ゴマの歴史は古い。古代エジプトのピラミッドで出土されたり、縄文時代にも食されていたほど、太古の昔から使われてきた香辛料のひとつだ。
国内で出回るゴマの99.9%以上が輸入されており、日本国内では鹿児島の喜界島をはじめ、茨城県、沖縄県などで生産されているが、国内自給率はわずか0.1%ほどにすぎない。
ゴマを栽培している風景をお目にかかる機会は滅多にないが、夏には薄紫色の可憐な花を咲かせるのだという。
そんなゴマ、犬に与えても問題ないとされているが、その小さい粒には一体どんなパワーが秘められているのだろうか。
今回は、ゴマに秘められた栄養と効能、犬が得られるメリットなどについて紹介する。
ゴマには犬にとっても栄養の宝庫
ゴマが健康に良いと言われている理由は、ゴマ独特の「ゴマリグナン」と呼ばれる抗酸化物質を含んでいることにある。そのゴマリグナンの中でも「セサミン」は特に強い抗酸化作用を持つと言われており、ガン予防やアンチエイジング効果があるとされている。
他にも、タンパク質、カルシウム、ビタミン(B,D,E)、βカロテン、リン、鉄、食物繊維など、実に様々な多くの栄養をバランスよく含んでいるのが特徴である。
ちなみに、ゴマの種類は、種子の色によって「白ゴマ」「黒ゴマ」「金ゴマ」に分けられているが、栄養価にはそれほど大きな差はない。
今までは漠然とした理由で健康に良い食品だと思っていたが、あの小さな粒の中には犬の健康にとっても有効的な成分がたっぷりと含まれているのだ。
ゴマに含まれる栄養と期待される効果
セサミン
ゴマの成分である、ゴマリグナンに含まれている成分。セサミンは強力な抗酸化作用を持つと言われており、ガンや老化促進の原因になると言われている活性酸素を減らす働きがあるとされている。
ビタミンD
食べ物以外にも日光を浴びることにより、体内でもある程度は作ることが可能なビタミン。しかし、犬は被毛があるため人間に比べて作られる量は少ないという。
ビタミンDは、骨や歯の健康には欠かせない、カルシウムやリンの吸収をサポートし、血中カルシウムの濃度をコントロールする働きがあると考えられている。
犬は人間よりも必要量が多いと言われているので、不足しないよう摂取したい。
カリウム
ミネラルの一種。カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
ゴマは不溶性の食物繊維を多く含んでいる。便秘を予防する働きはもちろん、コレステロールの吸収を抑制する作用にも期待ができる。
与える前におさえておきたい3つのポイント
与えるなら「いりゴマ」か「すりゴマ」か?
スーパーなどで売られているゴマを見てみると、粒のままの「いりゴマ」か、細かくすり潰した「すりゴマ」を見かけると思うが、栄養価的には両方とも同じである。
では、どちらを与えてもいいのか?というと、そうではない。実は、ゴマの殻は非常に硬いので、体内で消化吸収されずに排出されてしまうのだ。
そのため、犬にゴマを与えるなら細かくすり潰したすりゴマがおススメだ。
また、いりゴマしかない場合でも、指ですり潰してから使ってもOK!ゴマの豊富な栄養をしっかり摂るためにも、消化吸収されやすい状態にしてあげよう!
犬にとって気になるゴマのカロリー
ゴマの成分の50%は油分であり、20%がタンパク質、30%がビタミン類やミネラル、食物繊維などで構成されている。
油分が多いため、ゴマはカロリーが高そうだが実際はどうなのだろう?
ゴマ100gあたり | ゴマ大さじ1杯 | ゴマ小さじ1杯 |
578kcal | 41kcal | 14kcal |
このようにして見てみると、ゴマはカロリーが高い食品と言える。しかし、ゴマだけで100gも食べることはまずありえないし、大さじ1杯でも多いと思うほどだ。
小さじ1杯が約14kcalであるため、フードのトッピングで使う程度であれば、カロリー過多を心配する必要はないといえる。
食物アレルギーがないか様子を見守る
アレルギーの原因となるものをアレルゲンと呼ぶのだが、実は食べ物全てにアレルゲン要素があることは知っておきたいところ。初めて与える時は少量から与えて、痒がったり嘔吐したりしないか、愛犬の様子を見守ってあげるのも大切だ。
さいごに
ゴマに含まれるセサミンが、ガン予防やアンチエイジングに効果があることがわかった。小粒ながらもカロリーは高いが、ゴマの豊富な栄養価を考えると、愛犬にも積極的に与えたいところだ。
量を加減して愛犬の健康維持にも、是非活用してもらいたい。