枝豆は、未成熟の状態で収穫した大豆のこと。
枝豆の状態であれば野菜、大豆になると豆類に分類される珍しいタイプの植物なのだ。
枝豆の品種は、「白毛豆(青豆)」「黒豆」「茶豆」の3種類に大別されるが、味はもちろん、粒の大きさやサヤのうぶ毛の色、収穫時期などの違いから、400種類以上の品種があると言われている。
今や手軽な冷凍ものも出回り、季節を問わずビールの友として食べることができる枝豆だが、犬にもお裾分けしてもいいのだろうか。
また、犬に与えるにしても枝豆自体の栄養は、高いのだろうか?低いのだろうか?さっそく調査してみよう。
枝豆の栄養と効能
枝豆は、「畑の肉」と呼ばれている大豆の未成熟豆である。
たんぱく質や糖質などの栄養素は大豆同様に豊富であることはもちろん、βカロテン、ビタミンC、K、B1、B2、B6などのビタミン類や食物繊維、鉄分、カリウム、マグネシウムなどの栄養素が豊富に含まれているのだ。
ビタミンC
犬は体内でビタミンCを合成できるが、だからといって摂取しなくてもいいわけではない。年齢と共にその能力は低下するので長期的に摂取したい栄養素の一つ。
ビタミンCの主な働きとして、活性酸素を無毒化する「抗酸化作用」が挙げられ、免疫力の向上、コラーゲンの生成を促すなど、身体の調子を整えるには欠かすことのできない栄養素なのだ。
その上、枝豆(生)を大豆(国産/黄大豆/乾燥)の100キロカロリーあたりの栄養価と比較すると、大豆より20倍もの量が含まれている。
βカロテン
こちらも、枝豆(生)を大豆(国産/黄大豆/乾燥)の100キロカロリーあたりの栄養価と比較した場合、なんと驚くことに大豆の90倍もの量を含んでいる。
βカロテンには抗酸化作用があり、ガンの予防や老化予防に効果的と言われている。
しかも、βカロテンは必要な量だけ体内でビタミンAに変換するという優れもの。ビタミンAは、視力を維持するには欠かすことのできない栄養素の一つでもあるのだ。
ビタミンK
ビタミンKの役割は、出血した時に血液を固めて止血する働きのほか、骨に存在するタンパク質を活性化し、骨の形成を促す作用がある。
犬は腸内細菌によってビタミンKが合成されると言われているが、それだけで1日の必要量を補えないともいわれている。そのため、普段の食事からも不足しないよう補ってあげたい栄養素だ。
カリウム
カリウムは、体に含まれている余計な塩分(ナトリウム)を排出する効果があることから、利尿作用や血圧を下げる働きに期待ができる。
マグネシウム
血圧や体温調整、神経伝達には欠かせないミネラルのひとつ。
もちろん、過剰摂取は尿路結石を引き起こす要因にもなってしまうが、気にしすぎて摂取せずにいると欠乏症による神経障害や骨、血圧などに異常をきたす場合もある。
犬の健康維持には必要不可欠なマグネシウム。バランスよく摂取することを心がけたい。
枝豆を与える前の注意点
枝豆は「生」で与えないのが正解
生の枝豆(大豆)には「トリプシンインヒビター」という、たんぱく質を分解する消化酵素(トリプシン)を不活性化させる物質が含まれている。
多くの哺乳類がこのトリプシンインヒビターを食べてしまうと下痢などを起こしてしまうことになる。また、この成分は膵臓を肥大させてしまう有害物質でもある。
よく私たちが枝豆(大豆)を食べる時に、煮たり、焙煎したり加熱調理するのは、この物質を壊してから食べるということなのだ。
このトリプシンインヒビターは加熱により失活する物質。加熱から2分後でほぼ失活するので、必ず茹でたものを与えるようにしよう。
塩ゆではNG
枝豆と言えば、味の決め手に塩を加えるのが一般的ではあるが、人間にとってちょうどよい塩加減は、犬にとっては塩分の摂りすぎになってしまう。
もちろん、犬の体にとって塩分は必要不可欠なものではあるが、必要以上に摂った塩分は腎臓でのろ過機能に負担をかけてしまう。
過剰に摂取した塩分は腎臓で排出されるが、ストレスをかけ続けると腎臓に重大な問題を引き起こすきっかけにもなってしまうことは覚えておこう。
冷凍枝豆の塩抜き方法
今やスーパーやコンビニに行けば手軽に購入できる冷凍枝豆であるが、そのほとんどは塩が振ってあるものが多い。
簡単便利な冷凍枝豆だが、必要以上の塩分摂取は犬にとっては避けたいもの。そのため、冷凍枝豆を与える場合は必ず塩分を抜いてから使うようにしたい。
まず、冷凍枝豆をボールに移し、枝豆の1.2~1.5倍量の「ぬるま湯」に入れる。100gの枝豆なら120~150mlのぬるま湯でOK。その後、10~15分ほど浸しておけば塩分が自然に抜けていく。
もちろん、水に浸すだけでも枝豆の塩抜きは可能だが、時間がかかってしまうデメリットがある。時間的に余裕がない時はぬるま湯で時短するのがオススメだ。
さいごに
枝豆の旬は6月~9月。この時期になると、枝つき枝豆が店頭にも並ぶようになってくる。
しかし、枝豆は収穫して半日ほどで甘さが半減してしまう野菜。それを食い止めるには、火を通すのが一番。すぐに食べない場合でも、購入後はすぐに茹でるのが正解。
茹でたものは冷凍保存も可能になるので、愛犬用にストックしておくのも便利だ。
栄養が豊富に含まれている枝豆。おやつや手作り食の1品としても取り入れたい食材である。