スーパーなどでも切り身や刺し身で売られている「カジキマグロ」。
一見、赤い身で筋の入ったその姿は「マグロ」そのものであるが、実はまったくの別物。
もっと言えば、本来「カジキマグロ」という名の魚は存在せず、カジキ類がマグロに類似したことで付けられた俗称である。つまり、正式には「カジキ」と呼ぶのが正解なのだ。
時にマグロよりも美味しいとされるカジキ。いったいマグロとはどう違うのか、栄養も変わってくるのか、与え方はあるのか。今回は、意外に知らないカジキの魅力について紹介していこう。
「カジキ」と「マグロ」はどう違う?
カジキといえば、長い槍のような上あごが特徴だろう。この長い上あご「吻(ふん)」はただの飾りではなく、餌の魚を打ちのめして捕食するのに使われる。また、大型のサメ類から身を守るためにも一役買ってくれるようだ。
サイズも大型種のもので4m以上にもなり、体重は700kgに達する。小型種でも成熟すれば全長1mを超えるとも言われている。
そんなカジキは分類上、スズキ目カジキ亜科に分類される巨大魚の総称。
カジキ亜科は、メカジキ科、マカジキ科の2科からなる。主にスーパーなどで販売されているのが、この2科のどちらかというわけだ。
一方のマグロは、サバ科マグロ属に分類される魚類の総称。
全長は60cmほどのものから3mに達するものまで種類によって異なるが、最大種で4.5m、体重680kgを超えるなど様々な種類がある。
このように、「カジキ」と「マグロ」は分類上も違えば、見た目も大きさも違う。カジキマグロと呼ばれることが多いカジキ類だが、この2つは全くの別物というのは覚えておこう。
カジキの栄養
カジキの上あご(吻)から作られた銛が貝塚から出土していることから、日本では縄文時代には食していたと想像されるカジキ。
いったいどんな栄養が含まれているのかみていこう。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは、脳や網膜などの組織を構成する成分でもあることから、脳の健康を維持して学習能力や記憶能力の向上、目の網膜や視神経での情報伝達の円滑、視覚回復のサポートなどにも期待がもてる。
また、高齢犬の認知症予防にも効果があるといわれているのも嬉しいポイントだ。
EPA(エイコサペンタエン酸)
DHA、EPAは共に「オメガ3系高度不飽和脂肪酸」という栄養素であり、科学的な構造も似ているため同じ効果を示すことがあるという。
EPAの主な働きは、血液中の善玉コレステロールを増やしてくれる作用がある。血管・血液の健康維持には重要な成分であり、血栓を予防してくれる効果があるとされている。
ナイアシン
ナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、基本的には肉や魚に多く含まれている成分。
糖質・脂質・タンパク質の代謝には欠かせない。循環系、消化器系・神経系などの働きをサポートしてくれる。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
近年、高血圧や脳卒中の予防などにもつながる重要な栄養素として注目されている。
ビタミンE
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できる栄養素である。
また、強力な抗酸化作用で活性酸素を無毒化するといわれており、動脈硬化の予防に期待ができる。
ビタミンA
ビタミンAは、動物由来のレチノールと、植物由来のβカロテンに区別される。
カジキに含まれるビタミンAはレチノールに区別され、活性化ビタミンであるため体内で変換する必要がない。
ビタミンAには粘膜を強く丈夫にする作用があることから、目・口・鼻・喉・皮膚などの健康維持をサポートしてくれる。
また、体を酸化から守ってくれる抗酸化作用をもち、ガンの抑制効果もあるとされているのも朗報ではないだろうか。
カジキの与え方・注意点
まず、店頭でカジキを選ぶ際は、新鮮なものを見極めたい。
血が流れ出ていたり、弾力がなく切り口が崩れていたりするものは鮮度が落ちているので避けよう。
犬に与える際は【焼/煮/炒】がベスト
スーパーなどでは切り身にして売られることが多いカジキ。
家庭料理としては、ソテーや照り焼き、フライなどの揚げ物にして食べるのが一般的だろう。
犬に与える調理法としては、焼く、煮る、炒めるなど、しっかり加熱したものであればOK。
ただし、油で揚げたフライものはNG。胸やけ・胃もたれの原因になるほか、カロリーもグンと高くなるので与えないようにしよう。
初めて与える時は「少量」から
初めて与える時に少し気を付けなくてはならないのが、犬に「食べ慣れていない物を与える」ということ。
アレルギーや体質に合わない場合も十分に考えられるので、まずは少量から与えて様子を見よう。
普段食べ慣れていないものを与えて、下痢や嘔吐、いつもと変わった様子が見られる場合は与えるのを即中止し、かかりつけのドクターに相談するようにしよう。
カジキは鮮度が命。食中毒には注意しよう
カジキに限らず、魚は買ってきて速攻で冷蔵庫に入れなくてはいけない。
その理由は、魚は死後、アミノ酸の一種であるヒスチジンが、アレルギーのような食中毒を起こすヒスタミンを生成してしまうので、衛生状態には注意する必要がある。
このヒスタミンは加熱しても減少しないので、冷蔵庫から取り出したらなるべく早く調理して食べる事。
気温が高い日には、購入後に保冷剤や保冷袋の利用も心掛けたい。
さいごに
カジキマグロと呼ばれることも多いが、マグロとの類似点が多いことからつけられた俗称であって、マグロの仲間でないことは知っておこう。
カジキの旬は、メカジキで秋~冬。マカジキで冬~春とされている。いまや冷凍技術の発達で、年間を通して価格も安定して出回っているが、旬の時期ならではのカジキも絶品なのだとか。
愛犬のご飯にも、ぜひ美味しく調理したカジキを堪能させたいものだ。
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