万種を超えると言われており、その中で食用になるのは、およそ200種類なのだとか。
みなさんも、公園や道端に自生する『野生のキノコ』を見かけることはないだろうか?
毎年、秋になるときのこによる食中毒のニュースを見るが、野生のきのこは、生育時期、場所などで形態が異なり、毒キノコか食用キノコかを見分けることは大変難しいとされている。
中には、独特の臭いがある「キノコ」もあるので、犬が間違えて食べないよう、野生きのこには近寄らせないよう要注意だ。
さいごに
乾燥きくらげが主流だが、ほんの少し戻したつもりでも大きく増えてビックリする方も多いだろう。もし、使い切れず余った場合は、戻し汁をきってポリ袋か密閉容器などに入れておけば、冷蔵庫で3~4日程度は保存できるのでお試しを。
食物繊維を筆頭に、ビタミンD、カルシウムなどの栄養素をたくさん含む「きくらげ」。
山の恵みとも言える食材を、愛犬の食事にもプラスしてみてはいかがだろうか。